現世でペットを飼えなかった俺、異世界では可愛いボロボロ獣人奴隷を癒しまくる

猫白狗狼

第1話 少女の知らないグルーミング

SE//家のドアを閉める音


「ここが、ご主人様の家……お部屋、綺麗ですね」


「それで、私を買った理由は何ですか?

 見たところすごいお金持ちというわけでは……ない、ですよね」


「——自分1人ではできないことがしたい、と」


「……分かりました。そういうことには慣れているので」


「安心してください。

 この呪いの首輪をつけている限り、逃げることなんてできませんから」


「――嫌だったら言ってほしい?

 ふふっ、別に紳士ぶらなくてもいいんですよ。

 したいことを無理やりすればいいじゃないですか」


「——そんなことはしない?

 まさか奴隷を買ってそんなことを言う人がいるなんて、びっくりです」


(手で押さえながらクスクスと笑う少女)


「大丈夫ですよ。

 私はあなたのありとあらゆる欲望を叶えるなんですから」


(急に頬を赤らめる)


「も、もちろん心得ています……とも! 獣人を家に入れるなんて、そんなの……ええええ、エッ、チなことを! するんですよね!?

 は、はい……私はどうすれいいですか?」


(こくりと首を傾げ、上目遣いでこちらを見る)

(すぐに泳いだ視線はちらちらベッドを見ている)


「あ、あそこのベッドとかに、座ればいいでしょうか!?」


//SE 勢いよく、ベッドの隅に座り反発する音


「エッッなご奉仕……それじゃあ、服も脱がなきゃ……」


(服を脱ごうとした手を取る)

(ふと我に返った少女が小さな悲鳴を上げる)


「――も、申し訳ございません! 私ごときが、勝手な憶測で行動してしまいました。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」


(ペコペコとしきりに頭を下げる)


「——はい、ごめんなさい。

 私、久しぶりに暖かいお家に入れて、舞い上がってたのかもしれません。

 私は話を聞かない悪い奴隷です。

 どんな罰でも受け入れます。

 ご主人様に絶対服従しますので、どうかお許しください」


「——こっちへ来い? はい、分かりました」


//SE きしむ扉を開けて、後ろ手で閉める


「……暗い部屋ですね。

 成人した獣人なら森の奥深くでもあたりを見渡せられる暗視を持っていますが、すみません、私には何も見えなくて、……ってそれは言い訳ですよね」


(ベッドを指差す)


「――仰向けになればいいんですね。分かりました」


//SE ベッドで少女が仰向けになりきしむ音


(ご主人様が遠くにいる間、小声で吐露する)

『私はまた、傷つけられるんだ。みんなは私を道具のように扱う。

 彼らは私たちを人として見ていない。

 あるのは悪意や邪悪さだ。……でも慣れてる。

 大丈夫、何も考えなければすぐに終わる。この人が飽きるまで、耐えよう』


//SE シーツを力任せにぎゅっと握る

//SE 電気のスイッチがつく音


「きゃっ! ま、眩しい……。

 ご、ご主人様? これはどういう……」


(カチカチという金属の音)


「そ、その右手に持ってるものは……」


//SE 仰向けの少女の身体に馬乗りになり、ベッドが軋む


「――は、はさみ?」



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