優秀な知らせ
嗚呼烏
六月十五日
「今日は何月何日だ?」
日付感覚など頼りにならない。
「六月十五日か。」
日めくりカレンダーの数字と睨み合うことも飽きた。
タイムスリップする恐怖を口に出すほどのことではないと感じ始めているのも、頭が狂っているからだろうか。
花壇に咲いているルピナスに水をやる。
八時ぴったりに水をやるという謎のこだわりが、無意味であることを知っていたりもする。
「
またこの女か。
「あのな。あまり変な時間にタイムスリップとか、今までなかったから大丈夫なんだよ。今日が何日だろうと関係ない。」
なんでお前が睨んでくるんだよ。
「念には念を入れてってことで認めてくださいよ。いい加減。」
そんなの臆病者の証拠でしかない。
「わかった、わかった。一緒に登校するだけでいいんだろ? はいはい。いつも一人の俺には容易い御用ですよ。」
微笑んでやがる。こいつに皮肉は効かないのかよ。
家に戻って、スクールバッグを手にとる。そして、玄関まで足を運ぶ。
「扉を開けたままで準備するの、私なら考えられませんけどね…… まあ、そんな話は置いといて。噂を知っていますか?」
どうでもいい話が、始まるのか。
「あー、しらね。」
歩幅を合わせながら、今日も適当に返事をする。
「死んだ人の記憶に強く残っている一人は、誰かに意図的に殺されさえしないのならば。……ずっと生きていることができる。」
都市伝説ってやつか。
「人間には寿命ってのがあること、わかんねえ?」
「だから、噂なんですよ。私たちは実は異世界にいるとかなんとかで、噂もおかしくないって思われていたりもしますがね。」
粋なこと言いやがって。お前、信じているように話していただろうが。
「殺人も犯しやがった
山川の顔が曇っている。信じているから怖いんだろ。馬鹿げた奴だ。
「そういえば。お前は八時ぴったりに、俺の家に来やがるよな。律儀なのかなんて知らないけど。」
黙りやがって。話にもならない。
「加田さんの友達なんだよね? あんな人とは距離を置けばいいのに。」
加田の話を広げるのかよ。
「あいつは悪いところがあるだけ。俺とあいつの関係は、お前が勝手に口を出すことじゃない。」
あいつのせいで皆が困ったのは、事実なんだけどな。
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