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皐月

入学式・Ⅰ

その日、私はいつもと同じ時間に起きて、ご飯を食べて支度をして、着慣れない服に袖を通して、せんせいと共に家を出た。




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ステージの手前少し席を開けて、同じような服を着た、違う姿形が私の周りを埋めていた。少し後ろには、さまざま服、形が座っていた。視線を少し上に向けると2階席には少し煌びやかな服を着た人たちが何人か座っていた。ホール全体は薄暗くステージからの光を浴びていた。

「これより第263期アトゥイス学園入学式を開始いたします。」

ホールの中を通った声が走ると周りの視線が壇上へと向いた。私も当然同じように。

みんなの視線が集まったのを確認すると続けて言った。

「では初めに学園長より祝福の挨拶とさせていただきます。学園長壇上へどうぞ!」

前からの光以外に、後ろから一瞬光が差し込んだ気がして振り向いた。そこには何もない、何もないはずなのに、空中を、コツン、コツン、と水晶板すいしょういたの上を硬い靴で歩くような音を立てながらゆっくりとステージへと歩いてくる。一歩また一歩と踏み出す度に、きらきらとした砂がこぼれているような足跡を残して、私たちの上を通り壇上へと舞い降りた。

 いきなりの光景に驚いている間もなく、その深い紺に煌びやかな金の刺繍のローブを纏った人は言った。

「皆さん入学おめでとうございます。ここに集うのは新たに魔法を学ぶため、その素質を持った者たちです。さて、昨日始業式を行いました。そこに集まったのは皆さんの後ろにいらっしゃる教師陣と新たに2年3年4年5年6年生になった、皆さんから見れば先輩魔法使いたちでした。彼らは過去皆さんと同じように一年生の制服を着てそこに座り、私の話を聞いていました。そして彼らと皆さんの顔を見ると、皆新たな学びへの期待とわくわくが、とても強くでているような気がしています。安心してください、ここにいるすべての教師は、あなたたちの知識への欲を、きっと満たしてくれるでしょう。これからの皆さんの活躍期待していますよ。アトゥイスの加護が在らんことを。では」

そう言い終えると再び空中へと足を踏み出し2階席へともどっていった。

学園長が再び席に着くのを確認してから進行役が再び口を開いた。

「では続いて、生徒代表 生徒会長クロウより歓迎の挨拶です。」

襟に少し装飾が施されたローブを纏った、少し背の高い人が壇上に上がりお辞儀をしてから話し始めた。

「皆さん入学おめでとうございます。アトゥイス学園 生徒会アテラ会長リメス・ヒンエッタと申します。私は4年前この学園に入学してきました。そしてこの4年間様々なことを学び体験し成長してきました。そして3ヶ月前生徒会長に就任し現在今年の計画の準備をしています。皆さんが最初に参加する事になるのはオリエンテーション中に開催される歓迎会です。パーティーのようなものを考えており上級生による魔法披露も予定しています。楽しみにしてくれたら嬉しいです。皆さんがこの学園で活躍されることを期待しています。」

そう言い終えると一礼し壇を降りて行った。

「それでは全体の挨拶は以上となります。この後は各クラスに分かれて教室で行いたいと思います。ではアトゥイスの祈りの後移動としたいと思います。」

進行役は一息おき祈りの姿勢をとった。

少しした後壇上の燈が薄暗くなってから周りの人やホールにいるすべての人が祈りの姿勢をとった。私もそれに合わせて指を少し伸ばした手の指先を胸の前で合わせ手に意識を集中した。

するとホールの至る所から少しずつあかりが灯りだした

その頃には壇上の燈は消えておりホールの隅々からさまざまな色のあかりが灯り、私の手のひらの間にも真っ白な燈が灯りだしていた。全員にあかりが灯った頃合いで二階席から学園長の声が響いた。

「アトゥイスよ我らを今日のこの日も見守ってくださること感謝いたします。」

学園長の声に倣って周りから小声で呟く声も聞こえた。

「アトゥイスの元我らは驕らず静かに知を探求することを誓います。」

一泊おき続けた

「アル・セ・リヤ・アトゥイス」

最後の言葉が発せられた後手のひらの間の燈は徐々に消えていきホール全体に燈がついたそして、後ろの席から順に退席して行った。

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