不遇な絵画は靴屋の椅子に。

恐ろしいほどに鮮やかな白黒の世界

不遇な絵画は靴屋の椅子に

「この絵画は……違う。この腕の曲げ方だと、肩甲骨は浮き出るように見えるはずだ。さらに、足の筋肉膨らみが上まで来すぎている。これはレオナルドのものではないだろう。」


「なるほど、彼と見比べると明らかに違いますね。ではこちらはどうでしょうか。」


「この絵画は……これも違う。この指の」


「失礼いたします。レオナルドの作品だろうものが見つかりました。し」


「なに!早くそれをもってこい。」


「はい。只今。しかし、この絵画は顔の部分が抜けております。」


「なにぃ!これは、……。……確かにレオナルドのものである確証は高い。だが、肝心の顔の部分はどうした!明らかに切り取られたようだが。」


「発見された当時からそのようだったようです。そして、現在捜索中です。」


「っ、ふぅ……。惜しいな。」


 沈黙により、抑えれる。


「失礼いたします。そちらの絵画の顔の部分が、見つかりました。」


「よし。それは、どこにあったのだ。」


「絵画が発見された家屋に近い、靴屋の椅子に貼り付けてあった、とのことです。」


「なんと罰当たりな。絵画を合わせてみよ。」


「これは、すり減っているところはありますが、同じ絵画と見てよいかと。」


「全容は……、……。ふむ。一見して不可解な点はない。ふぅ……。よくやった。持っていけ。」


「はっ!」


 二つで一つの絵画は、次なる審査へと運ばれてく。

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不遇な絵画は靴屋の椅子に。 恐ろしいほどに鮮やかな白黒の世界 @Nyutaro

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