百恋物語
@kasyu613
第1話 一恋目 おもったよりおもい
街中を歩いてると目の前の女性がスマホを落としたので
落とし物を拾い女性に声をかけると自分の最推しのアイドル⚫︎⚫︎だった
迷惑なことは百も承知だから断って下さいと前置きした上で
⚫︎⚫︎に対して告白したら
「いいよ?」と言われ、自分が困惑していると
「私ね、性格悪いからオフの時に『好きだー!』とか言われると真反対なことするの」
「で、君は『断って下さい』って言ったからOKした」
「まぁ、その考えも今日で最後にするけど……君、ラッキーだね?」
それからは今までの人生じゃ存在すら知らなかった場所にも
⚫︎⚫︎に連れてもらった。
何回も自分も払うと言っても「せめて私より稼いでから行って欲しいな」なんて
揶揄われるのがお約束。
水族館にも行ったし、遊園地にも行った、お互いの家にも行った。
それからなんやかんやあって半同棲みたいなことをしてたある日
高校時代の友人から、『いつメンでカラオケすんぞ!(オール)』とラインが来て
自分は⚫︎⚫︎に『友達と遊んでくる』とだけ伝えてカラオケに向かった。
10人くらい入れる部屋には、懐かしい面々が揃っていて(今日は騒ぐぞ!)なんて柄にもなく思いながら
酎ハイを流し込んでると、慣れない飲酒もあるのか気づいたら深夜を通り越して
そろそろ空が明るくなる時間だった。
ふと寒気がして、恐る恐るスマホを見ると山のように⚫︎⚫︎からラインが来ており
大急ぎで家に帰って家の電気をつけると⚫︎⚫︎が玄関で顔を伏せながら体育座りをしていた。
「楽しかった?」⚫︎⚫︎とは思えないほど冷たい声だった
「お酒、いっぱい飲んだんだね。それも女の子と」
「……分かるよ。君から匂うもん。女物の香水とお酒が合わさった匂い」
「甘ーい匂いなのに、ツンと鼻に刺激が来てとても……とてもとてもとても不快」
『アイドルの彼女がいるのに浮気なんてしない?』
「最初に会った時言ったでしょ?私は性格悪いって」
「君が万に一つも浮気をしないとしても、もしかしたら今回は違うかもって」
普段の⚫︎⚫︎からは考えられないほど悲しい声がアルコールに浸した頭に響く
「ねぇ?」
冷たくなった⚫︎⚫︎の体が自分にのしかかる
普段なら軽くいなせるのに酒でうまく退かせない。
「教えてあげるよ」
「君が誰のものか」
唇が触れそうな距離で⚫︎⚫︎は囁く
「……途中で気絶とかやめてね?」
百恋物語 @kasyu613
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