40代のおっさんに転生した最強剣士。落ちこぼれ美少女達の教師になったら、いつの間にかモテてたんだが。
雪椿.ユツキ
第1章 俺、おっさんに転生する。
第1話 目が覚めると
「……………」
真っ黒に染まった暗闇の中、1つの白い光が俺の意識を呼び覚ます。
瞼をそっと開き、差し込む白い光が暗闇を照らす。
深い眠りから覚醒した俺、太陽の眩しい光を手で遮る。
「………なんだ、こりゃあ」
ボヤけた視界がやがて正常に戻り、目の前には木々に囲まれた巨大な学校が視界いっぱいに広がる。
俺は死んだはずだ………誰にも気づかれないような森の奥で孤独に。
周りには建物なんてなかった。
日差しすら、葉っぱによってそこまで差し込んでこないような場所だったのに、なぜ日当たりの良いここに立っているのだろうか。
にしても、なんだこの巨大な学校は………見た事ねぇぞ。
「つーか、ここは何処だ………んん? なんか声、違くねぇか?」
違う、俺はこんなに低くて渋い声じゃない。
自分で言うのもアレだが、俺はもっと爽やかで明るい声だったはず。
いや、明るい声ではなかったか………あぁもう、記憶が曖昧だ。
だが、間違いなく声はこんなに低くて渋くはなかった。
しかも、全く知らない学校の前に居るとか、一体全体どうなってやがるんだ。
「着ている服も違う、目線も高い気がするな。いや、この学校がデカ過ぎるだけかもしれねぇが」
ともかく、まずは情報を集めなければならない。
呼吸をした時、服を触った時などの感覚がハッキリとしている。少なくとも、夢とかではなさそうだ。
ならここは何処なのか、そして俺は一体どうなっているのかを確かめねば。
その為には、まず人を探そう。
ちょうど目の前には学校。必ず人の1人ぐらいは居るはずだ。
道に迷ったとでも言って、トイレでも借りれるか聞いてみよう。トイレになら、鏡があるはずだからな。
「そうと決まれば行動あるのみ………と言いたいとこだが、ちょうどいい所に人が居るじゃねぇか」
運がいい事に、学校からスーツを着た男が1人出て来たじゃねぇか。
さっそく声をかけてみるとしよう。
俺は目の前に居るスーツ姿の男に「すみませーん」と言いながら駆け寄る。
「どうも、こんにちは。お尋ねしたい事が………」
「あぁ! ギャドルグさんですね! お待ちしておりました!」
「………? ギャドルグ??」
聞いた事のない名前に、俺は首を傾げる。
「えぇ、写真で顔を拝見しております。校長先生がお待ちですよ! さぁ、こちらへ!」
「あ、あの………話を」
スーツ姿の男はニコニコと笑いながら、再び学校内へと戻って行く。
たくっ、声をかけたのはこっちだってのに、話も聞かずに行きやがる………それに、ギャドルグって俺の事なのか?
まぁいい。どうやら俺を待っていたようだから、とりあえずこの男について行くとしよう。
☆☆☆
「うおっ………なんだこの広さは」
スーツ姿の男に案内され学校に入ったが、とんでもない広さに驚きを隠せない。
校舎が2つと………反対側にも校舎のような建物が3つある。あれは………寮か?
それに、今は授業中なのか外には俺とスーツ姿の男以外誰も居ない。
とにかく色んな建物がある巨大な学校だって事はよく分かった。
校舎の中に入って、専用の靴に履き替えさせられると、校長室と書かれた部屋の前まで連れて来られた。
「すみません、ちょっと………お手洗いに行きたいのですが」
扉にノックをしようとするスーツ姿の男に、俺はそう言う。
まだ今の自分の姿を見れてない。
まずは自分がどうなっているのかを、優先して把握せねばならんからな。
「あぁ、お手洗いでしたら、振り向いて少し先の所にございます。終わりましたら、こちらの校長室までお越しくださいませ」
「あぁ、分かりました」
俺は振り返って、廊下を道なりに進み出す。
下駄箱を少し進んだ先に、トイレを発見した。
男性用トイレに入って、真っ先に鏡の前へと移動する。
「………お、おっさんじゃねぇか!!!」
鏡に映る自分の姿に、俺は目を見開いた。
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