第645話 最近、名前を覚えた人物がいる。

 最近、名前を覚えた人物がいる。


 ロイドット=デュエラとい人物だ。

 これ、例のノークエルトの弟くんの名前だったりする。


 何故今になって急に名前を覚えたのかというと、彼が突然覚醒したからだ。

 いや、覚醒というか、自身の得意分野を発見した感じ?


 【ゴーレムダンジョン】の5階層は水中ステージになっているのだが、この5階層、世間的には結構な不評である。

 そもそもここまで辿り着ける人間が少なすぎるのだが、ここを突破できる人間はほぼ皆無。ネフィス家の人間とガステアを除くと、ハイベルト、ヌーボルト、ムスタファ達のチームぐらいしか突破出来ていない。


 そんな5階層でロイドットが輝いているのだ。

 なんとガステアと俺に次いで3番目のタイムで第5階層を突破してみせた。

 俺とガステアの記録は彼に合わせてグレード2の搭乗型ゴーレムでの記録となっている。

 そう、つまり他の人間がクリア出来ないこのフロアを彼はグレード2の搭乗型ゴーレムでクリア出来るのだ。


 いやマジで水を得た魚。

 むしろ今までがまな板の上の鯉だったんだな――って、これは意味が違うか。


 マーマンの二つ名を贈呈しよう。心の中で。


 そもそもいつの間に5階層まで到達していたんだって話だけど、これは彼の地道な努力によるものだ。

 マジでずっとグレード2の搭乗型ゴーレムで【ゴーレムダンジョン】に挑み続けている。


 そのロイドットだが、6階層にはまだ挑戦せず、5階層を周回する事に決めた様だ。

 これは多分クリア報酬目当てでの事だろう。


 最近はオークションも利用して結構稼げている様だが、今までの出費を考えると黒字になるまではもうちょっと時間がかかりそう……と思っていたのだ、先に言ったように5階層は突破者が少なく、それも殆どがオークションを利用しない人達なので、ここで一気に稼げそうなのである。

 父親辺りに今までの分を取り戻してこいとか言われているのかも知れない。


 そんなロイドット、何度も周回しているウチに遂に俺のタイムを抜き去ったのだ。

 ちなみに、俺が彼の名前を覚えたのがここ。


 最近は色々やっていたらか、【ゴーレムダンジョン】の映像は確認していなかったので、ロイドットの活躍に気が付くのが遅れたのだが、普段から【ゴーレムダンジョン】のカボに何かあったら連絡してと言っており、ロイドットが俺のタイムを抜いた事で俺の元に連絡が来たのだ。


 その後、俺は彼の過去の映像を漁ったという訳だ。


 それにしても、4階層では時間切れギリギリで、しかもボッロボロでのクリアだったのに、5階層ではほぼ無傷である。


 映像記録には音声も含まれるのだが、初めて5階層に挑戦したロイドットのこんな独り言を拾っていた。


『……なんで急に難易度が下がったんだ?』


 ちゃうねん。上がってんねん。

 むしろ他の挑戦者からしたら爆上がりだよ。

 制作者の俺ですら、最初は水中用追加パーツがなければHMGでやっとクリア出来るレベルだったんだよ。

 

 【ゴーレムダンジョン】内の映像は、【ゴーレムダンジョン】の入り口がある広間で生放送しているので、もちろんロイドットのこの活躍は、直ぐに他の貴族達にも知れ渡った。


 そんな貴族達の反応は――


「あのデュエラ家の三男が――嘘だろ?」

「大した才能もないのに、意地だけで4階層を突破した事は素直に称賛していたが――」

「いつも1人でチームの枠を1つ使うから嫌っていたが――」

「まさか我々よりも早く5階層をクリアするとは――」

「あっ――! こうしちゃおれん! 直ぐに次のオーディションの参加予約をしなければ」

「そ、そうか! 第5階層からは報酬が滅多にオークションに出らん。だが、彼はいつもクリア報酬をオークションに出すタイプだ。今回もきっと出すぞ」

「焦る必要はありますまい。オークションに出すのは自家が欲しい物を取得した後の事でしょう。なにせ他の貴族が出品していないから手に入れるには自分でクリアするしかないのが現状ですからな。オークションに第5階層のクリア報酬が出品されるのはもう少し時間をおいてからになるのでは?」

「それもそうですな。それより、自分で第5階層をクリア出来る様に、ここで彼の戦う姿を観戦させてもらって、研究する事の方が大事だと、私は思いますね」

「な、なるほど、確かに」


 てな感じだ。


 今のところ、水中用搭乗型ゴーレムはアクアゴーレムしか造っていないが、もし彼がガステアの記録に迫れるような事があれば、ロイドット専用水中用搭乗型ゴーレムなんて物を用意して上げても良いかもしれない。

 

 これからの活躍を期待しているぞ、マーマン・ロイドット。


 ……それはそうと、俺の記録が抜かれたのは悔しい。

 最近ガステアには差をつけられすぎて負け慣れてしまっていたが、ガステア以外に負けた事で、元来自分が意外と負けず嫌いだった事を思い出さされた。


 ということで、俺はちょっと私用が出来たのでここで失礼する。



======================


作者の戯言


次の話を書いている時に、満足をマンゾックと誤字してしまった時に、

ロイドット専用ゴーレムの名前をマンゾックにしようかななどと考えてしまいました。


……本編にロイドット専用機が登場するかは未定です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る