第570話 カドゥレーンにはこれと言って産業も名産もない。

 カドゥレーンにはこれと言って産業も名産もない。

 だからあの土地を欲しがる国もなかったのだが、最近アーキセル王国は、カドゥレーンのある物に目を付けている、それがリュウグウノツカイ風モンスターの極彩色の羽である。


 搭乗型ゴーレム、ムーゼンの動力炉としても使えるし、それ以前に最近魔道具製作が盛んになっているアーキセルに取ってはとても重要な代物だ。

 今は魔石に自身の魔力を定期的に補充しているエアコンや冷蔵庫も、極彩色の羽があれば、その手間と魔力が必要なくなる。


 まぁぶっちゃけ、俺であれば幾らでも生み出せる代物なのだが……

 極彩色の羽の入手経路が増える分にはアーキセルにとっては良い事だろう。


 さて、そこで俺が気になったのは2つ。


 先ずは乱獲問題。


 ネフィス家で生産している極彩色の羽は、魔力でモンスターを生成、そこから採取しているので、取り過ぎて絶滅などの危機はない。

 対して、カドゥレーン周辺のリュウグウノツカイ風モンスターは、ダンジョン産ではなく、自然発生しているモンスターなので、その数は有限である。


 そこでちょっと第2王子にその事をメールで確認してみたところ、以下の返事が返ってきた。


『極彩色の羽を持つモンスターに限らず、周辺のモンスターは狩っても狩っても数が減らない。ただ、何故か一定数以上は増えない様にも思える。今のところ乱獲での絶滅など考慮する必要はなさそうだ――』


 だそうだ。


 今後はどうなるかは分からないが、減少傾向が見受けられたら対策を講じるそうだ。

 それでは遅い気もしなくはないが、俺は別に専門家でもないし、黙っておこう。


 さて、次に気になった事なのだが、それが戦力だ。

 搭乗型チェスゴーレムであれば、リュウグウノツカイ風モンスターを狩る事は可能だろう。

 ただチェスゴーレムは全部で16機しかプレゼントしていない。それも、首都防衛の為に数機は常に待機させておかなければならない状態だ。

 せめてセットで32機プレゼントして上げておけば良かったな。


 パワードスーツゴーレムでは少々心許ないかも知れない。

 多分数人掛りでやっと1匹のリュウグウノツカイ風モンスターを倒せるぐらいだろう。並みの人間ではという但し書きが付くが――


 その事も第2王子に尋ねてみた。


『第5王子の計らいで、先行量産型ムーゼンの試験運用をカドゥレーンで行う予定になっている。これが上手く行けば、極彩色の羽の加工や運搬に関連し、カドゥレーン人の雇用にも繋がるだろう』


 つまり、ムーゼンでリュウグウノツカイ風モンスターが倒せるか試すって事?

 ム、ムーゼンでアレに勝てるかな?

 少なくとも俺が使ったあの魔法銃じゃ無理だな……


 先行量産型って言ってるし、本格的な量産がとん挫したりしたら嫌なんだけど?


 これはいかん。

 早急になにか手を打たねば――

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