第569話 俺は最近、ヒルダのストーカーをしている。
俺は最近、ヒルダのストーカーをしている。
「ねぇねぇヒルダ~。今時間ある?」
「は、はい。問題ありません」
「弟くん達に出した、希望する進路を聞いた手紙の返事は来た?」
これを聞き出すのが目的である。
なお、1日10回ぐらい聞いてたら、手紙はそんなに一瞬では帰って来ないと怒られた。ミランダに。
なので最近は1日2回だけヒルダの所にこの質問をしに行っている。
先日のムーゼンお披露目の時に、俺は思ったのだ。
ムーゼンをより良い感じの、それこそ騎士達に戦力として認めて貰う程度の兵器にする為には、それなりのテコ入れが必要である、と。
そこで俺が目を付けたのが、ムーゼンのお披露目の時に、俺の頭を過った存在。ヒルダの双子の弟達である、リークとルークである。
本当は2人には、カボシティの闘技場にオリジナルゴーレム部門で活躍して欲しいなぁとか考えていたのだが、そもそもオリジナルの搭乗型ゴーレムを造れる人が少なすぎて、その部門が開設出来るかも未定である。
だったら、城勤めの魔道具師になってもらい、ムーゼンやその後継機の開発に尽力してもらった方が良いんじゃね? という考えに至ったのだ。
「はい。先ほど返事がきました。えっと、2人の進路は今のところ未定だと――ただ、父としては2人ともに自分の後を継いで欲しいと思っているみたいです」
「は? え? 2人で家督を継ぐって事? そんな事できるの?」
「あ、いえ。家長はリークになると思うのですが、双子の強みを生かして2人仲良くという事だと思います……」
「それに対してリークとルークはなんて?」
「押し付け合っているといいますか、2人ともゴーレム関係の仕事をしたいと思っているんだと思います。ただ……ネフィス家での直接雇用ならばともかく、それ以外の場合は父は認めないと思います」
「何でさ? 最近は魔道具師の評価って上がってるって聞いたけど?」
「確かに、アーバン様のお陰で魔道具師の評価は高くなっていますが……父は昔気質と言いますか……父の中で魔道具師なんかって考えは無くなっていないみたいです。それは父だけじゃなく、多くの古い貴族もそうです。どうせ魔道具師の評価が高いのはアーバン様のご存命の間だけの一過性の物だと考えている者も少なくないそうです」
バカバカしい。
現に俺抜きで多くの魔道具を作れるようになっているじゃないか。
トイレとか。
「ただ、簡単に説得させる方法もなくはないのですが……」
「というと――」
「…………」
俺が尋ねると、ヒルダは何故か黙ってしまった。
「言いにくい感じの方法?」
「え、ええ。その……貴族はコネクションを大事にしますよね? 父はその傾向が特に強いです……いえ、貴族なら普通かもしれませんが――」
「つまり、リークとルークが王宮魔道具師になるのを認める代わりに、俺が繋がりを持てば良いって事?」
それはちょっと――
あんまり覚えて無いけど、俺はヒルダのお父さんの事嫌いだった記憶があるし。
「いえ。その……これも言いにくいのですが、父は多分、王族との繋がりの方が喜ぶかと……身内の恥を晒すようで恥ずかしいのですが」
違ったぜ。
ちょっと自惚れてたみたいで恥ずかしいぜ☆
「つまり、俺から第5王子辺りに今の話をすれば万事解決?」
「え? い、いや、それはどうでしょうか? それで第5王子殿下がどう動くかは私には分かりかねます。それに、弟達が本当に王宮魔道具師になりたいと思っているかも不明ですし。私としては出来るだけ弟達の要望に沿う形になれば嬉しいと思っています」
「じゃあ次の手紙にはさ、”最近王宮魔道具師が独自に搭乗型ゴーレムの製作を開始したらしいけど、その開発に携わる仕事とかって興味ない?”って書いて聞いてみてよ」
「それはその……もし弟達が王宮魔道具師になる事を希望した場合、弟達の為に口利きをして頂けると言う事でしょうか?」
「うん? いや~、第5王子にお願いはしてみるけど、俺は別に王宮魔道具師にコネがある訳じゃ……ん? 第5王子にお願いする時点で大きなコネか? うん、そうだな。多分口利きできると思う」
「あ、ありがとうございます!! さっそく手紙で確認してみますね!」
ヒルダはお辞儀をしてからスタスタと去って行った。
くっくっく、久しぶりにアーバンさんの恥謀が――間違えた。智謀が唸るぜ。
これであの2人がゴーレム開発に加われば、ムーゼンに渋い顔をしていた騎士達を近い将来、分からせる事が出来るかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます