第311話 例の第3王子の映像関係の打ち合わせやらチェックやらで
例の第3王子の映像関係の打ち合わせやらチェックやらでちょくちょく王城にお邪魔しているのだが、今その王城ではちょっとしたブームが起こっている。
それが以前作ったゴーレムのボードゲームだ。
アレ、実はまだ市販していない。
代わりに試作品を王家に10セットほどプレゼントしてみたのだが、それが結構流行っているらしい。
なお10セット内わけは1~5王子に1つずつと国王に1つ、それと自由に使えるように5つだ。
仲間外れは可愛そうなので第2王子にもプレゼントする俺、優しい。
第3王子も気に入ってくれたらしく、王城を訪れる度にちょくちょく相手をして貰うのだが、実力は……う~ん、微妙。
第1王子や第5王子とも軽く手合わせしてみたが、どちらも第3王子と同程度の実力だった。
その他ネフィス家の外部の人間で言えば、ガステア、ヌーボルト、ハイベルト、ミゼット等とも遊んでみた。
ゴーレムの操作技術は関係無いので流石のガステア神と言えど、と思ったのだが、このここまで名前が出た中ではガステアが頭一つ抜けて強い感じだった。それでも俺やオリビエ先生程ではないが。
尚ガステアにはこのボードゲーム、あまり刺さらなかったようで、ボードゲームで遊ぼうと言うと、それよりミニゴーレムで遊ぼうと返してくる。
他人の試合にもあまり興味が無いらしく、俺とヌーボルトが遊んでいるのをハイベルトが観戦している横で、ずっとミゼットとミニゴーレムで遊んでいた。
そうして遊んでいると、ヌーボルトが面白い事を教えてくれた。
「先日、このボードゲームを使った大会…という程ではありませんが、王城内で誰が一番強いのだろうか?という話しが上って王族や貴族が合わせて24名ほど競い合ったところ、そこで決勝でガステア殿を下し優勝したのは意外な事に、第2王子殿下でした」
…い、意外すぎる。
オッズは何倍ですか?
万馬券もビックリだな!
というか、属国になったカドゥレーンの対応とかの戦後処理とか、第3王子の映像の件とか、色々忙しいだろうに、よくそんな人数が参加したな。
「僕的にもっと意外だったのは、その優勝した第2王子が、陛下の何か褒美を取らそうという言葉に対して、必要ありませんの一言で済ませたことかな。以前の第2王子なら搭乗型ゴーレムの一つでもせがんで陛下を困らせそうだけど…」
ははぁん、ハイベルトのその言葉でアーバンさんはピンと来たぞ。
駄目じゃないか影武者さん、もっとちゃんと第2王子を演じないと。
なんていうのは冗談だが、第2王子にも意外な才能があったもんだ。
何て事を考えていると、移動中にばったりと本人、つまり第2王子と遭遇した。
ノークエルトではない第2王子と一緒に居た付き人2人と俺の案内役の貴族が同時に、しまった、という表情を浮かべている。
そんな第2王子は手にゴーレムのボードゲームセット専用の収納ケースを持っている。
さては結構気に入っているな?
「ご無沙汰しております、第2王子殿下」
「……ああ、久しいなアーバン=ネフィス」
「先日城内で行われたそのゴーレムのボードゲームの大会で優勝なされたと聞き及びました、おめでとうございます」
「別になんの自慢にもならんがな」
「そのボードゲーム、私が造った物なのですが、気に入って頂けましたか?」
「王位継承権の順位降格に伴い、様々な権利を奪われ、徐々に人脈も封じられ、今は特に何も出来ん身だ。日がな一日、このボードゲームだけをしている日も少なくない有様だ」
素直に気に入っていると言えば良いのに。
「ところで…私も発明者としてそれなりに腕に覚えがあります。どうでしょう、もし殿下のご都合さえ合えば、一つお手合わせなど願えませんか?」
噂の実力をちょっと確かめてみたくなったので、そう第2王子に切り出してみた。
「なに?お前――貴公とか?………」
第2王子は顎に手を当て悩んでいる様だ。
「実は身内からアーバン=ネフィスとの接触を禁ずると言われていてな。今回は偶然の遭遇だから仕方が無いが…」
「なるほど、ですが今回は私からのお誘いですし、その事は今この場に居る全員が証明してくれると思いますよ?」
「……そうだな、では少しお相手願おうか」
なんか、第2王子は覇気が無いな。
一気に老けた感じとでも言うべきか。
きっと第5王子辺りからネチネチと嫌がらせでも受け続けたのだろう。
第2王子は、その性格からとにかく高コスト機体ばかりを選べるだけ選ぶと思っていた。
だが実際にはバランス良く揃えて来た。
俺の選抜した機体に構成が似ている。
「もし殿下が私に勝てれば、そうですね、搭乗型ゴーレムの貸与を考えても構いませんよ?」
「…ふん、要らん。どうせ今の俺には搭乗型ゴーレムがあったところで出来る事なんぞ何もない。そんな話しならばノークエルトにでもしてやるんだな」
「そういえば、ノークエルト殿は現在は殿下の下で働いているのですよね?」
「…仕事も碌に無いがな」
……第5王子、ちょっとお兄ちゃんを虐め過ぎたんじゃないか?
大分しおしおになってしまっている気がするが。
「ノークエルトの奴はお前…貴公のゴーレムを使ってカドゥレーンの未開の地の開拓をするべきだと、俺にお前の説得をするように唆そうとしている」
「その話しはヌーボルトやハイベルトから伺っております」
「アイツも馬鹿よな。完全に人選ミスだ…今の俺はこうやって魔導玩具で遊ぶぐらいしかする事もない。では弾くぞ」
このボードゲームの先攻後攻は、じゃんけん、サイコロ、そして今回の様にコイントスといった実にアナログな方法で決めるルールだ。
ピン――
第2王子が親指でコインを弾き、それを綺麗にキャッチすると、反対の手の甲の上にコインを持った手を覆いかぶせた。
「表」
「…表だ」
「では、私は後攻を選ばせて貰います」
「このゲーム、俺は先攻の方が有利だと考えるが?」
「まだ生まれたばかりのゲームですからね、定跡もまだまだ確立されておりません」
「それを手探りで見つけていくのも、存外楽しい物だな。それこそ、真っ白な未開の地の地図を自分の手で埋めていくような楽しさなのかも知れんな」
そう言って、第2王子は1機のHMGを1マス前へ動かした。
いや、結局説得はしようとするのかよ。
今のアレだよな、遠回しに開拓は面白そうだとは思わないか?って言ってきたんだよな?
「ヌーボルトやハイベルトは、私が贈与した搭乗型ゴーレムでカドゥレーンの未踏の地の調査、開拓を行うつもりの様ですよ?」
こちらはユースフルを左前に2マス動かす。
「貴公はそれを認めたのか?」
先ほどとは別のHMGが1マス進む。
「ええ、贈与した搭乗型ゴーレムに関しましては自由に扱って構わないと伝えてあります」
こちらもHMGを、先ほどのユースフルの隣へ。
「結局、俺もノークエルトも、ただ空回りして終わっただけだったようだな」
ヨルレア・フェーレを1マス下げながら、第2王子は自嘲気味に笑った。
結果は俺の勝ちだったが、確かに第2王子は結構強かった。
その内このボードゲームが貴族の嗜みとかになった暁には、彼が脚光を浴びる日が来るかもしれない。
…俺とオリビエ先生が参戦しなかったらな!
「時にアーバン=ネフィス、このゲーム、何という名なのだ?現在王城内ではゴーレムのボードゲームと呼ばれているが、正式名称を知りたいのだが?」
「ゴ、ゴーレム・ウォーズです」
別に今咄嗟に考えた名前ではない。
ちなみに魔道具では無い方は”ウォゴス”と名付けた。
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