第296話 朝、オリビエ先生の手によって、
朝、オリビエ先生の手によって、それは見事な白馬に生まれ変わったケトゥエルに跨り、島の浜辺を1周してくると言う暴れん坊夫人ことコーネリアを見送ってから、俺はそのまま浜辺で新しい魔法陣を考案していた。
酸素を生み出す魔法陣だ。
水中戦ゴーレムに必須な物として、俺が思いついたのが3つ。
酸素と気密性と二酸化炭素の排出だ。
酸素を作り出すのは実はそれほど難しくない。正確には空気の特性を持つ魔法という方が正しくはあるのだが。
なにせ水を生み出す魔法陣が存在するのだ。
その魔法陣から水素を取り除いてやればあら不思議、酸素を生み出す魔法陣になる。
まぁ正直それほど長時間水中に居るとは思わないから、酸素ボンベでも構わないんだけど……
その内水中に基地とか、潜水艦とか作るかも知れないし、作って置いて損は無いだろう。
ちなみに、水魔法もそうだが、酸素魔法も、時間経過と共に生み出された酸素は消滅する。これは常に少量の酸素を生み出し続ける事で解決出来るので問題無い。
気密性だが、パッキンとかでは無くゴーレム魔法を使う事にした。
つまり、搭乗者が乗り込むと搭乗口がゴーレム魔法で溶接される。
もちろん開くときもゴーレム魔法で開くのだが……ちょっと怖いか?魔力が無くなる、或いは魔法陣が損傷すると開閉出来なくなる…のは他のゴーレムでも一緒か。
うん、多分大丈夫だろう。一応、念のためコックピット内部に水中用の装着型ゴーレム(魔石:小)の入った次元収納を備え付けておこう。
最後に二酸化炭素の除去だが…
なんのアイデアも浮かばない。
前世の知識でも正直詳しくは知らない。
潜水艦や宇宙ステーションではどうしていたのか…う~ん、スマホがあるのにネットで調べられないもどかしさよ。
「おや?珍しいねアーバン、アイデアに煮詰まったのかい?」
どうやらもう1周して来たらしい、コーネリアが馬上から話しかけ来た。
「うん、まぁそんな感じ」
「考えに煮詰まった時は気分転換をするのがおススメだよ。そうだ、アーバンも一緒に走らないか?」
そう言ってコーネリアは自信の膝をポンポンと叩いた。
……もしや膝に乗れと?
いや、普通逆では?
「いや俺は遠慮して――」
断ろうとすると、ケトゥエルが顔を摺り寄せて来た。
魔力が欲しいのかと魔力を流すが、変わらずスリスリしてくる。
「ほら、ケトゥエルもアーバンに乗って欲しがっているよ?」
そうなん?
愛い奴め。
「分かったよ。ただ流石にコーネリアの膝に乗るのは恥ずかしいから、俺が下ね」
「うん?そういかい?私はどちらでも構わないよ」
一度コーネリアがケトゥエルから降り、俺が乗馬すると、コーネリアがひょいとジャンプして俺の膝に跳び乗る。
多分ケトゥエルが全速力で走るより、コーネリアが全速力で走った方が早いんじゃないかな。
それを言うと、今の俺ならゴーレムに乗るより……
まぁ、趣味嗜好は人それぞれだよな、うんうん。
横向きに俺の膝に座ったコーネリアはそのままケトゥエルを走らせるように言う。
「たまにはお姫様気分も悪くないね、学園ではいつも王子様をやらされていたからね」
本物の王子が在籍していたのにね。
その時、コーネリアの腰にベルト型魔道具が巻かれているのに気づいた。
どこかで見た事あるような?無いような?
……あ、思い出した!
「これ、学生の時に俺が作った毒無効のベルトだよね?まだ持ってたんだ」
「当たり前じゃないか、大切な君からのプレゼントだ、大事にしているよ。今日もこの後イブたちのダンジョン探索について行こうと思ってね、もちろん生身で。もしかしたらボスが毒を使うかもしれないからね。念の為に装備しておいたんだ」
今の俺ならブレスレットどころか指輪サイズでも作れるが…野暮かな?
ん?
待てよ?
毒無効?
実はこれ、毒の種類とかお構いなく毒と判断された物全てを無効化するとんでも魔道具なんだけど……
もしかしてこれで二酸化炭素をどうにか出来ないかな?
二酸化炭素って毒だよな?
後で試してみるか。
「アーバンもダンジョンに同行するのだろう?」
そうだった。
毒無効の実験はダンジョン探索の後、夜で良いか。
「ええ、ダンジョンデート…って、色気が足りないなぁ」
「そうかい?私はそれなりにロマンチックだと思うが…」
どの辺が?
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