第231話 結局その後ヌゼにもドラゴン討伐訓練に付き合わされて、
結局その後ヌゼにも
おかげで、生で元冒険者たちによる初の合体成功シーンを見逃してしまった。カボが撮影してくれていたので、それを見れたからまぁ良いが。
それじゃあ早速搭乗型サイズのゴーレムたちを作って行こうと思ったところで気になる情報を手に入れてしまった。
なんと、もうすぐエファンの10歳の誕生日なのだとか。
この国では、というか貴族の間だけかもしれないが、基本誕生日と言うものは10歳までしか祝わない事が多い。
前に母から、「ゴドウィン卿が19歳の御令息に誕生日にミニゴーレムをプレゼントしたいそうなのだけど、なかなか手に入らないらしいの。アーバンちゃん、融通してくれないかしら?だめかしら?」と言われた事があるので、例外はあるのだろうが。
エファンの親はかなりのクズだったっぽいので、多分碌に誕生日を祝ってもらった事など無いだろう。
となれば10歳の誕生日という事もあり、盛大に祝ってあげたい。
ということで、ゴーレム作りは一旦中止し、エファンの誕生日に向けて準備をする事にした。
会場は、寮だとエファン本人がいるので避ける。どうせならサプライズにしたいからな。
ということで、元冒険者たちの仮拠点にと思って用意していたコンテナハウスの少し大きいバージョンを作り、その中をパーティ仕様に飾り付けることにした。
食事やらケーキやらの準備を使用人たちに頼み、後はプレゼントを決めるだけだ。
それにしてもプレゼントか……腕時計とか、財布とか、服とか?ちょっと大人び過ぎか?玩具系の方がエファンは喜ぶ気がする。とりあえず、まだエファンに渡して無いミニゴーレムを数種類はプレゼントするとして、あとは何にするか……
あぁ、良く考えたら俺、人に誕生日プレゼント渡した事無い。全然良いプレゼントが思いつかないぞ。こまった。
とりあえず思いついた物は全部プレゼントするとして、後はリサーチしてから決めよう。本人にもそれとなく聞くとして、周りからも情報収集だ。
「……エファンの誕生日パーティー、ですか?」
最初に話し聞いたのはイブだ。
「そう、もうすぐ10歳の誕生日らしいからね。せめて10歳の誕生日は祝ってあげたいと思って」
「私たちは……いえ、そうですね、大事な事かもしれません」
「それで、エファンに渡す誕生日プレゼントについて考えていたんだけど、中々良いアイデアが浮かばなくてさ。何が良いと思う?」
「そうですね……私たちからもプレゼントは渡したいですし、アーバン様はアーバン様にしかご用意出来ない様な特別な物が良いかもしれません」
「やっぱ魔道具?」
「そうですね……エファンなら小型ゴーレムを喜ぶと思いますが――」
「それはとりあえずプレゼントに入れてる。でも、今までにも何個もプレゼントしているし、誕生日プレゼントってもう少し特別感が欲しいと思うんだよね」
「……渡す誕生日プレゼントは1つでは無いのですか?」
「え?そんな制限があるの?俺が子供の時は両親にたくさん貰ってたけど」
「それはアーバン様は貴族だからでは?」
「平民は1人1個なの?」
「……すみません、私も人間の誕生日ついてそこまでは詳しくありません。今のは私のイメージです。人間の誕生日についてはアノーレやウルドの方が詳しいと思われます」
「あ、そっか、イブはエルフだもんな。まぁでも、あんまり一般的な家庭の事は考えなくて良いと思う。エファンはこれまで大変だったろうから、今回の誕生日ぐらいは人よりプレゼントが多くたって、豪華だって、派手だって、なにより楽しくたって良いと思わない?」
「そうですね……ええ、私もそう思います」
「と言ってもこれはあくまで俺がそうしたいからそうするだけで、他の参加者に強制したりするつもりはないよ。というかあまり貰い過ぎてもエファンも困るかもしれないし、俺以外の参加者にはプレゼントは1人3個までという制限を設けようかな」
「アーバン様は?」
「俺はあげたいだけ全部プレゼントする!」
「ふふ、それはズルいですね」
おお、イブが笑った。珍しい。
「くっくっく、なんせ俺はお貴族様だからな」
「それでは、私も当日までにエファンが喜びそうなプレゼントを用意しないといけませんね。使用人の方に買い物を頼んでも宜しいでしょうか?」
「それでも良いけど、外出しても良いよ?」
「なるほど……そうですね、確かに今回は自分の眼で確認しながら買い物がしたいです。それでは外出許可を頂けますか?」
「良いよ良いよ、ついでだからショッピングを楽しんで来なよ。あ、そうだ。ウルドとアノーレには誕生日パーティーの事は俺から伝えておくから。プレゼンを決める為に聞き取り調査もしたいから、そのついでにね」
「畏まりました」
次にウルドのもとに行き話しをした。
「なるほどエファンの誕生日ですか」
「そう、それで誕生日パーティーをしたいんだけど、ちょっとプレゼントについて迷っててね。なにか良いアイデアは無いかな?」
「う~ん、ちょっと俺には思いつきませんが、俺がガキの頃はちょっと飯が豪華になるとかでしたね」
「え?プレゼントとかは?」
「記憶にある限りだとその飯がプレゼントって感じでしたね」
「それって平民だと普通?」
「いや、ちょっと他の家庭だと分からないです。ただ我が家だとそんな感じだっただけで」
「友達にプレゼントを貰ったりあげたりとかは?」
「ないですね。そもそも友達と遊ぶとかってのがあんまり無かったです。それはうちだけじゃ無くて、平民の子供なんて大体家の手伝いばかりしてると思いますよ」
「う~ん、そうか……ちなみにウルドはエファンに何をプレゼントするの?」
「え?俺もなんかプレゼントするんですか?」
「え?まさかしないつもり?」
「ああ、いや、そうですね。何かプレゼントすべきですかね。と言われてもさっき話した通り、俺はそういう経験が無いんで何をプレゼントしてよいやら」
「それじゃあイブと一緒に選ぶのも良いかもね、外出して見ながらプレゼントを選ぶって言ってたから」
「は?あのイブがですか?」
「どのイブだよ」
「いやぁ、普段かなりケチなイメージがあるもんで、ちょっと驚きまして」
「ああ、確かに倹約家のイメージはあるね。でもエファンの誕生日プレゼントをケチるとは思えないな」
「そう言われればそうですね。わかりました、イブに相談してみます」
「うん、そうすると良いよ。あ、そうだ、この後アノーレにも話しをしに行くから、その結果では3人で買い物する事になるかも」
「了解です」
次にアノーレと話しをしに来た。
「わかりました。アタイも誕生日プレゼントを用意しておきます」
「ちなみにアノーレが子供の頃ってプレゼントとか貰ったりしてた?」
「はい。ウチだと母がボロくて着れなくなった服で人形を作ってくれたりしましたね」
「なるほどねぇ。やっぱり家庭ごとに結構違うのかもなぁ」
「そうですね。まぁ、アタイも他の家の事は知りませんけど」
「それで、何か良いプレゼントのアイデアは無いかな」
「それならカメラが良いと思います」
「カメラ?」
「はい、装着型ゴーレムにカメラが内蔵されてからはエファンが写真を撮る必要もなくなりましたよね?それから少し寂しそうにしていました。カメラが好きだったのか、撮影係という役割が無くなったのが寂しかったのかまでは分かりませんが」
「なるほど……」
それは気づけずに申し訳なかった。
「カメラならアーバン様ぐらいにしか用意出来ませんし、特別感もあるのでは?」
「そういえば、前に使ってたカメラはどうしたっけ?」
「あれもまだアタイたちが使っている次元収納の中に入っていますね」
「ええ~……それじゃあ別にカメラ好きじゃないんじゃない?カメラが好きで、カメラがあるなら普通使うでしょ?」
「自分の役割では無くなったので我慢してるんだと思います。勘ですけど」
「我慢?」
「アーバン様はお忘れでしょうけど、アタイたちは一応奴隷ですからね。カメラで写真を撮るのはエファンにとって自分に与えられた役割であって、それが無くなった今、自分がカメラで写真を撮りたいと言うのは我がままになると感じているのではないかと」
「別に忘れて無いってば。でも、休暇は与えているし、他の玩具とかも与えているし、好きに遊ぶようにって言ってるのに、なんでカメラだけ我慢するのさ?」
「カメラを玩具として考えていないのでは?」
「ああ~……」
「それにあれはアタイたちに与えられた装備みたいなものですし、エファンのカメラって考えてもないのかも知れません」
「なるほどね。参考になったよ、ありがとう」
「いえ。参考になったのなら良かったです」
「ところで、アノーレはエファンのプレゼントどうするの?」
「アタイもイブとウルドの2人と買い物しながら考えようかなって思います」
「そっか」
それから、エファンと仲良くしているメイド数人にも声を掛けてから、カメラの製作に取り掛かった。
今回はデジタルカメラっぽい魔道具にしておく。
ついでにエファンが写真は現像するに限る。ってタイプだった時の為にプリントする為の魔道具もセットで付けておこう。
カメラも完成し、エファンにバレないようにパーティー会場の準備を進め、そうして、ついにその日を迎えた。
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