第230話 少し手が空いたので今のうちに元冒険者たちが乗る合体ゴーレムを作ろうとおもう。
少し手が空いたので今のうちに元冒険者たちが乗る合体ゴーレムを作ろうとおもう。
当然リーダーのイブの乗る機体を胴体部に来るように作りたいのだが、イブの機体は鷹をモチーフに作るつもりなので、ちょっと機体サイズが小さい。
そこで上半身、つまり胴体と腕にはウルドのバッファロー型ゴーレムを割り当てて、イブの鷹型ゴーレムの顔が胸部に、翼は翼として背中に来るようにした。
右脚をアノーレの乗るチーター型ゴーレム、左脚をエファンの乗る狼型ゴーレムが担当する。
合体すると、普段はイブの鷹型ゴーレムの中に収容されている頭部が最後ににょっきりと顔を出して合体完了となる。
そうなると意外に4機でおさまりが良い気がするので、最初はカボも入れて5機で合体させようと思っていたが、もういっそ4機合体でいくことにする。ちょっとした問題点としてパイロットが偶数だとコックピットで赤、つまりイブをセンターに配置しづらいというのがあるが、これは体のデカいウルドをイブの後ろに配置する事で、何となくバランスを取ろう。
ちなみにそれぞれの機体の色は、それぞれが使っているパワードスーツゴーレムの色に対応している。つまり、イブの鷹型ゴーレムは赤を基調にした機体。ウルドのバッファロー型ゴーレムは緑を基調にした機体、アノーレのチーター型ゴーレムは黄色を基調にした機体、エファンの狼型ゴーレムは黒を基調にした機体だ。
どれも単独でも搭乗、多少の戦闘は可能にする予定だ。
試しに作ってみた模型を皆に見せて感想を聞いてみた。ちなみに大きさは合体状態で30cmぐらいのやつだ。まだ模型なので手動で変形、合体は出来るが、別に魔法陣は描き込まれていない。
肝心の皆の感想なのだが、一部を除きあまり宜しくなかった。ドラゴレイムのデザインを好む感性を持つチラズにさえちょっと首を傾げられてしまった。
「正直色がチグハグ過ぎて、色だけでも統一感を持たせませんか?」
との事。
わ、分かって無いなぁ、このチグハグ感が良いのではないか。
オリビエ先生はもともとゴーレムのデザインにさほど興味が無いらしく、無感情に、
「良いんじゃ無いですか?」
と言われた。
おそらく言外に(どうでも)って付くタイプの奴である。
肝心の搭乗予定者たちの反応だが、ウルドは顔を顰めながら、
「お、俺にはゴーレムのデザインの良し悪しは分かりかねます」
と答え、アノーレは、
「うーん、アタイは嫌いでは無いですよ」
と答え、イブは、
「どんなデザインでも問題ございません」
と答え、最後にエファンだけが、
「カッコいいです!!僕今までに見せて貰ったゴーレムの中でもいちばん好きかも!あ、でも前に貰ったドラゴンみたいなのもカッコイイし、装着型ゴーレムもカッコイイし、他にもいっぱいカッコいいし、うーん」
と言ってくれた。
なんと可愛い子だろうか。
その他何人かに聞いても別に否定的な意見はチラズ以外からは出なかったし(明らかに気を使われている感は何人かから感じたが)、エファンも喜んでくれるしもうこれで行こう。
何より俺が作りたいし。
一度模型をバラして魔法陣を描き込んでから、イブたちに配った。
先ずは小型のゴーレムで操作と合体の練習をしてもらうためだ。
イブ、ウルド、エファンの3人は直ぐに単体での操作に慣れた様なのだが、アノーレがちょっと苦戦したようだ。
イブの鷹型ゴーレムは常時飛行するタイプのゴーレムだが、これはパワードスーツゴーレムで慣れていたイブにとっては何の問題も無かったようだ。
ウルドのバッファロー型ゴーレムとエファンの狼型ゴーレムは4足歩行で普通なら操作に慣れるまで時間が掛かる筈なのだが、前にエファンに4足歩行のミニゴーレムを玩具としてプレゼントしたことがあった、その遊びに付き合えるようにとウルドにも同じく別の形の4足歩行ミニゴーレムを渡しており、2人はそのミニゴーレムで遊んでいたため4足歩行ゴーレムの操作には慣れていたようだ。
エファンくんが俺がプレゼントした玩具でちゃんと遊んでてくれたようで嬉しいし、ウルドもちゃんとエファンに付き合ってやってたんだなと、勝手にほっこりした。
アノーレのチーター型ゴーレムも4足歩行なのだが、アノーレには4足歩行のミニゴーレムを渡してないので、当然練習も出来ておらず、慣れるのに苦戦したようだ。アノーレに4足歩行ゴーレムを渡して無い理由は別にハブったとかそんなじゃない。女性陣はエファンと別部屋になるだろうから、あまり遊ぶ機会もなさそうだと思って、アノーレとイブには渡さなかっただけだ。
さて、漸くアノーレもチーター型のミニゴーレムの操作にも慣れて来たところで、さっそく合体の練習に移って貰ったのだが、これがもう全然うまくいかない。先ず合体の為に変形するのにかなりもたつき、合体自体はもたつくどころか何度やっても1度も成功しない。時折機体を破損する度に、4人が何となく申し訳そうな顔をしている横で俺が修理し、また練習を再開するというのを繰り返した。
途中、あまりに成功しないので、ガステア神のお力に縋ろうかとも思ったのだが、なかなか合体が上手く行かず、失敗したり、時には仲間と衝突したりするのもお約束かなと思い、ガステアに連絡する代わりに俺はカメラを手にした。
ただ、練習しているのがミニゴーレムなのもあり、訓練風景というよりは4人家族のホームビデオみたいになっている気がする。
あ、ほら、ウルドパパ、ちゃんと機体を固定させて。イブママがタイミングが取りづらそうだぞ。
ゆっくりでも良いので成功が出来るようになったら、一度AIに動きを覚えさせて、後はサポートしてもらえば成功率は格段に上昇するはずだ。
搭乗型ゴーレムを製作するのはそれからかな。
「もう1回挑戦するわよ。皆タイミングを合わせて、それじゃあ、せーの!」
あっ、イブ、掛け声はゴーレム合体!でよろしく。
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