第191話 工房の床に置いてある木箱が蓋をパカパカとさせながら話しかけてくる。

 工房の床に置いてある木箱が蓋をパカパカとさせながら話しかけてくる。


 [私ハ試作型サポートAIノカボデス、何カオ手伝イ出来ル事ハ有リマスカ?]


 ちなみに、カボはカミーユボイスの略で、カミーユには丸3日かけて色々な音声パターンを収録して貰った。


 木箱の大きさは100センチ×50センチ×100センチほどと割とデカい。

 魔法陣は内側に描き込んであるので外見は完璧にただの木箱だ。木箱の中にはスピーカーとマイク、それと魔石が入っている。


 学習機能で色々と学ばせている最中なので、常に起動した状態で床に放置してある。

 オリビエ先生や使用人たちが面白がって色々と言葉を教えてくれるので助かっている。


 「お手伝いと言ってもなぁ、特に何とも連動していない今の段階で出来るの事なんて無いんだよなぁ。適当にメイドさんとおしゃべりしてて」


 [畏マリマシタ]


 木箱とメイドが会話をしているという奇妙な光景を横目に、俺は縮小の魔法陣の解析を進める。


 聞いた話じゃ無機物に対してのみ使用出来るという話だったが、魔法陣を見る限り、別に有機物にも使用出来るようだ。ただし、生命に対しては使用できない。

 体積が減ると質量も減る。硬度や強度、性質には変化を与えないと思う。

 また、魔法陣に対しても効果を発揮し、縮小した魔法陣は正常に作動すると思われる。


 という事で試しに水球玉に対して使用してみた。

 野球ボールサイズの水球玉をビー玉サイズにして試射、普通に発動したし、威力に変化も無いようだ。

 イブは現段階では有用性は低いと言っていたけど、俺にとっては現段階ですでに有用性はかなり高い。

 いや?火炎玉がビー玉サイズになれば冒険者たちもありがたいのでは?ああ、縮小の魔道具が手に入る階層まで潜れる冒険者が今更火炎玉なんて使わないか。そうだ、脱出と転移の魔道具はこれで小さくしてあげよう。ポケットなどにしまっておければ、いざという時に使いやすいだろう。


 待てよ?魔法陣に対しても問題なく作用するんだよな?という事は……


 俺は試しにカボに対して縮小の魔道具を使用してみた。


 [ギャー、何ヲスルー、人デナシー!]


 ……カメラも付いてないのにどうやって状況を判断したんだ?

 ああ、魔法陣に流れ込んできた魔力の流れで判断したのか……凄くね?


 おしゃべり木箱はみるみる小さくなっていき、手のひらサイズになったので、そこで止める。


 「カボ、問題なく喋れる?」


 [……問題アリマセン]


 「そっか、なら良かった」


 […………]


 さて、カボの小型化にも成功したことだし、一度小さくした物体を大きく出来るように魔法陣を改良しないとな、今のままでも使い道は多いが、一番の目的の次元収納に組み込む事が出来ないからな。


 […………]


 何か、不服そうな気配を感じる。

 気のせいだな。


 「わぁ、カボちゃん、小さくなってなんか可愛い!」


 [カボハ可愛イ、覚エマシタ]


 うん、やっぱり気のせいだな。

 というか、小さくなっても見た目ただの木箱だが?可愛いとは?

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