第149.5話 ヌゼ視点

 コーネリアに聞かされてはいた。アーバン殿はコーネリアや私を越える剣術の腕前を持っていると。

 正直まったく信じていなかった。惚れた男の事を過大評価しているのか、それとも私にアーバン殿との仲を認めさせるための嘘か、と。

 よくよく考えてみれば、コーネリアがそんなウソをつく筈が無いし、こと剣術に関して、あの子が相手の実力を見誤るとも考えにくい。

 

 当時の私はただアーバンという存在を否定する事しか考えていなかったのだろう。


 ナイトロードに魅入られてからはその話はすっかり忘れていた。


 そして今、私は見惚れている。アーバンと言う一人の剣士の剣術に。


 操るのは確かにゴーレムだし、その手に握られているのは騎士が普段使用する事のないダガーだ。

 それでも、彼の剣術は私が見て来たどの騎士のそれよりも美しかった。


 騎士として20年の訓練と実戦で培ってきた全てを出しきって、それでもただの一太刀すら浴びせる事すらかなわず、気が付けばリストゥエラは天を仰いでいた。

 


 しばらくそうした後、私はリストゥエラから降り、そして改めてアーバン殿と対峙すると自然に涙が零れ落ちた。感動からだろうから?くやしさからだろうか?喜び?悲しみ?

 正直、自分でも自分の感情が理解できない。それでも体と口が勝手に動いていた。


 「アーバン殿!!!!どうか私を弟子にして下さい!!!!!」


 アーバン殿は認めてはくださらなかった。


 それどころかあまりしつこいとリストゥエラを取り上げると言われてしまった。

 それは困るので彼の足から急いで離れる。


 「弟子にはしませんが、今日の様な模擬戦なら大歓迎です。もちろんゴーレムに乗っての模擬戦に限りますけどね。またお時間の都合が合いましたらお相手をお願い出来ますか?」


 「も、勿論ですとも!!」


 少しでも彼の技を吸収出来るように頑張ろう。よし、明日から毎日魔力切れまでリストゥエラに乗って少しでも腕を磨こう!!次の模擬戦では彼から1ポイントでも取るのだ。


 「共に頑張ろう、リストゥエラ!」

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