第94話 文化祭3日目。
文化祭3日目。
今日と明日は運動部の出し物の日だ。
ちなみに今日も俺はカミーユと2人だ。
魔道具研究部の部員は初日と同じでクラスの友達と見て回るらしい。
パンフレットで各運動部の出し物を確認する。
武術部は部員同士でトーナメント戦を行うらしい。また、初日と2日目で内容を変更するそうだ。2日目は部員以外の生徒が部員と手合わせして、勝つことが出来たら賞品が出るらしい。部員の強さに応じて賞品のランクが異なるのだとか。なお景品の詳細は記載されていなかった。景品表示法?今のところこの国では聞いた事のない法律だ。
次は魔術部。……魔法って運動だったのか。
ちなみに、昔は魔法を行使して戦う
魔術部も初日と2日目で内容が違う様だ。初日は魔法を使ったパフォーマンスを披露するそうだ。此方は吹奏楽部が手伝っているらしい。
2日目は土の魔法を使った射的の様な出し物らしい。動く的に点数を付けて、それを土の魔法で打ち抜く。1分で何点出せるか競うらしい。制限時間内なら何発でも撃って良いらしく、こちらは得点に合わせて賞品が変わるらしい。
0~50点でハンカチ、51~80点で万年筆、81~100点で魔導書(ダンジョン産のレプリカ)、101~120点で王家御用達の家具メーカーの机と椅子のセット、121点以上で???と書いてあった。???がちょっと気になる。
その他、馬術部による障害物走や、ダンス部の社交ダンスなどがある。ちなみに演劇部も運動部の方に入っている。これは王立学園の部活の割合が文化部に偏っている所為もあるらしい。演劇部の演目は【英霊の嶺】というこの国では有名なタイトルらしい、内容は知らない。後は聞いた事のない球技の部活と山岳部。球技の方はヘカントという球技で、この世界でもマイナーらしい。部員3人と書いてある。出し物はヘカント体験だそうだ。山岳部は登山の際に持って行く道具の説明や、登山に持って行く携帯食の実食コーナーなどがあるらしい。
さて、一通りパンフレットを読み終わってカミーユに尋ねる。
「今日はどれから見たい?」
「坊ちゃんは運動部には入られて居ないんですよね?でしたら……」
カミーユが指名したのは魔術部だった。
魔法を使ったパフォーマンス。確かにちょっと気になる。
「それじゃ、それにそれにしようか」
「はい」
カミーユを連れて、魔術部が使うグラウンドへ向かう。
着いて早々。
「5分後に開始いたしまーす!」との事。
タイミングが良かったようだ。
2人分の見物料を払って適当な席に座る。
「それでは、ただいまより、魔術部による魔法パフォーマンスを始めさせて頂きます」
挨拶と共に3人の女子生徒が出て来た。
3人の内、1人は知っている顔、ケイトだ。
ケイトが両手を広げ、それを天に掲げると火球が生じた。
クラス分け試験の時の様なちゃちな奴ではない。その10倍はある巨大な火球だ。
それだけで見物の生徒や使用人から歓声が上がる。
そこにケイトの左右から別の女子生徒が水の魔法を放つ。
水は火球の周りを渦巻くように走り、火球の上部へと駆け上るとそこで弾け飛んだ。それに合わせてケイトが火球を空高くに放つ。火球はかなり上空まで上昇し、そこで爆発した。
そのタイミングで吹奏楽部が大きな音色を奏で始める。
火球から視線を戻すと、いつの間にか先ほどの3人は姿を消して、別の5人の男子生徒が新たなパフォーマンスを披露し始めた。
そんな感じで、魔術部のパフォーマンスは30分程続いた。
「凄かったですね、坊ちゃん」
「そうだね。綺麗だった」
大満足だ。正直初めての文化祭だし、あまり期待していなかったのだが、俺の中でお化け屋敷を越えたかもしれない。
魔術部の出し物を見た後、順路的に武術部の出し物を見ることになった。
――が、正直あまり興味がない。ちょっとだけ見て次に行こうとしたとき、審判の声が響いた。
「勝者、キーン=ギュンター!!」
どこかで聞いた名前だ。
誰だったかなとそちらを見ると、高身長のイケメンが模擬戦用の槍を持って立っていた。彼がぎこちなくギャラリーに手を振ると黄色い歓声が上がる。
……知らない生徒だった。いや、やっぱり何処かで見たような?…う~ん、思い出せない。諦めよう。
昼食を食堂で取ろうとしたが、今日は飲食をやっている部活など無いせいか、非常に混んでいた。カミーユを連れて入るのは憚られたので諦めて食堂を後にした。
さて昼食はどうするか、こうなったら山岳部の携帯食を……いや、止めておこう。
迷った末、移動した先は使用人用の寮だった。貴族が入る事は禁止されていないが、あまり褒められた事でもないらしい。禁止されて無いなら良いじゃないかと、使用人たちに混じって昼食を取った。変な目で見られていた気もしなくも無いが気にしない。
午後は演劇部の劇を観覧した。
【英霊の嶺】は、大臣の謀反により国を追われたとある国の皇子が、英霊の住まう霊峰の頂きを目指し、苦難の末に到着すると、英霊は神格を得て神になっており、その神によって出された試練を見事成し遂げた皇子もまた、神格を与えられてその身は神になり、神界から国の行く末を照らす。と、簡単にあらすじを説明するとこんな感じの内容だった。正直、内容自体はあまり俺の好みでは無かったが、演技力は素晴らしく、また小物や演出もこだわりを感じて素晴らしい出来だった。
残りの時間は馬術部で障害物走を見たあと、小腹が空いたが、飲食できる場所はほぼ無く、先ほどは躊躇したが、ものは試しと例の山岳部の携帯食を食べてみた。
味は兎も角、本気でに登山と向き合っているんだなと感心した。……あとでカミーユに口直しに何か作って貰おう。
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