第八話 下級悪魔との闘い

え?流れで、応!!とか答えちゃったけど、俺があの化け物と戦うのか?


 俺は唾をゴクリと飲み込んだ後、恐る恐る剣を構えた。


 ___正直怖い。

 いや、もう怖いどころじゃない。でも、それと同時に怒りも湧く。

 蓮を奪った悪魔の一体。許せるわけではない。もう少し強くなってから存分に戦うつもりだったが、果たしてそんな余裕があるのか。


 答えはNO!!


「来い!!」


 そう言った瞬間、悪魔はすごい勢いとスピードで上空から俺のほうに突っ込んできた。

 悪魔は羽が生えていたから、結構速いと分かっていたけど……これほどのスピードとは。

 現実世界でそこら辺にいる鳥は勿論、スナドリより速い気がする。

 しかし、ガネーシャとの修行のおかげで、目で追えるし対応もできる。


 悪魔は、魔法こそ使わないものの、凄い力を鋭い爪で攻撃してきた。

 そこに躊躇やら、余裕やらは感じない。


 ___ガチで殺るきだな。

 やっぱり相手もやられたくはないのか。

 相手も死んだらここで人生が終わっちまうからな。

 こいつがどうやって、何の為にここに来たのかも分からないが、こちらも全力でいかせてもらう。


 爪の攻撃を華麗に避け、隙だらけの悪魔の背中を剣で一突き。


「キェェェェェェ」 


 華麗とは言ったものの、かなり危ない。

 下級悪魔とは言えど、脳みそはしっかりあるようだ。

 爪で攻撃する瞬間だけ、急にスピードを速めた。そのせいで、確実に避ける計算が狂った。

 まだ速くできるのか?



 悪魔は怒って魔法を使ってきた。風らしき魔法だ。

 流石にあの一突きで倒せるほどの相手ではないようだ。


 ゴォオオオ


 空気を裂くような音を立てて、風らしき魔法が俺に飛んできた。反応できなかった俺に魔法が直撃し、とばされて木に衝突した。



 痛っ!!

 ___っていうか俺良く木にぶつかるよな。

 木になんかしたかな?

 いや、俺が弱いだけだな。一番最初に戦ったクロコダイルの力とは比べ物にならない。


 一瞬、気絶しそうになったが、ギリギリで耐えた。

 もう一度悪魔の背中に攻撃を入れるために、俺が立とうとしているところで追撃。悪魔はもう一度風らしき魔法を使って俺を吹っ飛ばした。

 今度飛んだ方向は空。そう、真上である。


 ヤバい。落下の衝撃で今度こそ気絶しちゃう。

 気絶しちゃうどころかたぶん死んじゃうだろう。

 俺の判断ミスだ。

 きっと最初の攻撃で廻暫を使っていれば相手を確実に動けなくさせていた。


 とりあえず相手は風らしき魔法で飛ばしすぎて俺を見失っている。ちょっと頭が悪いな。着地さえできれば、一旦体勢を整えられる。

 でもあくまで”着地できれば”の話しだ。


 ___どどどどうしよう⁉

 今になって焦り始めた。

 考えられない。

 どうすればいいんだ?

 いつもの冷静沈着でクールな俺じゃなくなっている。

 もっと冷静にならなければ。


 そんな事を考えている間にも、ごつごつした地面は迫ってきている。


 そうだ!廻暫で落下ダメージを和らげるのはどうだろうか。でも、そうとうな器用さがいる。タイミングをちょっとでもミスればミンチだ。一様魔力とかも流して防御した方が良いのかも。


 そして俺は計画通り地面に限りなく近づいたとき、魔力を流した廻暫を繰り出した。



「廻盾!!!」



 防御用でとっさに作った俺のダメージを和らげる技は空中で俺の事見つけていた、下級悪魔の爪の攻撃すらもはじいていた。


 「廻z、あ……」


 早すぎた。廻盾を解くのが早すぎた。

 俺の魔力が足りなくなってしまい強制的に解かれてしまった。

 俺が解除した瞬間、爪じゃ間に合わないから悪魔はお得意の風らしき魔法を使った。

 そして俺はまたもや遠くに吹っ飛ばされた。


「その技好きだよね。ゲームの場合だと、同じ技ばっかやられて全然攻撃できないうざい奴だよね」


 飛ばされて頭のおかしくなった俺がのんきなことを言ってると、空中で悪魔が爪の攻撃をしようとしてきた。

 それはマズイ。


 そう思った俺は、自分の能力を発動する。



「ウィンドウシックル!!」



 確かカマは英語でシックルだったよな。俺にしては良い召喚名が浮かび上がった。

 だが、悪魔は何の躊躇もなくまた突っ込んできた。


 やっぱり低級悪魔は最上級悪魔とちがって頭が悪いな……。


「今度はこのカマで攻撃してやるよ」


「キィィィィィ!」

 


「ダウンバースト!!」



 俺は冷静に悪魔の斬撃を避け、がら空きの背中を今度はカマで真っ二つにした。


 ___ものすごい力だ。


 まるで圧縮された風が相手に向かって俺は一応、さっきの事もあったから廻暫を出す準備をしていた。

 だがその必要はなかった。カマの力をくらった悪魔はぼろぼろのチリになって崩れ落ちていった。


「これがカマの力か…」


 だが、またもや力が抜けて…


 バタンッ


 あれ?俺また倒れた?


「流石に魔力切れか。いや、ここまでの成長ぶり。5年は冗談で、本当は3年くらいで剣技はマスターさせようと思っていたが、もうここは用済みみたいのようだな」


 そう言うと、ガネーシャはにこっと笑い、俺の頭をさすさすと撫でた。でもちょっと痛いかな……


「俺はガキじゃねえぞ」


「そうだったn…」


「楽しい会話中、失礼。あなた方の魔力を察知してやってまいりました。わたくし、上級悪魔の中でも魔力察知がとても得意でして。異世界人の命を狙いに…と思っていたのですが、神もいるとは…これは良い手柄になりますね。」


 嘘だろ。こいつ上級悪魔なのか。なんだよさっきから下級悪魔とか上級悪魔とか。

 どうなんてんだ?


 「霧斗。動けるなら逃げろ」


 「無理だ、動けない。動けたとしてもガネーシャを放っておくわけねえだろ」


 「違げえよ。俺の攻撃に巻き込まれるから逃げとけってこと。まあ動けないならしょうがないか…」


 ワーオ。なんて自信。まあそれでこそガネーシャだ。


「お前、俺がこんな雑魚みたいなやつに負けると思ってんのか?それなら、ここで俺の固有スキルを発動してあいつをぶっ潰してやるよ」


 なんかムカつくけど、上級悪魔は低級悪魔とは比べられないほどの覇気がある。

 俺だったら、一瞬でやられるだろう。ガネーシャはいったいどれだけ強いんだ????


名前:津狩霧斗

種族:人間

固有スキル:魂の石を武器に変える能力

武器:長剣

防具:無し

所有技:廻暫

所有魔法:無し

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