日常のイラッとすること②!

崔 梨遙(再)

1話完結:1000字

 30代の半ばだったかなぁ……まあ、10年くらい前の話です。



 その時、僕には彼女がいなくて、10歳近く年下の真美子と加奈子と知り合った。真美子は主婦、加奈子はバツイチ子持ち。僕は、加奈子に興味があった。年上が好きな僕が、10歳近く年下の女性に惹かれるのは珍しい。だからこそ、加奈子と付き合ってみたかった。今、彼氏はいないということは聞いていた。チャンスだが、急がないと、加奈子ほどの美人なら、スグに彼氏ができてしまいそうだ。だが、なかなか加奈子に電話番号などを聞き出すチャンスが無かった。


 真美子は加奈子の中学時代からの友人だ。真美子が僕に好意を抱いてくれたおかげで話がややこしくなったのだ。加奈子と話そうとすると真美子が邪魔をする。好意を持ってもらっているのを承知で、真美子に聞いてみた。


「加奈子ちゃんの電話番号、教えてくれへん?」

「教えたくありません」

「そこをなんとか」

「ほな、私とデートしてください。デートしてくれたら教えます」

「マジ?」

「はい」

「ほな、デート……しよか?」



 真美子とデート、盛り上がらない。とりあえずレストランでランチ。その後、カラオケ。真美子はなかなか加奈子のことを話題にしない。


 カラオケを出て、僕は聞いた。


「あのさぁ、加奈子ちゃんの連絡先は? 約束やで、教えてや」

「私とデートしておきながら、それを聞くんですか? それって、ひどくないですか?」

「そんなん、話が違うやんか」

「いいじゃないですか、私とデート出来るんですから」


“やられた! 一本取られた-!” 完全に手玉にとられた。真美子の方が上だった。だが、“やられた!” と思いつつイラッとした。



 ということで、僕は結局加奈子の電話番号を聞き出すことは出来なかった。


 だが、実は加奈子がギャンブル好きで、時には生活費さえギャンブルにつぎこんでしまう爆弾娘だということがわかった。危なかった。加奈子と付き合ったら、また貢がされるところだった。僕は過去にこういうギャンブル好きな女性と付き合い、“生活費が足りなくなったからお金貸して!”と言われて貢いだことがある。



 人は見かけによらないものだ。イラッとしたが、結局、それで助かったのだ。真美子に素直に感謝できないけれど。







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