第4話 傷治療
改めてラルフに忠誠を誓ったもはや平民の私、ヴィクトリアは改めて自分の全身の痛みに気付いた。
衣食住を得た安堵から気が抜けたのか今更ながらすっげえ痛い事に気付いた。
「うぎあううあう!!いっ、いたあああああ!!」
と汗をかき倒れた。
「ええっ!?な、何!?いきなり!!」
さっきは死ぬ覚悟だったから痛みなんて気にせず前世の話をタラタラしてたけど、生きると決まったら急に痛くなった。腕も足も……、それから背中!背中激痛!何これ!?
「せ、背中痛いよおおおおお!」
と泣いた。17の大人だけど泣いた!!
ギャン泣きするくらい痛い。
「ちょっと背中見せて」
とゴロリとひっくり返されて服を捲られた。
もう、えっちとか考える暇ないくらい痛い。
「これは……、鞭の後か。きっと牢に入れられて打たれてたんだろね。
……仕方ない、薬をもってくる」
「え!?か、回復魔法は?」
「そんなの聖職者しか使えないよ!」
「え、じゃあ、ポーションは?」
「そんなの上級薬師しか扱えないよ。魔女にできるのは普通のちょっと治りの早い薬を塗る事だね」
と言い、奥に行ってラルフは薬を持ち戻ってきて
「それじゃあ塗るよ」
と言うと指につけて普通に塗り出し、それが皮膚を擦るたびに激痛がした。
「ぎゃあああ!!痛い!!死ぬううう!痛いよおおおお!!」
「うるさい!バカ!!だまれ」
「無理無理無理!!ひいいいいいっ!!!」
ととりあえず塗られた後私はぐったりした。動けない。
「はあ……。やっぱり犬に食わせとけば良かった」
「それは良くないです……」
と言い、痛みで私は気を失った。
*
それから何時間寝ただろう?
私はゆっくり起き上がった。まだ背中は痛いけど、最初より少しマシだから薬が少し効いたのかな?
「トイレ行きたい……」
とヨタヨタと歩いていると
階段から降りてくるラルフが
「あ、起きた?」
「ラルフ……様。す、すみません。トイレは何処ですか?」
と聞くと
「トイレ?ああ、そうね、待ってて」
とどっかに行った!
いや、場所教えてよ!!
と思ったがなんか壺を抱えて持ってきた!!
「はい、どうぞ。外の草むらでやりなよ」
と、玄関先の扉を開けた!!
「えっ!?」
「えっ!?って何?平民は皆こうしてるよ。貴族や王族は専用の豪華なトイレ部屋があるけど、お金のない平民は皆壺だよ!!
そして糞は畑の肥料にしたりする」
とラルフが言った。
「ひいいいいい!!文化の違いいいい!!ここからあああ!」
と私は嘆いたが漏れそうだったので仕方なく壺を抱えて外の茂みでするしか無かった。因みにトイレットペーパーは無く、葉っぱで拭くしか無かった!!
よろよろとトイレを済ませ戻った。まだ背中痛い。
「はあ……。薬塗るよー」
とまた私は年頃の男の子に背中を見られて薬を塗られた。相変わらず痛い。
塗り終わるとラルフは
「なんか食べる?」
と聞いてきた。
「虫料理とか出てこないですよね?」
と一応聞いた。
「来ないよ。バカだなあ。普通にパンと卵とチーズとスープあるから」
と言ってホッとした。
しばらくしてラルフは食事を運んできた。ベッドサイドのテーブルに置いて豆スープを渡した。
「あ、ありがとうございます……」
と口に含むと結構美味しい!!
「う、うまい!うまいよおおおお!」
と感動していると呆れて
「ふん、ババアが生前、味にうるさい人だったから仕方なく料理上手くなっただけだよ!」
と言う。
「おお、それはきっとモテる!料理男子はモテますよ!!」
と言うと
「はあ?知らないよ。僕はそんなモテた事ないし!!村にも変装して仕入れてくるし……」
と言う。
「え?年頃なのに女の子とあんなことやそんなことをしたこともないと!?」
と驚くとラルフは真っ赤になり
「うるさいよ!バカ!!興味がないだけだ!!」
とふんと横を向いてしまった。
可哀想、私には目の保養だけど。
「うーむ、勿体無い。まあ、もし恋人がいたら目の前でイチャイチャされるのも辛いから別にいいかな」
と言うとまたため息を吐かれた。
「さっさと傷を治して働いてお金貯めて出てってほしい」
「そんな殺生な!一生置いてくださいよおおお!!ムラムラしたら私の事襲っていいからあああ!」
と言うとラルフは
「するかああああ!」
と叫び、バンと扉を閉めて出て行った。
「ふ、照れ屋め!」
とニヤついた。傷の痛みは大体2週間ほどで治った。
「ラルフ様が塗ってくれなくなるとなんか寂しいものですね」
と言うと
「やかましい!変態女!!」
と言われた。
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