占奈さんの占いが当たりすぎている!
ゆきのあめ
中学生 1学期編
1話:占奈さんの占い結果【カラス】
僕の隣の席の
初めのうちはその珍しさでみんなの人気者だったけど、
でも、僕だけは知っている。
毎朝、
「見えてきたよー」
「占いの結果はー、カラス!いいことあるよ〜」
笑顔で自信満々に答える
「今日もありがとう
お礼を言って、授業の準備を始めた。
先生が授業を進める中、僕の目は自然と
でも今日は、「カラス」と言われたせいで、カラスのことが頭から離れなかった。カラスってなんだ。カラスに襲われるとか、何かを持って行かれるとか。でも、「いいことあるよ」って言ってたな。
授業には大して集中できないまま、あっという間に学校は終わってしまった。
放課後、教室から出るとき、
「うーんとね、ふふっ、お楽しみ」
教えてくれなかった。
家に帰るまでもカラスが襲ってこないか見渡していたが、結局何事もなく着いてしまった。家の前の小さな庭には、夏の花が咲き誇り、風に揺れている。
「所詮は占いだ。外れることもある。」
そう思いながら、玄関の扉の鍵を開ける。その時、庭の方からペットの犬が突然吠え始めた。様子を見にいくと、カラスと犬が喧嘩をしていた。犬の毛が逆立ち、カラスは不敵な目を光らせていた。
まさかここに来てカラスと遭遇するとは!
犬の吠えがうるさいので、カラスを追い払おうと近づいた瞬間、手に持っていた鍵をカラスに奪われて飛んでいってしまった。
「え!?うそだろ!?」
慌てて追いかける。これのどこが「いいこと」なんだ!?カラスは意外と速く、僕は近道を試みた。住宅街の狭い路地を全力で駆け抜ける。曲がり角を曲がった瞬間、誰かにぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい!」
すぐに立ち上がって全力で謝った。相手はゆっくり立ち上がって「大丈夫ですよー」と言い、スカートの汚れをはたいていた。僕の心臓はドキドキしていた。ぶつかった相手が誰なのか確認するのが少し怖かった。
「あの、怪我とかないですか?」
と聞くと、女の人は顔を上げながら、
「ちょっとよろけちゃっただけなんでー、あれ?
突然名前を呼ばれ、少し冷静になる。恐る恐る女の人の顔をよく見てみると、
「う、
「ふふ、大丈夫だよ!」
元気に答える
「
「カラスに鍵を奪われて追いかけてたんだけど、逃げられちゃった。」
「あれ、いいこと起きるはずなのに……」
その言葉に一瞬だけ真剣な表情が見えた。
「ごめんね、私にぶつかったせいで、いいことじゃなかったね。占い外れちゃった……」
「あぁ!水晶玉割れちゃった!」
いつもはゆっくり脳天気な
「ごめん僕の不注意で。僕が新しいの買うよ」
焦って周りを見ないでぶつかってしまったのは自分で、流石に申し訳なく弁償を申し出た。
「いや、いいよ」
「でも悪いの僕だし」
「あ、じゃあ次の休みの日って空いてる?一緒に買いに行かない?」
「い、いいんですか。」
僕は思わず敬語になってしまった。心臓がドキドキして、顔が熱くなるのを感じた。
「だれかと一緒に水晶玉見に行くのが夢だったの!」
その言葉に、僕はなんだか少しドキドキした。
「じゃあまた明日学校でね!占い外しちゃってごめんねー!」
鍵は取られてしまったけど、
占い当たってるよ!
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