冴えない高校生が変な蜘蛛に噛まれて糸を操る最強妖怪になる

毛利直人

第1話 家に姿を現した、おかしな蜘蛛

 愛媛県松山市の山間部に坂本龍一と言う名前の高校1年生がいた。


 山間部では過疎化が進んで唯一の男子高校生だ。


 坂本と言う少年は山あいの実家から7キロ程離れている進学校である県立高校普通科に自転車通学をしている。


 近所にある小さな食料品店相中商店を通りかかった時...........


 「おはよう坂本くん!」


 店主のお爺さんが挨拶をしてきた。


 「おはようございます!」


 元気よく店主に挨拶を返す坂本少年


 「お父さん、お母さんから聞いたよ」


 「坂本くんのお家に最近アレが出るんだって?」


 店主が何気なく聞いてきた一言が心に引っかかる?


 「えっ!」


 「アレって何の事ですか?」


 坂本少年が首をかしげながら聞き返す。


 「蜘蛛の妖怪の事だよ、この地域の古い

言い伝えに出てくる蜘蛛の妖怪!」


 「あいつが君ん所の台所の天井に張り付いてたんだろ?」


 「君ん所のお母さんが見たって、この間ワシに言ってたんだよ!」


 「悪い事は言わんから、お坊さん呼んでお払いしとった方がええんじやないか?」


 店主は坂本少年に意味不明な言葉を沢山投げ掛けてくる。


 「はあ?お払い?何の事.........???」


 坂本少年の心の中に疑問のクエスチョンマークで大量に埋め尽くされる。


 ふと腕時計を見ると、学校の登校時間に間に合うかギリギリの時間に差し迫っていたので店主の意味不明な言動に対して適当に生返事を返して、その場を後にしたのだった。


 坂本少年は夕方、学校から帰宅すると家中に御札が貼られていた。


 「母さん、この柱や天井に貼られた御札って何?」


 坂本少年が疑問を感じてたまらず聞く。


 「今日のお昼にお坊さんに来てもらったのよ」


 「蜘蛛の妖怪が台所の天井に、よく張り付いていたから」


 坂本の母親が意味不明な事を口にする。


 「蜘蛛の妖怪って何だよ?」


 「母さん、ちょっとおかしくなったんじやないか?」


 「俺一度も蜘蛛の妖怪なんて見た事ないぞ」


 坂本少年は母親が頭がおかしくなったと思って唾を飛ばしながら母親に反論する。


 「あらっ?龍一が小さい時に何回か家に出没してたから、龍一も何回も蜘蛛の妖怪を見てるはずよ?」


 「まあ、お坊さんがお経を唱えて厄払いの御札も貼ってくれたから、蜘蛛の妖怪も家の外に出ていったと思うから、もう出ないわ」


 母親が鼻歌を歌いながら機嫌良くサラリと言う。


 坂本少年は腑に落ちない表情を浮かべながら意味有り気に母親の方を見ていた............



 


 

 

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