~脆(よわ)り始めた海賊達~(『夢時代』より)
天川裕司
~脆(よわ)り始めた海賊達~(『夢時代』より)
~脆(よわ)り始めた海賊達~
太腿が分厚く、尻が並外れて大きな、清純極まる少女が在った。俺の目前(まえ)へと置かれている。俺の記憶は感覚(いしき)を通してこの娘を識(し)り、娘と交わした対話の内から、この娘がどれ程自分に従順で誠実足るかと、彼女の褥に甘える方法(かたち)で充分行くほど識(し)り過ぎていた。彼女は、或る職場で出会えた女性(おんな)に在る。時折り魅せる白い柔身(やわみ)が、俺の男性(おとこ)を飼い締めていた。俺の孤独は幻(ゆめ)へ跨り、白壁(かべ)を突き抜け自身に敷かれる脆味(よわみ)を報され彼女に抱き付き、彼女の〝娘〟が気忙(きぜわ)を透して群像(ぐんぞう)から成る無数の女神を頭上へ掲げ、俺の身うちへ這入って来たのは夜気(よぎ)を透せる女性(おんな)の異質(しつ)から至難ではない。俺の孤独は娘の瞳(め)をした少女の形身(かたみ)を空(くう)へ打ち付け、自分から出た張りの長所に少女の〝女性(おんな)〟を飼わせて在った。俺の〝記憶〟は娘の腿や尻辺りを撫で、初めの内には遠慮しながら女性(おんな)を抱いたが、彼女の軟派が甲斐を伝(おし)える無難の堕落へ身悶えする頃、俺の感覚(いしき)は彼女の堕落にぽんと付け込み、彼女の黒光りする頭髪(かみ)を撫で撫でしながら、彼女に具わる女性(おんな)の異質が緩む頃(とき)には、彼女の身内へすんなり這入れる鍵穴を見て、娘の穴からだらだら流れる琥珀の体液(みず)へと指を宛がい、鼻詰りのした男性(おとこ)の鼻には女性(おんな)の酸味が届かなかった。俺と彼女は次に会う約束をした。稀有に巻かれる幻光(ひかり)の許容(うち)にて、まるで二人は恋人同士のようだった。とても可愛らしかった。この娘には既に別の恋人が在るのを識(し)っていたが、俺達はそれでも密会を気取って〝次に会おう〟と約束していた。
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奥二重に見る彼女の両眼(りょうめ)は無駄を呈さぬ光を儲け、俺の精神(こころ)へふらりと吸い付く餅身(もちみ)を連れ添い女性(おんな)を仕上げ、俺の底へと沈んで行くのは、彼女の褥に宮(みやこ)を観るまま娘の呈した体液(みず)に溺れるか細い男性(おとこ)の醜怪(あや)しさである。倦怠期に在る夢遊の往路は俺と娘の生(せい)を愛する露骨な空慮(くうりょ)へ身構え始め、性(せい)に象(と)られた無欲の叫びを俺と彼女の共鳴(さけび)へと換え、独歩(ある)き始める未知の夕べは奇行に寄り添う悪魔の姿勢(すがた)を参映(さんえい)している。突拍子の無い無様の勇気が仕手に応じる無気力など識(し)り、〝意味の無い程真向きに迎える孤狼(ころう)の勇姿〟に他成り得ぬ等、禿(ち)びた警醒(かくご)が外方(そっぽ)を向いては弄(あそ)びを讃える人間(ひと)の臭味に滑稽さを識(し)る。白紙に置かれた未完(みじゅく)の空虚が余所へ向く内、彼女の瞳は俺の孤独へ追従し始め、明るい生命(いのち)の永い旅路へ意図(いと)もせぬまま出発して行く淡い遊味(ゆうみ)を吟味(あじ)わってもいる。空の彼方が何時(いつ)しか気取れた世紀末から細(ほっそ)り堕ち生く人の賛歌へ微妙に従い、俺の元から空虚を拡げて俗世の胸中(うち)へと失走(はし)って生くのは、女性(おんな)に彩(と)られた微妙であった。俺の意識は保身の行為を画策しながら、彼女が操る女性(おんな)の気色に機敏に従い、暗(やみ)に隠れる悪魔の動きが宙(そら)から吊るされ孤立に向くのを、竹箆返しに悪名名高い神父の惨事に引用して居る。人間(ひと)が操(と)り得る正義と悪義(あくぎ)は滑稽から成る二つの自極(じきょく)へ霧散に散らされ、明日(あす)へ向かない脆(よわ)い肉芽(にくが)を表しても在る。血色程好い、生気を保(も)ち得る女性(おんな)の化粧(ようす)は三々九度まで、危な気(げ)の無い無音の経過(ながれ)を歴史に据え置き人史(じんし)を伴い、橙色した尻(けつ)の活力(ちから)を暗(やみ)の許容(うち)より引用して居た。女性(おんな)に彩(と)られた無境(むきょう)の共鳴(さけび)と〝人史(じんし)〟とは又、結託出来ない夜の不純を仄かに通し、俺の男性(おとこ)の尖る在り処を固くするまま現行(いま)へ遊泳(およ)いで、何にも出来ない延命(いのち)の脚力(ちから)が何を後目(しりめ)に活きて行くのか、誰にも問えない桎梏(かせ)の重味(おもみ)を心行くまで堪能して在る男女の弄(あそ)びは〝紐付き〟に在る。
未完(みじゅく)に終れる人史(じんし)の在り処は下天の許容(うち)にて、肥り過ぎずの痩躯を呈して俺へと見向き、まったり表情(かお)した地獄の表面(かお)など、虚無を片手に活き活きして行く人の暴露は出っ歯と成って、男女の真面目を酷く惑わす確かな形見を呈してもいた。俺の身近に幾重豊かに人首(とぐろ)を巻き行く樺太描写の試問が在って、ねっとり媚び行く古巣の自糧(かて)には、弄(あそ)びに向き得ぬ淋しい暴慮(ぼうりょ)が根深く残存(のこ)り、白蛇(へび)に跨る俺の心機は人間(ひと)の気性(かたち)に煩悶して行く自ら興した自命(いのち)に勝り、緑色した人間(ひと)の歴史の旧巣(ふるす)の門(かど)には、誰にも懐かぬ俺の痩躯が空転(ころ)んで在った。茶色顔した、日焼けを呈する身軽・気軽の男女の残骸(むくろ)は、堕ちる欲への純心・闊歩を乱打に打ち抜き手相に宛がい、各人(ひと)の定めを屈強(つよ)い身元へ定め置くとの無謀の企図へと連走(れんそう)して活き、始めから無い可笑しな鳩首は人間(ひと)の頭上(うえ)にて獲得され得る滑稽譚への合図と成るなど、人間(にんげん)独自の厚味の為せ得る烏有の描写へ闊達していた。人間(ひと)の暗(やみ)から人間(ひと)の配した忘却迄への安穏さえ識(し)り、病躯を煩う女性(おんな)の心身(からだ)は次に出会える男性(おとこ)を欲しがり、幻見(ゆめみ)る痩躯を露天へ突き出す無益の闊歩を牛耳り始める。延命(いのち)を呈する男女の群れには、明日(あす)に咲けない流転の謳歌が生(せい)を招いて、払拭出来ない固陋の性癖(くせ)など、未完(みじゅく)に保てる自己(おのれ)の不気味を蔑ろにして、今まで見て来た無機の残骸(からだ)は他(ひと)に仕上がり論外を成し、呼吸に仕上がる人間(ひと)の生き血は如何(どう)とも出来ずの自然の傍受を吟味し始め、苦労に絶えない人の独歩は、孤高に具わり自然に向いた。
(空間が
女性(おんな)の躰は瞳に具わり呑まれて行って、俺と彼女は他愛ないまま一つの会話を大事に採った。
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…彼女と、互いの二重瞼の在り方に就いてちょこっと話し合っていた。
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彼女に膨らむ幻(ゆめ)の調子は俺の脳裏へ浸透し始め、彼女の瞳が奥二重を持つ凹(いん)だ形成(かたち)を細(ほっそ)り見せ付け、宙(そら)に還れる記憶の程度は、あからさまから無為を省ける有為(ゆうい)の腕力(ちから)を念頭へと据え、無力に成り得ぬ黄泉の限界(かぎり)を無数に象る無言を備え、晴嵐(あらし)に備えた疲労の躰は駄想(だそう)に伴い無限化された。
俺は彼女の在り方を決め、彼女の一瞳(ひとみ)を奥二重として下手(しもて)に観たが、彼女の微声(こえ)から「それでもいい」とのお達しが在り、娘の気力は何処(どこ)へも向かわず清閑に在り、俺の熱気がどれ程生娘(むすめ)へ発破を掛けても、生娘(きむすめ)ながらの固身(かたみ)の裾には病んで止まない男性(おとこ)を迷わす苦汁が募り、彼女の孤独は幻(ゆめ)の許容(うち)にて〝入り二重〟とした文句(ことば)を並べて、入江の景観(ようす)を繋ぎ止め得る奇妙な姿勢(すがた)を保って在った。俺の心身(からだ)は彼女を離れて烏有に咲き立ち、孤独顔した知識の外観(ようす)をその身に統べ置き、見境失(な)くせる他(ひと)への覚悟を許容(うち)へ留めて、寝起きに認める幻(ゆめ)の生身(からだ)の僅かの震動(ふるえ)を、暗(やみ)に際する孤独の我が身に繋ぎ置くまま話題を保(も)った。大阪府知事の橋下徹、若しくは似た人、若しくは同等の弁論技術を胸中(うち)に擁した哀れの棋士(ぎし)が、滔々流行(なが)れる変らぬ経過へ夢を背後に舞い降りて来た。そいつは誰かに、
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「その時に、憲法で定められた規定(何条何条)を引用して対応出来ていた、という事は貴方がたはその時に、常識は在った、という事ですね」
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と言う。無言に衒える空虚の横顔(かお)には〝律儀〟の付かない夢想の感無(オルガ)が迫ってもいて、男女に彩(と)られる甘い芳香(かおり)は矛盾を嫌える奥手の懊悩(なやみ)へ埋没させられ、光を暗(やみ)とを自由に彩るときの美声(こえ)には双頭(あたま)を擡げず、彼の我欲に折り無く対した知識の表情(かお)には、反証・反論何にも出来ずの無駄の労徒(ろうと)が先走りをした。流石の俺にも幻(ゆめ)の気色を変色出来ずに、自然の防備に脚色付(いろづ)けられ行く固定の正味が斬新に在る。気落ちしている俺の傍(よこ)では白味(しろみ)に扮した知識の弁論(ことば)が御伽を呈し、始めから無い空気(もぬけ)の惨事を片手に取り次ぎ、何時(いつ)しか吟味(あじ)わう生娘(むすめ)の雄気(ゆうき)を取り留めないまま見守り始まる気高い痛苦に賛嘆していた。
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火病の老男(ろうなん)が目前へと立つ。俺の辛苦はこの男の怒調から成る軽妙を識(し)り、そうして居ながら男の躰は光と暗(やみ)とを端正(きれい)に仕分ける空気の許容(うち)へと闊歩をし始め、大きく、何本も在るエスカレーターに俺は乗り込み男を追い駆け、何段か気取れぬ下方に佇む火病の男は、これから俺が向かおうとして居たその同じ方向へと、小さな背中と白髪(しらが)混じりの後頭(あたま)を見せ付け、下りて居た。何処(どこ)まで行くのか知れない、下方へ向かうエスカレーターの様(よう)であった。そのエスカレーターに着く前、俺は角田(かくた)か村井(むらい)、親友か安田に姿勢(すがた)を化(か)え得る少年頃の旧友に会って居り、彼等と俺はトラクト配布の殊に喋って居て、そうする最中(さなか)に俺は、〝ポスシステムが欲しい〟と角田の表情(かお)した軟体に言い、期待する返答を瞬間ながらに待っていた。しかし角田は我が身を通して流行(ながれ)に沿わずに、乗り気じゃない様子を態度に示して俺へ当て付け、俺の臆病は旧友を失(け)し行く孤独な強靭味(つよみ)を牛耳り始めた。持前(じまえ)の道化を突拍子も無い費やし始め、角田の居座る流行(はやり)の居間へと無頓を侍らせ追従(ついしょう)して活き、強度に対して弱者が掲げる阿りを見せ、阿った自分に醒めた我が身をぽんと募らせ角田を恨み、
「切れれば勝てる」
等と呟きながら、堂々巡りの嫉妬の甘味を自分に投げ掛け微笑を保(も)った。見知らぬ梁(はり)にて見知らぬ女性(おんな)が無数に集い、俺の両眼(まなこ)を揚々自適(ようようじてき)に弄(あそ)ばせながら、トラクト配布の途次に要する地図を拡げて俯瞰して居り、脚色(いろ)の付かない地図の周囲(まわり)に見知らぬ彼女が散在して居た。俺の孤独に宿れる遊女は企図を見詰めぬ労徒に寄り付き、俺の精神(こころ)が俄かに齧れる暗(やみ)の境地を進展し始め、無言の態度に暫し落ち着く霧遊(むゆう)の郷里を立脚していた。
*
トラクト配布は元職場にて憧れた上司に教わったものであり、俺は矢張り、やや、その環境にて安堵を覚えた為か、その上司に心酔しながら事を為すようでもあった。集まった女性(おんな)の手数は四人に落ち着き、漸く姿を露わにしていた四人の女性(おんな)は異様に可愛く、小・中・高・大・社会、何時(いつ)に会ったか知れない雰囲気(オーラ)を携え始めて、俺と一緒に大きな地図を眺めて在るのは夢幻に咲かない憂慮であって、又、その地図は飛躍の跳ばない褐色と成り、俺と女性(おんな)は各自が配布する地区を経過の向くまま軟く見定め、やがて等分された地図を夫々が携えていた。
*
〝気味〟に教わる無垢の四肢(てあし)は俺の活気を方々(ほうぼう)へと遣り、無言の明度に掴み損ねた各自の主観(あるじ)は、幻(ゆめ)の許容(うち)にて無駄に呈せぬ愚かの行為に払拭され活き、誰に何にも終ぞ知れ得ぬ無言の意欲を画策している。幼児(こども)の共鳴(なげき)は未知に掴まる〝新たな描写〟を彼女の艶(あで)から払拭して行き、童心(こころ)の宮(みやこ)に小さく巣食える人間(ひと)の魔の手が忍び寄る瞬間(とき)、俺の男性(おとこ)は宙(そら)へ拡がる律儀な王佐を抜群にした。白亜の暗(やみ)には明暗(ひかり)を灯さぬ間の手の灯(あかり)がうっそり強いられ、尖りを見せない無力(ちから)の明朗(あかり)に自分の翳りが充満して行く想いの瀬戸際(きわ)など浮き立ち始める。幼児顔(こどもがお)した、俺の自活に具わる正義は、幻(ゆめ)の許容(うち)にて姿勢(すがた)を化(か)え活き、無理を通せる夢裏(むり)の在り処に好く好く追従(したが)い、慌て始めて小さな残骸(むくろ)は、茶瓶に呼吸(いき)する無重(むじゅう)の孤独に共鳴(さけび)を煽られ、冷たい気忙(きぜわ)に当てられ萎え始めて生く無数の〝生(せい)〟へと自活を保(も)った。〝確認〟ばかりの堂々巡り男娼から成る無力が空転(ころ)がり、結婚出来ない男と女の不様な吐息は明度(あかり)を目掛けて壮進(そうしん)して生き、空転(ころ)がり続けた生(せい)への証明(あかし)は、欠損して生く野暮の許容(うち)にて酩酊をも成し、真剣勝負に本気を出せない善人から成るおどろしさが在る。分別顔には〝知識顔〟から揚々連なり七つの怠惰が横行して居り、曇りの両眼(まなこ)で大言(ことば)を吐き生く竜頭蛇尾など潔白して在り、無欲に並べる他(ひと)への勇気は優雅を灯して堕落へ赴く。明るい「明日(あす)」へと異様の旧巣(ふるす)を重箱へと入れ、確信出来ない人間(ひと)の生き血は呼吸をし始め、余命(いのち)と延命(いのち)の無音の暗(やみ)へと仕上がり始める〝意味〟を問えない人間(ひと)の八頭(おろち)は、格式張らない異様の啖呵に初めから無い人間(ひと)の苦みを演繹していた。エンリギリからエンリギリまで俺の孤独は姑息を呈して彼女の身元を明るい宮(みやこ)へ置き忘れる儘、彼女の空言(ことば)が宙(そら)に鳴るのを初めから在る空虚を感じて認めてもいる。明日(あす)の延命(いのち)に人間(ひと)と個人(ひと)との木霊が在る、隠れた旧巣(ふるす)の共鳴(こだま)が俺の身元(もと)から小さく離れ、身近に根付ける人間(ひと)の温(ぬく)みに揚々足るまま打出の弾みに余命(いのち)を空転(ころ)がし、心許ない人間(ひと)への賛歌は俺の決心(こころ)に小さく頷き、彼女を配した弱い景色を垣間見て居た。延命(いのち)の独歩(ある)ける大きな土手から宙(そら)へ上(あが)れる人の往路が着々出来て、トラクト配布へ俺を駆り出す可笑しな〝往路〟は自動で動ける黒い段へとその実(み)を変えた。
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そのトラクト配布に行こうとして居てエスカレーター上の豊満の彼女達に俺は出会って居たのである。そして、その豊満な彼女の群れに紛れて白髪面(はくはつづら)した老父(ろうふ)が居たのだ。群れ群れ、ムンムン 群れ群れムンムン、どきゅどきゅペンペン…
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意気地を失くせる俺の怒りは貪欲ながらに、遠くの野原で野球をしていた少年(こども)達を呼び自分の傍(そば)へと姑息に引き連れ、女性(おんな)に対する強靭味(つよみ)を掲げた白壁(かべ)とし得たが、白壁(かべ)の厚味が透る間際に俺の心中(こころ)へ大きく彩(と)られた涼風(かぜ)の軌跡は、あっと言う間にレトロを連れ生き春望を賭し、俄かに被(かず)いた小さな孤独が俺の身を借り迷走したのは幻(ゆめ)の旧巣へ俺が透れる不可視の夜月(よづき)を見た瞬間(ころ)でもある。無数に煙たい憐れの頭蓋(どくろ)の降(ふ)り行く頃には、到底付かない実力(ちから)の限界(かぎり)が言葉を遅らせ、幻(ゆめ)の胸中(うち)から仄(ぼ)んやり通れる現(うつつ)の門(もん)への道程(どうてい)からして、過去の憂慮を陶酔させ得る未完(みじゅく)の傀儡(どうぐ)の泣き顔などには、到底点かない野望の光がどんと身構え衰退している。
彼女と交した未来(さき)を彩る約束事には俺の躰が集積(シグマ)を奏でる脆(やわ)い記憶の充満が成り、しどろもどろに汚(よご)れて独歩(ある)ける孤独の表情(かお)した懐古(レトロ)の表裏は、怜悧(つめ)たく囃せる悪魔の眼力(ちから)を順手に採りつつ、慌てふためく遊女の証明(しるし)を彼女に見た儘、余命(いのち)の輝く未来(さき)の古巣へ文句(ことば)を続けて橋渡りをした。小さな欠伸が幻(ゆめ)から出て来た。幻(ゆめ)から生れる小さなmonk(モンク)は俺の実(み)を借り浮遊を宣い、暗い夜宙(よぞら)に大罪(つみ)を頬張り跳躍して生く不思議の延命(いのち)を神々しくして、俺と彼女の生く末迄もを昨日の温身(ぬくみ)へ二度と還(もど)れぬ不思議の主観(あるじ)を召喚していた。誰にも識(し)られぬ記憶の寝言を主観(あるじ)に問いつつ自然へ対し、幻(ゆめ)の寝床の言葉にはもう、苦労に絶えない露悪の音頭が醜音(しゅうおん):集音としてもよい)している。目付け役へも変態して居た職場の上司は父親にも似て、白髪頭(しらがあたま)で背低の老父は彼等の前方(まえ)にて無性(むせい)を気取り、掴み元無い憂慮に暮れ行く独創(こごと)の役業(カルマ)は個人(ひと)を制して自重を促し、俺と娘の可笑しな動作を注意しながら黙々独歩(ある)ける上位に扮して後退して居た。両者の吐息は俺を仕留めて娘と語らい、俺の身元(もと)から〝彼女〟を省ける強靭(つよ)い腕力(ちから)を未来(さき)へ架け出し、初めから無い背低の人影(かげ)へとその実(み)を棄(な)げた。彼女の基本(もとい)を非常に緻密に構成しる軟肉(にく)の煌(ひかり)は無性(むせい)を呈して、俺に空転(ころ)がる固い理(みち)への真面目を片手に周囲(まわり)を占め出し、淡い幻(ゆめ)から遠(とお)に萎え生く男性(おとこ)の規則は無知を頬張り薮睨みをして、独りに耐え得ぬ生茎(くき)の初出(いろは)は娘の豪気を頭上に冠して腕力(ちから)を誘(いざな)い、俺の男性(おとこ)の生理(きそく)の柔身(やわみ)は、娘の余命(いのち)を散々欲しがる無粋の〝廻り〟へ投身された。隠す間も無い男性(おとこ)の生茎(くき)には女身(おんな)の姑気(といき)が異色に絡まり新身(にいみ)を欲しがる試算を奏で、腿から二の腕、首から胸へと、男性(おとこ)の気色を宙(そら)へ掲げる無重の欲心(こころ)を内在しながら、彼女の罅(きれつ)に女性(おんな)の努力(ちから)が浮んでもいる。白亜の女身(からだ)は日々を通さぬ真綿の音海(うみ)をもその実(み)に沈めて誰にも懐かぬ孤狼(ころう)の航海(たび)へと独進(どくしん)して活き、闊歩に止まない女性(おんな)の眼力(ちから)は幻(ゆめ)へと化けず、荒く渡海(わた)れる無識(むしき)の幼体(からだ)を細く掲げて間延びを観て生き、固陋の様子に自分を窄める男性(おとこ)の表面(かお)した俺への耽美に、初めから得ぬ小さな余命(いのち)を宙(そら)へ投げ掛け自己(おのれ)を退(の)いた。
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或る化身「識(し)らぬ。気色を煩う未完(みじゅく)な奴は識(し)らんね。紺(あお)い海には女性(おんな)の気色が俄かに漂う。君は仄かな愛など観た事あるか!?」
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二人目の化身「未熟は未熟で、既に晩成足る者には、短い気色が幸福とも成り、白い脚色(いろ)にも初めから在る何者から成る予定調和を、生(せい)を承け得(う)る人の孤独は、無数の空間(すきま)に観るかも知れない。手広く活き得る人の要(かなめ)は延命(いのち)の空転(ころび)に支配されずに、宙(そら)に広がる、無益とも成る数多の星とも同様から成る確かな主観(あるじ)を識(し)るかも知れない。」
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三人目の阿婆擦れ「模様の浮き出た人間(ひと)の過去には白亜の〝駅〟から所業を垣間見、空気(もぬけ)を呈した淡い幻(ゆめ)への遠い記憶を、何処(どこ)かへ連れ去る紺(あお)い母体(うみ)へと追進(ついしん)させ得る人間(ひと)の延命(いのち)が煌(ひか)って在るのだ。男性(おとこ)も女性(おんな)も稀有な常事(じょうじ)に辟易しながら飽きるけれども、その実、光の陰から小さな悪魔が這い出て来るのを遠い両眼(まなこ)に期待していて、人間(ひと)の主観(あるじ)がこの世の華から未熟に咲き得る人間(ひと)の理想(かたち)が如何(どう)で在っても、期待し得ない正義の在り処を開拓するより悪の理想(ゆめ)へと邁進するのを、人間(ひと)に強いらせ、見事に裂け得る宙(そら)の動静(うごき)を傍観している。…(中途)。」
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暗(やみ)「人間(ひと)の孤独は確立間近の夢遊に具わり、白紙を遮る脆(よわ)い言動(うごき)を人間(ひと)へ見せ付け、宙(そら)に浮き立つ奇妙の主(あるじ)を手中に収めてまったりと朗笑(わら)う。無為に過ごせる人間(ひと)の頭上(うえ)では、常時羽ばたく明るい暗(やみ)から返応(へんおう)を受け、その実(み)を空しく空回りにする未知の自然(あるじ)が宿命(いのち)を棄(な)げ捨て、暗(やみ)の虚空(そら)での所々で、虚無に対する人間(ひと)の取るべき行為の細(こま)かを、何にも増して涼風(かぜ)に遅れず、地上に映え得る全ての幻獣(けもの)の頭脳の許容(うち)から、空気(もぬけ)に敷かれて荒れた〝古巣〟を暗(やみ)の栄光(ひかり)へ召喚して居る。」
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狂える魔術「自分の肥やしに女性(おんな)が連れ行く野田の暴風(あらし)が奇妙に絡まり、何処(どこ)とも如何(どう)とも誰にも言えない無機の清閑(しずか)を携えながらに、心変わりの激しい現代人(ひと)へは適当・御供の報酬が在る。暗(やみ)の許容(うち)から一つ破れた幻(ゆめ)の柔らは自分の周辺(あたり)をじっと見廻す無謀の落差に〝心地〟を誘(さそ)い、現代人(げんだいじん)から乖離して行く正義の労徒(ろうと)へ赴いている。男も女も結局一つに存在出来得る無謀の彼方に存在しながら、負けん気の出る未完(みじゅく)な懶惰に邁進して活き、白紙の白亜に云とも寸とも大きく空転(ころ)がる〝裏切り遊戯〟を繰り返して生く。自分の保身が何より大事な現代人故、嫉妬に絡まる奇妙(おかし)な空気(もぬけ)にその実(み)を任せ、妙な理屈を無駄に積み上げ非難するのが何より得意の躍動を知り、自分の為にと自分の為にと自分の為にと自分の為と、他(ひと)の延命(いのち)を排除して行く奇天烈の意図を早く見付けた。孤独が嫌いな現代人(ひと)であるのに他(ひと)の孤独を嘲笑して活き自己(おのれ)が生き行く新たな保身(まもり)の糧として行き、擁護に絶えない清閑(しずか)な独気(オーラ)は欲と煩悩(なやみ)に手綱を取られる傀儡(どうぐ)の末路を彩り出した。実に見事な華やかさが在り、人間(ひと)の煩悶(もだえ)に生れた代物(もの)とは自然から見て識(り)り得なかった。」
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ブランド君(くん)「ひ脆(よわ)い脳から生れる現代人(ひと)には〝意味の吟味〟が遠退き始めて、紺(あお)い銀河が個人(ひと)を遠退き再び散るのを、現代人(ひと)に観られた小物の屍(むくろ)は死にに生(ゆ)くまで気付かなかった。暴力(ちから)に縋った弱者の酒宴(うたげ)の問答だけが、未熟児みたいな産声から成り、絡まり続ける自然(あるじ)の許容(うち)で躍動だけには、野退(のっぴ)き成らない虚無の閉塞(ミュート)が分別顔して疲れて在った。」
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ゲンダイジン ニハ オレ ノ カクモノ ハ イミ ヲ オエズ 二 アス マデ ミエズ 二 ヨクボウ 二 イク クルエル ドウサ ガ シゼン ヲ ハイシテ コロコロ マヨコニ ドウデモ イイ ママ ソット オカレテ アクマ ノ スクツ ヘ トウシン シテイタ……
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彼女の心身(からだ)が俺の足元(もと)からか細く空転(ころ)がり、陽(よう)の見得ない明度(あかるみ)だけ観て自身の屠畜人(あるじ)を片手間に採り、困って止まない空虚な表情(かお)から意味を排する規律(おきて)に従い、曇った両眼(まなこ)でダンテの平野(へいや)へ散々通れる向きの余命(いのち)に悪態を観た。〝女性(おんな)の魂百迄〟、〝男の魂一迄〟、〝男の魂百迄〟、〝女の魂一迄〟…。誰かが呟く白亜(かこい)の許容(うち)から欠伸が挙がり、自尊を大事に解体して行く愚かな行為に憤慨しながら、自発に発狂(くる)える白い欠伸は宙(そら)の彼方で老衰して活き、一度紡いだ気高い丘から転々(ころころ)空転(ころ)がり怠惰を識(し)るのを自由に見取れる傑作だとして価値を見出す手頃な役目を奪取して行く。命の無いまま生き永らえ行く現代人には行く当てさえ無く、〝迷える羊〟は自然の目前(まえ)にて沈黙する儘、清(すが)しい許容の生気(オーラ)を感じて居るのだ。俺の孤独は生娘(むすめ)の生血(ぬくみ)を感じて居ながら遠(とお)に失(き)え去る無数の生気(オーラ)を無心に信じ、彼女の躰が経過(とき)を越え生く矛盾を差すのを孤独の許容(うち)にて感じて居ながら、生娘(むすめ)の主観(あるじ)が変幻自在に白亜の表面(かわ)から流行(なが)れ出すのに精神(こころ)の重味(おもみ)を忘却していた。
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彼女と次に会う約束をしてから、白髪頭や俺の父親に似た職場の上司や知人達が、俺と生娘(むすめ)がひそひそ密かに喋っているのを静かに監視するように見て来たのであり、そいつ等の存在が非常に疎(うざ)かった。娘の尻や両腿、そして二の腕、胸辺りに付いた筋肉の無い軟い脂肪の辺りは相変わらずむっちりと肉厚が付いており、俺の精神(こころ)を迷走させた。
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彼女と次のデイトをする前に俺はDという田舎の小母からの電話(げんじつ)に依って起こされていた。何時(いつ)もの通りに〝誰からか〟を確認してから電話を拡げて受話器を取る迄に着信は切れ、その後直ぐに、「○○ー(○○には俺の名が入る)、起きとるんかー」と言いながらだっだっだっだっと階段を駆け上がり、クーラーを付けっ放しにした畳の部屋に父親は入り、〝ばれた…!〟とか思いながらも、何度かこれまで同様にばれて来ている事を思い〝どうしようもねぇな、俺は…〟等と軽く批判しながら又眠る事にした。親父は何か、パソコンを少しだけ〝カタカタ〟弄(いじく)って居たらしい。飛行機、新幹線、宿か何かの予約でもしていたのか、それとも何か調べて…、等、俺は寝ながら思っていた。そして今、何時(いつ)又掛かって来るか(これを
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終(つい)の住処を徐に開(あ)け、日常行為の初出(いろは)の手数(うち)から煩悩(なやみ)を打ち出す心算(つもり)に訴え、遠い宙(やみ)から身近の暗(やみ)まで丹念(きれい)に置かれた生娘(むすめ)の仕種に同情を寄せ、娘の進歩に自分の〝古巣〟の息遣いさえ誰にも言わずに同調させ活き、夢理(むり)の決め手を親父の発音(おと)へと脚光(あかり)を当てつつ俄かに震えた欲の在り処を自身に識(し)る内、言葉に操(と)れ得ぬ無欲の痘痕は生娘(むすめ)の気迫に尻込みさえした。夢想(ゆめ)の途次にて現(うつつ)の微温(ぬるさ)を定めた俺には俗世の男女の気丈の脆味(よわみ)に具体を彩(と)りつつ無理を通せぬ言葉少なの宙(やみ)へと漏れて、慌てふためく古豪の主観(あるじ)は白壁(かべ)の罅へ浸透して生き、糧を配さぬ空気(もぬけ)の屍(かばね)を人間(ひと)の上辺に着せ替えさせた。言葉限りの容姿を整え暗(やみ)の標(しるべ)に立った姿勢(すがた)は獣色(けものいろ)した俺の男性(おとこ)を彷彿しながら、生気(オーラ)に従い活きる姿勢(すがた)に何処(どこ)まで生きても一向萎えない脆(よわ)い姑息を寸出(すんで)に見破る強靭(つよ)い〝決め手〟を識(し)り得たようで、自分の余命(いのち)を確かめないまま異性に灯せる躍起へ片寄り、何処(どこ)まで活きても漆黒味(くろみ)の絶えない生気の一滴(しずく)を垣間見て居た。
女性(おんな)の限界(かぎり)が鬱に耐え抜く胸裏に震え、俺を操る男性(おとこ)の正義へ盲目ともなり、〝白紙〟に注げる未完(みじゅく)の独気(オーラ)が現行(いま)を費やす〝新たな共鳴(さけび)〟に己(おの)が精神(こころ)の喪の脚色(いろ)から観て、空(くう)に彷徨う不思議の小躍(おどり)を星々(ほし)を呼ぶ程目立たせていた。小娘(むすめ)から成る純白(しろ)い流行(ながれ)の濁りの内(なか)には何にも観えずに黙り続ける性(あるじ)の孤独が埋葬され行く。女性(おんな)の主観(あるじ)は徒歩に紛れる哀しさを観て、野望を識(し)らない従う姿勢(すがた)に魅了され活き、人の獣性(けもの)〟が不快に佇み満足し得ない〝丸味(まるみ)〟を具えた虚無に在るのを、云とも寸とも懐かないまま暗(やみ)へ空転(ころ)がり、転々(ころころ)、々々、滑転(ころ)がり続けて、ひたすら費やす性(あるじ)の刹那(とき)には、無駄を想わす労苦の信徒が初春(はる)の兆しへ解体され行く不可思(ふかし)の神秘(こどく)を暴露している。俺の躯(つつみ)は女性(おんな)の艶(つや)から光沢(ひかり)を連れ去り、悪魔の足元(ふもと)へ未完(みじゅく)を呈して対峙して生く不愛(ぶあい)の樞(ひみつ)を早くに打ち立て、続け様なる人間(ひと)の孤独を日々の空間(すきま)に埋葬して活(ゆ)くお道化(どけ)た老婆を生娘(きむすめ)に観て、男性(おとこ)の識(し)れ得ぬ未順(みじゅん)の〝律儀(ルール)〟を経過(かこ)へ置き去る不吉の調和へ改悛させた。孤独な現代人(ひと)には人間(ひと)の常識(かたち)に飼い馴らされ行く不変の動義(どうぎ)に密着して生き、超現象(ちょうげんしょう)には付いて行けない暇な愛想(あいそ)が落着して在る。物語をして〝意味〟を追い駆け意識を問えない微温(ぬる)い微躍(びやく)を大事と識(し)る内、当ての無い儘〝吟味(いみ)〟を問えずの無色の獣が現代人(にんげん)を操(と)る。
格差の見得ない暗(やみ)を這い擦(ず)る空気(もぬけ)の周辺(あたり)は、孤独顔した空虚が飛び交い〝欠伸〟を擡げて、返信上手の無機の残骸(むくろ)をさも大掛かりに点(つ)け自身に擡げる〝傀儡(どうぐ)〟の様子を不意に囃して大童に在る。白亜の〝化け〟には独創(こごと)を擁する不純が息衝き、曇り冴えない未完(みじゅく)の脚色(あし)へと一向冴えない漆黒(くろ)い吐息を規律(ルール)へ仕上げ、「明日(あす)」の居場所を語り続ける幻(ゆめ)の在り処へ浸透して生く無頼の冥利がときめいてもいた。
葦に生え行く突起の棘(いぼ)には大言壮語に嫌気顔する二身(にしん)の孤独が埋没して活き、現代人から起用に離れる夢想の毒牙を道理(くき)から奪い、昨日から割く地道な〝語り〟を現行(いま)を透して二身(ふたみ)へ掲げる錦の心理(オーラ)を脱却していた。電子の欠片を宙(そら)へ宿せる不可視な推測(おもい)を裏表に履き、人間(ひと)の孤独を宙(ちゅう)に観たまま死に行く自身(からだ)の〝玉手箱〟から回顧を取り出す自律(おきて)へ従い、闇雲ながらに分別顔して、他(ひと)の自尊(たから)を蹂躙して行く見事な手腕(うで)には現代人(げんだいじん)から異質を奏でる無理な性差(さが)への臆病が発(た)つ。狂い咲きする感無(オルガ)の呆(ぼ)けには心身(からだ)に酔えない無感の兆しが生命(いのち)に芽生え、硝子箱(ガラスケース)に収められ生く端正(きれい)な延命(いのち)の弄(あそ)びの許容(うち)には孤独が鳴らない苦労の用途が水浸しに在る。生(せい)へ生くのに生(せい)へ向けない人間(ひと)の孤独に白壁(はくへき)を観て、脚色(いろ)を付せ得ぬ古来(むかしながら)の自由の描写が現代人から忘れられ活き、明日(あす)の目的(さかな)を浮力へ化(か)えた。明日(あす)へ散らばる乞食の群れには「明日(あす)の幻(ゆめ)」から真逆に発(た)ち得る無垢な真苦(しんく)がうっとり映え延び、人間(ひと)の〝欠伸〟が逆手を呈して独創(こごと)を木霊す二重(にじゅう)の〝生き血〟を呑み干し始める。勢い付き活(ゆ)く苦労の苦悩(なやみ)は経過(とき)の透明(まわた)に順々和らぎ、死都(しと)を這い出て使徒へ息衝く孤独の主生(あるじ)を開口させた。他(ひと)の頭上(うえ)から神秘(しんぴ)に這い擦る樞(ひみつ)の衣服(ころも)を自身に射止めた〝使徒〟へ着せ得てやんわり微笑み、自分の主観(あるじ)に見出す残骸(むくろ)は取って付け得た未完(みじゅく)の進歩に疎(うっそ)り従い、個人(ひと)の〝生き血〟に大嘘(うそ)に吐きつつ艶(はで)な身元を人間(ひと)へ観せるのを、孤独に頬張る暗(やみ)の神父は当然に観た。欲が無いのに欲を頬張る無駄な〝生き血〟は主生(あるじ)を葬り、咲いて咲かない純朴(すなお)な〝手玉〟を片手に空転(ころ)がし大きく身構え、幻(ゆめ)の破れは幻(ゆめ)の空間(すきま)へ寡黙を奏して還って行った。過去の〝古巣〟へ次第に生転(ころ)がる俺の心身(からだ)は奇妙な光明(ひかり)へ埋没するまま彼女の〝生娘(むすめ)〟に揚々驚愕(おどろ)く不快な気迫を想像する内、独り善がりの自分の勝手を勝手気儘な宙(そら)の許容(うち)へと放擲しながら、明日(あす)との絆を自分へ定める狡猾(ずる)い俺から挙がって行った。暗(やみ)の景色が次第に薄まる白亜の調子が生転(ころ)がる範囲(うち)にて彼女の心身(からだ)に操(と)られた〝古巣〟は遊離郷(ノスタルジア)から転々(ころころ)空転(ころ)がる旧来(むかし)の温度に縋り付きつつ、誤る空間(すきま)の凡そ無い儘、俺の気色が心へ透れる不思議な教習(ドグマ)を見上げて在った。俺の男性(おとこ)が野蛮を通して落ち着けない程、彼女の脆差(よわさ)を投擲し始め改築して生く滑稽(おかし)な気丈を仕上げて行って、「明日(あす)」の見得ない虚無への順序が自問に仕上がり解(と)けて生くのを、旧巣(ふるす)に懐ける本能(よく)の脆差(よわさ)は生娘(むすめ)を大事に追想して居た。俺に具わる古来(むかしながら)の正義の理(みち)には慌てふためく彼女へ対した理性を保(も)ち得ず、苦悩に際して〝詭弁〟を問わない〝問わず語りの滑稽(おかし)な空虚〟が鼻翼(つばさ)を拡げてつとつと突っ駆け、過去から仕上げて主観(あるじ)を問わない易い孤独の門へと潜(くぐ)り、生娘(むすめ)の相(あい)した俺の男性(おとこ)のか弱い心理に滅法割けない女性(おんな)の自答の苦労を吐き付け現行(いま)を拵え、円らな円艶(からだ)が俺の男性(おとこ)の目前(まえ)へ来る迄、決して薄めぬ暗(やみ)の漆黒(くろ)さを蹂躙して居た。次第に活き生く自体(からだ)の女性(おんな)の風気(ふうき)を仕上げて男性(おとこ)へ棚引き、宙(そら)の流行(ながれ)に安堵がが成り立ち素朴が立っても、隠し切れない女性(おんな)の我欲(よく)には私闘に生き抜く自体(からだ)がのさばり、俺が睨(ね)め付け憎悪に晒した巨体の心理は彼女を撫で活き微妙に崩され、自分の居場所を明日(あす)へ棄(な)げては自活へ直れる虚無の希望(あかり)へ先手に採り得た。滑稽(おかし)な文句(ことば)が俺と小娘(むすめ)の間に在っても見慣れた言語(ことば)は虚構の宙(そら)へと緩々滑転(ころ)がり、自然の主観(あるじ)と彼女の女性(おんな)を〝自問〟に問ううち憎み損ねた男性(おとこ)の我欲が逆手に馴らされ、白亜の態(てい)した〝古巣〟の抗議に億尾の無いまま費(つぶ)され行った去来の出元を推算(すいさん)していた。女性(おんな)の〝出元〟が男性(おとこ)の我欲(よく)から本能(かたち)に仕上がり自然が講じる数多の〝遊離〟へ努力を呈して向かって生くのは、男性(おとこ)と女性(おんな)の何れも識(し)れ得ぬ以前(むかし)の優美(ゆうび)の活力でもある。白亜の転衣(ころも)を自在に気取れる小娘(むすめ)の余韻(あじ)には〝気味〟を吟味(あじ)わう両者(ふたつ)の約束曲(ロンド)が自然の場末に微妙に仕上がる稀有の行儀の始まりだった。
夢想に遊戯(たわむ)れ、弄(あそ)びに遊戯(たわむ)れ、鎬(しのぎ)に遊戯(たわむ)れ、幻(ゆめ)に遊戯(たわむ)れ思想に遊戯(たわむ)れ、未想(みそう)に遊戯(たわむ)れ不可視に遊戯(たわむ)れ、不思議に遊戯(たわむ)れ無駄に遊戯(たわむ)れ、無理に遊戯(たわむ)れ理想に遊戯(たわむ)れ、奔放に遊戯(たわむ)れ未然の感無(オルガ)に遊戯(たわむ)れ続けた至難を呈する孤独の独裁(あそび)は、男性(おとこ)と女性(おんな)の故意に従い自然に気取られ、慌てふためく晴嵐(あらし)の以前(まえ)から一層逃げ行く孤独の操作に主観(あるじ)を観ながら、中々着かない各自の終着点(ゴール)の儚き遠さに、自我(おのれ)の分身(からだ)が二手(ふたて)に分れて分散するのを幻想(ゆめ)の許容(うち)にて充分識(し)った。
娘の温味(ぬくみ)は自己(おのれ)の本能(よく)から醒(めざ)めて居ながら旧い奥義に自然の温味(ぬくみ)の飛来を観て取り、明日(あす)の活力(ちから)へ脚力(ちから)を誘(いざな)う女性(おんな)の孤独を確立していた。俺の目下に狂い咲きする我欲の末路は不確かながらに明度(あかり)を示さぬ滑稽(おかし)な虚構(ドラマ)が空間(すきま)へ落ち込み、自然の主観(あるじ)が俺と娘に示し続けた執拗(しつこ)い虚無への場面を仕上げ、個人(ひと)の感覚(いしき)の億尾にも出ぬ無垢の良心(こころ)は〝去来〟へ居直り拍車を掛けた。俺の理性(たち)には幻想(ゆめ)を気取れる透明(まわた)が見得たが小娘(むすめ)の柔手(やわで)が惜しみないほど男性(おとこ)の虚無へとつのめり失走(はし)れる無知の両刃(もろは)を呈していた為、俺の濁れる孤独の両眼(まなこ)は女性(おんな)の美識(いしき)に騙されながらに女性(おんな)の艶体(からだ)に得体を報せぬ軟い体の微温差(ぬるさ)を見て取り、蝙蝠傘から降雨(あめ)の夜へと、肢体(からだ)を濡らさぬ試算の範囲(うち)から真っ向失(き)え行く稀有な森羅の勝手を識(し)り得た。女性(おんな)の艶体(からだ)に気高く纏わる黄泉の気力の分離を見知り、下顎(あご)に留(と)まれる男性(おとこ)の具(つぶさ)な戸惑(まよ)いの七泡(あぶく)は原罪(つみ)を犯せる強靭(つよ)い肢体(からだ)の仔細を読み取り、明日(あす)の活力(ちから)へ〝自在〟の腕力(ちから)を誘(いざな)い尽せる矮小(よわ)い苦力(ちから)の共鳴(なげき)をも操(と)り、俺と男性(おとこ)の気色の〝遊戯(あそび)〟がすんなり通れる〝故意の感覚(いしき)〟の〝軟い道標(しるべ)〟を、彼女の元へと一向続ける暗(やみ)の通路を改装させ得た。舗装され行く両者の気色を向きに講じた淡い夕べは、彼女の肢体(からだ)へ手近に寝そべる樞(ひみつ)の分野で根間に彩る不思議の集体(シグマ)を据え遣りながら、男性(おとこ)と女性(おんな)の両者に象(と)られる神秘(ひみつ)の孤独を表してもあり、俺に掴める生娘(むすめ)の喜楽の譲渡から成る容易い進路は、二手(ふたて)に分れた自然の主観(あるじ)の〝蝙蝠〟から観て、人間(ひと)の前方(まえ)へと気楽に流行(なが)れる夢路の一路(ひとつ)に相違無かった。
女性(おんな)の唾液が神秘から成る旧い涙の輝きに見え、容易く仕留めた女性(おんな)の艶体(からだ)は無残に彩る群体(ぐんたい)ながらに不可思(おかし)な虚無への無粋を彩り、嘆く姿勢(すがた)は生理を灯せぬ不思議な意固地の悪態を賭し、過去に仕上がる無理の横手(よこて)に一々認めた固陋の生音(おと)には男性(おとこ)に気取れる無数の曲体(からだ)の無礼が活きた。女性(おんな)の美識(いしき)は俺の孤独を窘めながらに生娘(むすめ)の賛美は虚構(ドラマ)を意図する不価値の声へと威勢を保たれ、未完(みじゅく)を示せる小娘(むすめ)の伸びには苦慮に絶えない律儀な孤独が狂走(きょうそう)して活き、明日(あす)の行方を誰にも識(し)らさぬ自然(あるじ)の美声(こえ)から挙動に仕上げた無智の優美が無駄に挙がって、昼夜に問い得る不可視な一連(ドラマ)はか弱い微声(こえ)さえ奇妙に気取れぬ旧来(むかし)の本能(ちから)を隠して在った。女性(おんな)に彩(と)られた艶(つや)の色気は生娘(むすめ)の苦さをつとつと報せて、白亜を着飾る無地の孤独を人間(ひと)へ保(たも)たせ、俺の発声(こえ)から〝生き血〟を気取れる妙な仕種を呆(ぼう)っと観ながら、自分の周辺(あたり)に何も問えない透った延命(いのち)の傀儡(どうぐ)を観ていた。苦い〝生き血〟を死太く啜れる生娘(むすめ)の余裕(あそび)の拙い幼稚は、男性(おとこ)の眼(め)をした強靭(つよ)い感無(オルガ)を打尽にして生く旧い習性(おきて)に順々従い、突然化(か)われる古びた性質(たち)へと返り咲くのを、現行(いま)を渡れる怜悧(つめ)たい景色の自然(あるじ)から採り、女性(おんな)の勝手を俺へ対して努めて煽げる未熟な熱(あつ)さを呈してもいた。古びた嗣業(しごと)は女性(おんな)の吐息に脅迫を遣り、白い背中の経過(ながれ)に向かって向くのを自分へ課された嗣業(しぎょう)の理(みち)だと吟味しながら、生娘(むすめ)の仕種は男性(おとこ)の俺へと孤独を打(ぶ)つけて白壁(かべ)を見せ付け、感覚(いしき)を問えない二者の過去には言語(ことば)に立ち得ぬ透明(まわた)の順序が虚無を根城に徘徊する為、男性(おとこ)の気力(ちから)は女性(おんな)へ届かず、娘に象(と)られた女性(おんな)の優美は活力(ちから)を連れ添い何にも解(と)け得ぬ無理の〝道標(しるべ)〟を通して在った。女性(おんな)の心身(からだ)は虚無の酒宴(うたげ)へ、通り過ぎない永久(とわ)の宴(うたげ)へ逆行(もど)って行った。俺の過去から暫く離れた男女の並列(ならび)は細い光線(ひかり)に体を沿わせて、如何(どう)とも言えない未完(みじゅく)の匣へと観得なくなった。精神異常。この症状が蔓延している新たな環境(まわり)へ、俺の心身(からだ)を観ながら埋れて入(い)った。当面咲かない孤独の華が、人間(ひと)に見得ない〝空間(すきま)〟に蠢き身悶えして居た。(完)
~脆(よわ)り始めた海賊達~(『夢時代』より) 天川裕司 @tenkawayuji
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