第35話 反撃の兆し
奇襲攻撃を受けた場所とアジトの間に新たに構えられた陣で、津田とスーホが作戦を話し合っていた。
「兵十の結界を突破する手段はないのか……?」
「喜助の『いかなる銃火器を以てしても突破出来ない。』という言葉が俺達の戦意を喪失させる為のハッタリだとしたら、戦車や戦闘機で砲撃し続ければ破壊は可能かもしれないぞ。」
「仮に結界を破壊出来たとしても建物への被害が大きい。中に居る兵十諸共潰してしまう。兵器を用いての攻撃は危険だ。」
「ならば結界が解かれるのを待つか………。常時能力を発動しておくのは不可能だ。いつか必ず疲労で限界が来るだろう。」
「後方で奇襲攻撃に応戦しているんだ。先程こちらから援軍を送っているが、どうやら苦戦を強いられているようだ。だから長時間待ってなどいられない。」
陸上から攻めるのは不可能…無理矢理攻め落とせば建物に被害が出る…考えている時間もそれほど残っていない…。どうすればいい…………
スーホは頭を抱え、津田は腕を組みながら頭を悩ませていた。そんな二人の下にエーミールと律が提案しにやって来た。
「陸が駄目なら、空から攻めましょう。」
「空……?」
津田とスーホが同時に反応した。
「ヘリで接近して屋上から突入すればビルの下半分を覆っている結界に阻まれません。」
「確かにそれは妙案だが、ヘリはあまりにも目立つぞ。接近した瞬間に迎撃されれば撃ち落とされて終いだ。」
「僕の能力で幻影を使って機体を隠せば姿を見られずに接近できると思いまます。でも流石に音や風を防ぐ事はできませんけどね………。」
エーミールは少し気を落として言ったが、津田は二人から提案された作戦に感心していた。
「いや、それだけでも十分に勝機はある。俺は良い作戦だと思う。その作戦、君達が二人で作戦を考えたのか?」
「ああそれは、僕と律と、それから─────」
エーミールは答えながら人差し指で自身と律を順に指し示した。そしてもう一人、エーミールが指を指した。エーミールの指先に視線が集まる。指されたその先に居たのは戸部だった。
「戸部君ですよ。」
エーミールに名前を呼ばれた戸部は、振り向き4人の下へとやって来た。スーホは作戦について戸部に問いかけた。
「戸部、勝算はあるのか?」
「…………確信はありません。この作戦は兵十先輩の気持ち次第です。でも、俺達が訴えかければ結界を解いてくれるかもしれないと思うんです。」
「兵十の真意が分からない以上、その作戦はとんでもない大博打になるぞ。」
戸部は僅かな反撃の兆しを確信に変える事に気がついていた。
「さっき思ったんですよ。どうして兵十先輩は俺達がアジトに辿り着いて直ぐに結界を張らなかったのかって。普通敵が来たらをアジトに侵入させない為に直ぐに結界を張りませんか?」
「兵十は俺達が強行突破して突入して来てもいいように結界を張るタイミングを遅らせていたという事か。」
「はい、俺はそう思うんです。だからきっと、兵十先輩は俺達の助けを待ってます………!」
津田は戸部の兵十を信じる強い意志を確かに感じ、頷いた。
「分かった、その作戦でいこう。」
「作戦の流れはこうです。選抜した作戦部隊を乗せたヘリを僕の幻影で隠して上空からビルに近づけます。そして屋上から侵入して兵十君の捜索を開始します。幻影で全員の姿を隠して行動したいので、可能なら全員で一緒に行動したいです。アジトの中で結界に阻まれたら、拡声機を用いて兵十君に訴えかけます。ここで結界を解いてもらえるかは賭けになってしまいます。解かれなかった場合は可能か定かではないですが、無理矢理破壊するしかないかと思います。そして兵十君を発見次第、即脱出です。」
「あとは誰がヘリに乗るかを決めなければいけませんね。」
「直近の国軍の基地に問い合わせたところ、今すぐに出撃できるのは7人乗りのヘリだけのようだ。」
「7人乗りという事は………操縦士で1人、エーミールは確定。大人組の俺とぐうちゃんを合わせて合計4人。残りの定員3人か。」
スーホは周りを見回して、作戦に参加する候補を探した。するとエーミールが言った。
「律、戸部君、与一君も合わせれば丁度7人です。」
「よし、決まりだ。付近の着陸地点にヘリが到着する。全員そこに急ぐぞ。」
数分後、更地に一機の迷彩色のヘリコプターがローター音を轟かせながら着陸した。戸部達6人はプロペラの風が吹き荒れる中、足早にヘリに乗り込んだ。
6人を乗せたヘリは着陸地点から離陸し、イレイザーのアジトを目指し飛び立った。一同は窓の外に広がる瓦礫の海を眺めながら、それぞれ緊張と向き合っていた。
その頃、メロスとシンタと修也と執行人隊員達は、お爺さんとの攻防を繰り広げていた。
「執行人相手に単騎突撃とはいい度胸してるよなァ爺さんよォ!」
「貴様らこそ、イレイザーに歯向かうとは良い度胸だ。全員まとめて捻り潰してやる。」
to be continued
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