世界は生命で満ちている

潮ノ仁詠

第1話 ある日、ふと、思いついたこと

 他人が聞いたらなんだそりゃ?と言われそうなことだが、ある日のこと、ふと、思いついてしまった。


――神様が本当にいて、もし本当に世界中にあまねく存在するのだとしたら、神様が人で、そうなると俺達、人(神様)の腸内に住んでいる細菌みたいなものなのかな?なんて・・・・・・


 神様というものがいたとして、あんまり人の願いなんかに耳を貸す存在ではないらしいと思うようになり、それは何故だろうか?なんてところがこの思い付きの始まりだったような気がする。


 人は人でその身の振り方が、ちょっとだけ聞きかじった腸内細菌や口腔内の細菌、あるいは表皮に住まう常在菌なんかと似たようなところがある、気がする。


 腸内細菌で言えば、ひところ流行のように使われた言葉に「日和見菌」というものがあり、要は善玉菌と悪玉菌とのパワーバランスにより善にも悪にも加担する菌だそうだ。さらに言えばその割合は、健康な人だと善玉菌が2割、悪玉菌が1割、日和見菌が7割となるらしい。


 ちょうど何かの番組で、人も普段はそんな具合の割合なんだと、よくわからない専門家でもないコメンテーターが、少しドヤ顔で言っていたのを耳にした。要は善人が全体の2割にも満たず、その善人を目の敵にするような悪人が1割ほどいて、それ以外の人は私も含め全体の7割くらいになる、だとか。


 そう考えたとき、なぜか神様と人の関係が、人と腸内細菌のように思えてしまった。多くの人が自分の腸内の細菌についてあまり関心を持っていないことを知って、神様が居るのだとしてもまさか腸内細菌のひとつひとつにまで手が回るわけないよなと、妙に納得をしてしまった。


 さて、そうなるとどこからどこまでがいわゆる神様と呼ばれるものなのだろうか?


 最初に思いついてから数年して、ふとそんなことに疑問を持った。


 地球全体が神様ということになるのだろうか?しかし、確か何かの宗教では「神は自分に似せて人をつくった」とあった気がする。


 どう考えても地球は少し歪んだ球体で、月を含めても人と同じ姿とは言えない。


 そこで太陽系を思い浮かべたとき、その有様を思い浮かべて、太陽を中心にいくつかの惑星、準惑星、小惑星などが廻り、そうして太陽系としてはものすごいスピードで、銀河の中心を軸に宇宙空間を移動している、ということを思い出した。


 しかも似たような動きをする恒星系が、文字通り星の数ほどあり、渦を巻いて銀河を形作る様はまるで、何かの生き物を形作る何かのように思えた。


 臓器、細胞、分子、原子、素粒子......


 確か何かのSF作品で描かれてたような?いやまてそんな、太陽や惑星、この星系含めてたったひとつの原子に過ぎないとか、どれだけなんだよそれ。


 そんなことを思いついてしまったら、途端にわけがわからなくなる。

 なんだかニュースで流れる外国の偉そうな代表が好き勝手し放題なわけもなんとなくわかったような気にさえなる。

 無用なものが必要以上にあふれてしまうと、なんだろう、自浄作用でも働くのかな?バベルの塔やソドムとゴモラなんかに描かれるような、ラーマーヤナだったり北欧神話のラグナレクだったり、人類が今いる位置づけの生命にはリミッターがあるようだ。

 たぶんおそらく、制限付きの進化の条件があって、いつまでも弱肉強食だったりする輩が主流を抑えていく限り、ある一定以上の進化までで停止する。

 それはしかし当然と言えば当然だろう。どんな小さな環境だとしても、例えば私達の体を構成している各組織の中に、そうした独り善がりな細胞が増えすぎたとしたらどうなるだろうか?

 考えるまでもなく、各免疫により破壊されるか、もしくは自滅するだろうと思う。調和が崩れればそれは仕方のないことなのだろう。

 調和の捉え方が、自分だけにとって整っているものであったり、一部の例えば人類だけが嬉しくて、他の生命に負荷をかけているのだとしたら、そうしたものが連綿と連なって叶うこの現実世界は、小さな調和を整えるための浄化をはじめたりしないだろうか?

 背中がちょっとでもかゆいと、バリバリ搔きむしりたくなるだろう?

 そうした出来事が起きなきゃいいけど。けど、起きたとしても不思議じゃないのだろうか。

 異常気象と言われていた気候も、毎年のように同じ現象が起きれば、やがてだれもそれを異常だとは思わなくなる。それと同じで、人が作った価値観から生まれた、正義だとか道理だとかもいつかは違うものに変わっていく。

 それとは別で世界が定めた物理法則なんかは、私達の目に届く範囲くらいは変わりなくいるように思えるのかもしれない。数億年単位だとどうなんだろうって思うけどもね。

 ナノの世界にいくとそうした物理法則も、人が見知ったものじゃなくなるようだし、見える世界しか理解できないのは仕方のないことなのかもしれない。

 見えざる世界があるのだとしたら、それはいったいどういうものだろうか?




 そんな話を、いつかどこかで書きたいなと思った。できる限り読者も編集者も置き去りにして、とことん先まで、とことん深くまで・・・・・・


 時間の無駄にしかならないのだろうが、なんかそうしたい気持ちでいっぱいになる。

 私の2025年はこうして開けていくのであった。

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