前門の邪、後門の怪

小心者の樵の疑心暗鬼。
山の小径には 怪 が在る。それは
如何なるモノかは分からない。只、それは
禁忌をも孕んだ、恐ろしきモノ。
 扠も、芳しき香りの果実の大木で仲間が
死んだ。何故とは知れず、これも又、
只々恐ろしき事。
         その誘惑は。

二進も三進もゆかせぬのなら、せめて
より平穏な方へ、恐ろしき末路にならぬ
方へと。


 因りに選って考え逆鉤ねるも。

現状こそが夢の中、将又これが人の生。
世の理でもあるのだろうか。