プロローグ①
「フルール・フレッシェント、どうか僕と
美しい
その光景は美しく、そして同時に
「ヴィクター様ってば本当に彼女の事が好きなのね」
「ほらご覧よ、フルール
「きっと美男美女のお似合いな夫婦になるわ。楽しみね」
微笑ましそうな言葉があちらこちらから上がる。
そんな中、フルール・フレッシェントは自分の顔が熱くなるのを感じていた。きっと
目の前には
「ヴィクター……」
「フルールの事が好きなんだ。ずっと
心臓が大きな音を立てている。自分の体中に
頬の熱が頭の中にまで流れ込んだようで考えが纏まらない。ドキドキする。何かを言わなくてはと思っても、
それでもとフルールは
「そ、そういうのは大人になってからじゃないと
必死な声で告げ、次の
***
「
フルールが
十年も昔の
そして思い出すと同時にフルールの頬がポッと赤くなった。
「手を取ってプロポーズなんて、急にそんな……ヴィクターってばいつもそう……」
誰も居ない部屋の中、ここには居ない人物の
そんな部屋にキィと
入ってきたのは
不在のはずのフルールの部屋。そこから聞こえてくる独り言……。怪訝に思い中を
だが驚きこそすれども、声をあげたり
「フルールお
「帰ってきちゃった」
「帰ってきちゃったって……。あぁ、いつものですか。申し訳ありません、ノックもせずに入ってしまって」
「良いのよ。
謝罪をしてくるルドをフルールは
それどころか「すぐに紅茶を用意いたします」と告げて一度部屋を出ていく。これは「紅茶を片手にお話しください」という意味だろう。
これにはフルールも感謝を
そうして手早く紅茶を手配してくれたルドを相手に、さっそくと愚痴を
まず
「お昼過ぎに避暑地に着いたのよ。森に囲まれた
「えぇ、存じております。今年こそボートで湖を一周するんだと意気込んでおられましたね」
「ところが、よ。別荘に到着したら見慣れない建物がピッタリ横に
「それは問う必要がございますか?」
分かりきった答えだと暗に言いたいのだろうルドの言葉に、フルールも思わず顔を
別荘に隣接する、いつの間に建てられたのか分からない立派な建物。そこから当然のように現れたのは……。
「現れたのはヴィクターよ。
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