0160:仕える騎士

申し訳ありません。0159話、タイトルが0160話のものに間違えておりました。

修正しました。

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 朝。迷宮から戻ると。甲田さんと的場さんが、食堂でコーヒーを飲んでいた。


 あ。いいな香りが。コーヒーと思った瞬間に即パーティ申請が飛んで来る。


「お帰りなさいませ、我が主君マイロード。お疲れさまで御座いました」


(う、うん、うん? どうした?)


「いえ……お疲れさまでした」


我が主君マイロード、ありがとうございました。いつでも、どんなご命令でも。何にでも自分を使ってください」


(え、う、うん、まあ、同じ会社、クランの仲間なわけだし……パーティも一緒だし、仕事は頼むと思うよ。色々と)


「我々の未来は……ヤツがいる限りどうにも難しかった。それが……」


(ああ、まあ、それは無くなったね。まあ、財産は被害者と思われる人達に分配されるように書面を書かせたし。別に死体虐めはしなくていいでしょ? というか、ポイズンダークスライムさんに消してもらったからさ」


「はっ」


「それで十分……十分、一生お仕えする理由になります」


(勘違いしない。これは私怨だから。俺が気に食わなかっただけだから。そしてそれが犯罪者だったというだけだった。俺にそれを裁くなんの権利があるのかって話だよね)


「はい、判っております」


「ええ」


 なんていうか、これまでも謎の忠誠度だったけど、さらにアップした感じだ。忠誠度100状態で、名馬とか、武器とか贈られた状態?


「改めて。我が主君マイロードに我が忠誠を」


「自分も。我が主君マイロードに、我が忠誠を」


(う、うん。はい)


 なんていうの? 片膝着いて頭を下げるのって。あんまりさ、慣れないよね。二人とも年上だし。


「おあようございま〜あ! って靖人様! おかえりなさいーというか、何でお二人は捧げ剣の儀式を……って本格的に騎士として? あらあらまあまあ、羨ましい。私には騎士としての力がサッパリですからねぇ……トホホ。その分、できれば、抱いていただくことでどうにか穴埋めを。って穴埋めってテヘヘ。なんていうか、最近オヤジ的なエロギャグがついつい口を……」

 

 この娘は何を言って……って穴埋めがエロイってどういう脳変換してるんだろうか。


 ってそういえば。このポーズはなんとなく、映画とかで見たことがあるようなポーズだぞ? 儀式系のやつなのか? やはり。騎士になりますよ? っていうポーズって事? 昔見たヤツはちょっと違ってたからなぁ。まあ、国や世界によって違いはあるよな。うん。


「ええ、一方的ですが」


「勝手に」


 え? そうなの? そのつもりなの? マジで? そういう事なの? 


「あーいいなー赤荻靖人王に仕える騎士ですかーあたしもなーそれにふさわしい能力があればなぁ。まだまだお荷物だからなー」


 いやいや、お漏らしはちゃんと大学へ行け。折角入ったんだし。

 

 というか、この会社……ちとカルト宗教系の匂いもしてこわいなー。王て、何さ。というか、会社、株式会社だよね? ここ。会社社屋、兼、社員寮だよね? 間違ってないよね?


(怖いよ? 少し)


我が主君マイロードはそれだけの力をお持ちだという自覚をお願いします」


(……そ、そう……かな……う、うん)


 そう頷かないと納得してもらえないオーラがプンプンだ。


「ですねー迷宮に対する知識、魔術理論に、能力値の詳細にしても、現時点で世界最高峰……というか、飛び出して宇宙ですからね。私、守秘義務の術で縛られてなかったら、寝ないで論文仕上げて、ガンガン発表してますよ。スゴイ情報量、スゴイ知識」


 守秘義務の術でなくて、「誓約」な。お前、神罰を喰らう分だけ、根本的に重さが違うんだけどな。その辺も判ってないよな。そりゃしょうがない。使える者が、俺か母さんくらいしか、存在しないんだから。


「あ、あれ? そういえば、昨日のトラブルは解決したんですか?」


「した」


「なら良かった~ふふふ」


 お漏らし……根本的に何かが軽いなぁ……軽い。まあ、いいか。その軽さが……少し心を上げてくれる。こういう精神的なモノは良くなるのも悪くなるのも、積み重ねだからね。



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