第21話 戦う盗賊の道 20

ククリと話をしていたら、ノックが聞こえでかい箱を持った、カイとルートが入ってきた。

「お金は持ってきた確認してくれ」

カイの指示で、ルートが箱を開けて白金貨400枚並べる。


全て確認して、受け渡しの契約書を書き、お互いにサインをする。

サインが終わり、剣を渡すとルートが、

「この事は、忘れないからな。

後悔させてやる。」

恨みがましく、睨み付けてくる。


「アホな商人ほど、滑稽なものはないから、後悔なんてしないさ。」

笑いながら、嫌みのように、握手の手を差し出すが無視された。


「俺は関係ないからな。

俺たち剣士は、盗賊を侮ったりしないと約束したから、関係ないぞ。

こいつを連れてきたのは、俺が悪かった。」

こちらを伺い見ている。


「わかってますよ。

商人との問題ですから。

用事もすんだだろうし、お帰りください。」

入り口を指差し、さっさと帰るように伝えると、そそくさと二人が帰って行った。


「剣士の次は商人と揉めるのか?」

ククリが呆れながら聞いてくる。


「直接は、多分揉め事にはならないよ。

商人が揉めるのは、商人さ。

あの感じだと何かしてきそうだから、金も入ったし、急いでベルーガさんと話をしよう。」

ククリを連れてギルドを後にし、ベルーガ商会に向かう。


ベルーガ商会に着くと、すぐに奥の部屋に案内された。

少し待っていると、ベルーガさんが入ってきた。

「待たせたね。

ルート商会は、お金を払ったみたいだね。」


「うん。

払うしかないだろうからね。

ベルーガさんに頼みがあるんだ。」

俺はカバンを机に乗せ、白金貨を並べる。


「どんな頼みなんなだい?」

ベルーガさんは並べられた白金貨を見ながら少し警戒している。

「前に話をした、ベルーガさんの息のかかった新興商会の件を、このお金を使っていいからできるだけ、早く立ち上げてほしい。

多分近いうちに、盗賊ギルドにルート商会がちょっかいをかけてくるだろうから。」


「なるほど。

正直、人選は済んでるんだが、お金が足りなくて、後回しになってたんだ。

商会を立ち上げるには1件、金貨500枚を供託金として、商人ギルドに預け入れしないといけないし、元手もいるからね。」


「ちなみにどんな人なの?」


「一人はうちの次男、

一人は、うちの従業員だ。

一人分の費用は出せるがさすがにどちらか一人にって訳にいかなくてね。」


「なるほど。

身内ならちょうどいいね。

費用は全部、こちらが出すよ。」


「さすがにそれは・・。」

ベルーガさんが返答に困っている。


「失敗しても返さなくていい、ただ盗賊の味方にはなってもらう。

ベルーガ商会には、力をつけて欲しいからベルーガさんのお金は、商会の為に、お金を使って欲しい。」


「ルート商会はそんなに早く動きそうなのか?」


「わからないけど、盗賊ギルドとの取引に一切関われないように、先に手がうちたい。

他の大手商会も信用できない状況だからね。」


「わかった。

なら白金貨300枚借りたい。もちろん2人が上手くいけば返す。

まぁ上手くいくかは、盗賊ギルドが上手くいくか、次第な部分が大きいだろうからもちろん味方になるさ。」

ベルーガさんは納得してくれた。


「できる限り急いでお願いします。」

白金貨を渡しながら、ベルーガさんにお願いする。


「そういえば、ミスリルの剣って売った?」

ベルーガさんに確認する。


「いやまだだが?

剣は使わないだろ、どうかしたのか?」


「いや保険でカイの息子の剣を、一本返してもらえないかな?」


「かまわないが・・・」

怪訝な顔のベルーガさんに、耳打ちし、先ほどの金貨を返して、白金貨を10枚ほど渡す。

「その件は、こちらでやっておくよ。」

呆れた様子で、ベルーガさんが答える。


「俺には内緒かよ。」

ククリが不満げにこちらをみる。


「いやわかったら面白くないから、知らない方がいいよ。」

ククリはしつこく聞いてきたが、無視しておく。


ベルーガさんと今後の新興商会の話をある程度詰め、ククリとギルドに帰る。


「まだ結構残ったな。

そのお金は、どうするんだ?」

ククリが分け前をほしそうに、こちらに聞いてきた。


「とりあえずギルドについてから考えよう。」

商店街を歩いていると、ルート商会が目に入る。

店員とこちらが目が会うが、睨み付けてきた。どうやらもうさっきの件が伝えているらしい。


ギルドに着くと父さんが待っており、奥の部屋に呼ばれる。

「ずいぶんぼったくったって聞いたが大丈夫なのか?」

心配そうに聞いてくる。


実際商人の影響力は大きい、買い物すらできない状況になるのを恐れているのだろう。


「大丈夫でしょ。

悪いことはしてないから。」

残った白金貨90枚を机に並べる。

「ギルドに50枚、ククリと俺が5枚づつで分けよう。

残り30枚は、多分ミスリルの装備で消えちゃうから。

ギルドのレコーダーを新しくして、ギルドの建物の修繕にあつててね。」

ニコニコで父さんに金貨をわたす。


「いったいいくらで、取引したんだ?

せいぜい金貨500枚位の物だろ。」

父さんは驚きながら聞いてくる。


俺は、父さんにベルーガさんとした話しも含め、説明する。

「なるほど。

しかしルート商会と揉める可能性があるのか・・・・

少しは大人しくできないのか?」

呆れながら半分諦めながら言われる。


「別にちゃんと交渉した結果だし、もし何かあれば大丈夫なように、手を打ってるから問題ないよ。」


「わかった、だが当分は大人しくダンジョンでカーターに修行をつけてもらいなさい。」

少し強い口調で父さんが、睨み付けてくる。


「大人しくします。」

もちろんそんな気はさらさらない。


人は一度舐められると、とことん舐めたことをしてくる。

ならやり返すだけだ、だいたい盗賊は舐められすぎだ。

父さんと話しが終わりその日は家に帰る。


それから1週間位は、大人しくダンジョンの一階層をカーターさんとククリ、ニャールの4人で周り修行(レベル上げ)にはげんでいた。


久しぶりに修行が休みになり、ククリとニャールと飲食店街でご飯をたべ歩きしに向かう。


商店街を抜ける時に違和感を感じる。


みんな盗賊を避けるのだ、おかしいとは思ったが、とりあえず飲食店に行き、ククリてニャールと楽しくご飯を食べていると。


「あいつだろ、剣士のカイさんから奪った剣を金貨4000枚で買い取らせた盗賊って。」

隣の席の商人たちから、そんな事が聞こえてきた。


「どういう事か教えてくれ。」

商人の席に行き、睨み付ける。


「いや、ルート商会の人がそのように言ってたんだ。

詳しくは知らないが、家宝と知ったとたん値段を吊り上げたって話だろ。

一部の商会や露天商は、盗賊を出入り禁止にするって話だ。」

俺のあまりに剣幕な様子に、商人は焦りながら答える。


「なるほど・・・わかった。」

まさか本当に、こんなやり方に出るとは、呆れて物も言えない。

何が起こったか知っている、ククリとニャールも怒っている。


「どうするんだ?」

ククリが聞いてくる。


「まぁ手は打ってるから問題ないよ。

けど想定よりバカだった。

とりあえずベルーガ商会に行こうか。」


3人でベルーガ商会に着くと、すぐ店員の女性に奥の部屋に案内される。

少し待っているとベルーガさんが重たそうな荷物を運んできた。


「本当に必要になるとは思わなかったが急いで、作っておいて良かたっよ。」

ベルーガさんが呆れながら、頼んでいた物を見せてくれる。


それを見た、ククリとニャールも驚き呆れていた。

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