盗賊(アサシン)の罠解除(トラップ・リムーブ)~ダンジョンのある世界で盗賊は不遇職?~

たつぼう

第1話 プロローグ


ダンジョンのある世界


この世界にはダンジョンが存在する。


約1000年前、魔王が誕生し人族と魔王の戦いがおき、勇者パーティーにより討伐された。


魔王が死に際に起した魔力爆発により各地にダンジョンが発生し、現在に至る。


ダンジョンからは、ダンジョンの産み出した産物が取れ発展し、人々はダンジョンから恵みを受けて生活をしている。


まさに剣と魔法の世界である。


俺は石川快斗いしかわかいと(35)中小企業に務めるサラリーマンだ。


会社に向かって歩いていると、トラックが突っ込んできて、天涯孤独のまま死んだ。


目が覚めたら、知らない天井、窓からは西洋風の建物が立ち並ぶこの世界にいた。

というか前世の記憶を思いだした。


前世は日本人で、働き盛りのイケメンだったはず。

女性にモテた事はないが・・・


現在は、ビアンキ(8才)である。


この世界には、職業・ステータスが存在し、8才になると天からお告げを聴き、職業を授かる天職の義を受けることになる。


職業は大まかに


■ダンジョン職

剣士、魔法使い、格闘家、回復師等


■生産職

錬金術師、被服師、薬師、鍛冶師等


■他

商人、農業、漁師等


■ダンジョン案内職

盗賊

に分けられる。


職業により人生が決まってくる。


ダンジョン職、生産職は勝ち組と言われ裕福な暮らしができ、他よりも優遇されている。


まさにゲームのような世界だ。


俺は魔法使いになりたい。

せっかく魔法がある世界に来たのだから。

たとえ魔法使いになれなくても、出来れば剣士になりたい。

前世は日本人だったから侍に憧れ剣道をしたこともある。

刀を振るの剣士なんかもカッコいい。


明日は、8才の誕生日、天職の義を受ける。


ちなみに我が家の家系は代々盗賊の家系だ。

父クローム 職業 アサシン


母クイナ  職業 くノ一


盗賊の上位職だ。


もちろん盗賊の子でも、職業は盗賊になるわけではない、とりあえず盗賊以外ならなんでもいい。

なぜ盗賊が嫌なのか、命懸けにも関わらず、貧乏な不遇職。


だいたいダンジョン案内職って何って話しだ。


父さんから聞いた話だと、魔王を討伐した勇者パーティーを、盗賊が魔王城の中の魔王の元まで案内をしたことからダンジョン案内人となったらしい。


個人的には、案内した盗賊もパーティーメンバーではないのかと思うのだが・・・


盗賊は必ずダンジョン攻略には必要な職業なのだが、火力が低くパーティーに入れないとのことだ。


そして迎えた天職の義。


「盗賊になるのが楽しみだ。

盗賊になればいろいろ教えてやれる。」


父さんから盗賊がいかに素晴らしい職かを教会に向かう、道中レクチャーを受けた。


何故なら我が家の家系はダンジョンができて以来、1人剣士がいたらしいが、それ以外以外全員が盗賊である。


天職の義では、神の祭壇の前の皿に、血を一滴たらし、司祭による祝福を受けた後、鏡貼りの心理の間に入るとステータスを開くことが出来るようになり、職業を知ることができる。


ドキドキしながら儀式を行いステータスを確認する。


『ステータスオープン』


盗賊 LV1


力  5

丈夫さ  5

素早さ 10

器用さ 10

魔力  3

運   8

【スキル】

索敵Lv1、罠解除Lv1、鍵開けLv1、

マッピングLv1


まるで前世のゲームみたいだ。


クロームはステータスを見て、

「良かったな盗賊になれて、一族から違う職業がでたらどうしようかと」


「良かっよお父さんと一緒の盗賊になれて!」


わかっていたが、ちょっと、いやかなり期待した。

俺は転生者だから。

他人とは違う事を期待をしていた。


1人剣士がいたと聞いていたから、チート大歓迎の心構えでいた。


しかしこの世界の俺にチートはないらしい。

内心がっかりしているものの、盗賊になったものは仕方がない。


クロームから職業の説明を受けた。

盗賊とは、ダンジョン案内人。


ダンジョンには基本5人一組で入り、ダンジョン職4人と案内人1人で入る。 

盗賊の仕事は、戦闘に参加せず。

宝箱の開封、罠の解除、索敵、ドロップ品の回収、道案内である。

報酬は、ダンジョンの階層等により決まっている。


盗賊しかできない事は、宝箱の開封、罠の解除、索敵、マッピングとのことだ。


夢も希望もない職業である。


天職の義の帰り盗賊の心得を聞いた。


父さん曰く

「盗賊とはパーティーを導く物であり。道標である。


道標がなければ、パーティーは彷徨い崩壊する。伝説の勇者であっても同じである。たしかに他の天職に比べで不遇な部分があるが、なくてはならない職業であり、誇りがある。」

俺は父さんに聴いてみた。


「何でそんなに重要な仕事なのに報酬が低いの?」

父さんは苦笑いしながら言った。


「魔王を討伐に参加しなかったから仕方ないのさ」

まるで意味がわからない。


困惑した顔をしていると、教会で渡された『魔王討伐の職業における功績』と書かれた本を読みなさいと言われた。


その日の夜『魔王討伐の職業における功績』を読んだ。


内容は、盗賊にとってはあまりにひどい内容であった。


要約すると、勇者騎手聖女司祭剣聖剣士拳帝格闘家賢者魔法使いにより魔王が討伐された。


アサシン(盗賊)の案内により魔王城の魔王の間に行き着き、勇者パーティーが戦い魔王を倒す。 


勇者は聖剣をもち。(鍛冶職が作り)


聖女は法衣に身を包み。(被服師が作り)


賢者は杖をもち。(錬金術師が作り)


他の全ての職業も一群となり力を貸した。

しかしアサシンは、案内をしただけである。

戦いには参加せず、何かを生産をしたわけでもない職業であると・・・・


めちゃくちゃな理論だ。

命がけで魔王城に出向き、パーティーを魔王の前に案内したのである。


敵が沢山居るであろう、罠も沢山あるであろう中を・・・神技としか言い様がない。


この様に書かれ1000年もの間、現在まで伝えられたら不遇にもなる。


この世界の盗賊は罠にかけられたのである。

 

しかし希望が見えた。

魔王城に6人で乗り込み案内ができるということは弱い職業のはずがない。


最強の盗賊を目指そう。


盗賊かけられた罠を解き、盗賊の職業の地位向上を目指す。


罠を解除するのが盗賊なのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る