本編
第1話 ディシュタルトの後継者
夜空に
大陸で一、二を争う大帝国、カトラン帝国の皇城が
巨城に
そんなディシュタルト公爵城では現在、家門の人々を招待した大々的なパーティーが開催されていた。
「ディシュタルト公爵家次期公爵、私の跡を継ぐ後継者を発表する」
彼の名は、ロレンソ・フォン・ディシュタルト公爵。ディシュタルト公爵家当主だ。
「世界
ディシュタルト公爵は、自身の家族、直系たちを前にして、淡々と話す。
「銃専用の
ディシュタルト公爵の言葉に、パーティーに参加している家門の人々は、衝撃的な表情を浮かべた。
「ディシュタルトの後継者に、我が
会場が
帝国屈指の公爵家の後継者に任命された本人は、ちょうどバルコニーから戻ってきたところだった。ディシュタルトの後継者を発表する歴史的瞬間だというのに、当の本人は聞いていなかったのである。その理由は簡単。どうせ選ばれるのは自分だという圧倒的な自信があったからだ。
白金に輝くマーメイドラインのドレス。豊満な胸元を見せているにも
周囲を一切寄せつけない。世界の名だたる美女たちも彼女の前では
女性の名は、ベネデッタ・フォン・ディシュタルト。22歳。ディシュタルト公爵が最も
「屈指の男好きとして有名なあの者を後継者に任命されるなど、我がディシュタルト家の品格が下がります! 父上! どうかご再考を!」
フィンセント・フォン・ディシュタルト。40歳。ディシュタルト公爵の
シルバーグレーの髪を後ろに撫でつけ、清潔感
「これはディシュタルトの当主の座を狙う者全てに言えることだが、何かひとつでも、ベネデッタに勝るものはあるか?」
ディシュタルト公爵の問いかけに、フィンセントをはじめ、ディシュタルト公爵家の直系たちは黙りこくる。
「ないでしょうね」
沈黙を破ったのは、ベネデッタ本人だった。ワイングラスをくるりと回す。透明の舞台でワインが
「貴様っ!!!」
「あら嫌だわ、伯父様。私は事実を述べたに過ぎませんのに
頬に手を添えて小首を
「ふむ……。何においてもベネデッタが
ディシュタルト公爵の言葉に、フィンセントは
「お言葉ですが、お祖父様」
ベネデッタは人々が作り上げた花道を
「男好きという噂は以前までのもの。今はもっぱら、男性に興味はありませんわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。