第2話 海蝕洞の幻宝(2/5)

三人の作戦会議が始まった。

「まずはどうやってそこに近づくかだな」

シンジは理論派だ。

「えっ、泳いで行くんじゃないのか?」

トシは楽観的だ。


「トシは帰ってくることを考えてないだろ。そんな距離を泳いで往復したら、溺れちゃうよ。それに宝物をどうやって持って帰るんだよ。船だ。船がいる」


「そしたらおれの父ちゃんの小舟を使おう」

たけしは父の手漕ぎボートを無断で借りることにした。


「いつやる?」

トシが言った。

「学校が休みの日の朝がいい。昼間だったら母ちゃんに見つかって怒られる」

たけしが提案した。

「それがいい。次の日曜日が晴れだったら、朝6時に浜に集合だ」

シンジの一言で決定した。


決行の日が来た。

天候は快晴、波も穏やかだ。

たけし、トシ、シンジの三人は誰にも見つからないように小舟に乗り込んだ。


たけしは父から教わっていたから、船の操作には慣れていた。船は快調に沖へと突き進んでいく。


「どんな宝物があるのかなあ。黄金の冠とかあるんだろうか」

トシはもううきうきしている。

「船に積みきれるかなぁ」

たけしもうきうきが止まらない。


「たけし、そろそろ崖に近づくぞ。波が荒れ出すっ、波に押されて崖に船が衝突しないように少し離れて漕げ」

シンジは的確に指示を出した。


「わかったぁ」

波が高いと船の操作の勝手が違う。

たけしは魯を握り直して、荒波の中を進んで行った。

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