第13話 捜索開始

 女性の下着を探せ!


 そう云われればその通り動くのがうちの会社の社員だ。


 全員が立ち上がるとテーブルの上を見渡したり、机や椅子の下を覗いたり、棚の上や廊下を確認したりと、下着の捜索を開始した。

 だが、もちろんそんな所に下着はない。もしあれば探すまでもなく発見されるのは必定だ。

 にもかかわらず、ゾンビども───もというちの会社の社員はそれが無駄な行為であるにも拘わらずそういった所を捜索し始めた。


 それは何故か?


 それはこれもうちの社員全員が過酷な労働環境にあてられ思考回路がショートしてしまっているからだ。


 下着を探せと云われれば、何も考えず、を行って見せる。

 これがブラック企業で働く社員の処世術と自己防衛の成れの果てなのだ。


 こうした社員が目的の物を見つけることなどできるはずがない。


「おい、温美あたみ。他の社員はアテにならない。俺たちで下着を見つけるぞ」


 俺は早々に見切りをつけ、自分たちで下着を探し当てることにした。


「え? 有真ありまセンパイ、下着を探すんスか?」


 温美は意外そうだった。

 確かに、俺はこれまでこういう会社の命令を無視し続けてきた。そんな俺を知っているので温美は意外に思ったのだろう。


「ああ。温泉という聖地で起こった事故に同情を禁じ得ない。まただ。ぜひ探してやろうじゃないか」


「じょ、女性にとって下着は重要……。そ、それは本当っスか、有真センパイ」


「うん? 何故、そんなことを聞く? お前も女性側の人間だ。そうだとは思わんのか?」


「い、いや、それはそうっス。重要っス。訊きたかったのは、ってことっス」


「もちろんだ。女性の下着は素晴らしい。俺に限らず、世の男たちは皆そう思っているだろう。だから女性の下着は重要だ」


 その言葉を聞いて温美はポケットの中の物をギュッと握りしめた。


「……わかったっス」


「お。わかってくれたか。さすが温美だ。よし。ではまずは温泉の脱衣所を捜索しよう。下着をなくすとなれば温泉の脱衣所が一番怪しい」


「わかったっス。有真センパイ、すみませんが先に行ってて欲しいっス。ワタシもすぐにいくっス」


 ───ん? 準備?


 俺は一瞬、違和感を覚えたが「ああ。わかった。では温泉で待っているので準備ができたらすぐに来てくれ」と返事をした。




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【後書き】


 私の小説を読んでいただき、本当にありがとうございます。

 (⋆ᵕᴗᵕ⋆)ウレシイデス


 さあ、温美の準備とはなんでしょうかね(ワクワク


 皆さまに「面白い!」と思っていただけるよう頑張ります!

 (๑•̀ㅂ•́)و✧

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