第3話 温泉は混浴っ!?

「し、しかし本当にすごい山奥っスね。有真ありまセンパイもよくこんなところで温泉旅館を見つけたっスね」


 温美あたみは今にも茂みからクマが飛び出してくるのではないかとビクビクした様子で、俺の陰に隠れつつ山道を登っていた。

 

「今から行くところは正確に言うと温泉旅館ではない。そこは猟師の皆さんが狩猟期間中に寝泊まりをする寝所で、たまたま近くに温泉が湧いているというところだ。今は狩猟期間ではないがお婆さんがそこでひとりで生活をしていて、訪ねると食事や寝床の世話をしてくれるんだ」


「そ、そういうことだったんスね」


「だから建物や設備は必要最低限で、温泉も源泉かけ流しの露天風呂だ。もちろん男湯と女湯なんかに別れていない」


「じゃ、じゃあ混浴ってことっスか」


「まあ、そういうことだな。しかし、このペースだと俺達だけだいぶ先に目的地に着きそうだ───」


 俺はそういって後ろを振り返った。するとはるか後方に、他の社員たちがノロノロと山を登っている姿が望めた。

 その歩みは遅く、本当にゾンビの群れのようだった。


「他の社員が来る前に、着いたらすぐに温泉に入るぞ。ふたりだけの貸し切りだな」


「そ、そうっスね。ふたりだけの貸し切りっすね。


 ───……。


 ───…………え?


 い、いや、有真センパイ、ふたりだけの貸し切りって、温泉は混浴なんスよね?」


「まあ、そうだな。男湯と女湯に別れていない。だが安心しろ。心配ない」


「い、いや。安心できないっス。心配しかないっス」




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【後書き】


 私の小説を読んでいただき、本当にありがとうございます。

 (⋆ᵕᴗᵕ⋆)ウレシイデス


 次話で温美の脳内妄想が爆発します(๑•̀ㅂ•́)و✧

 乞うご期待いただけますと幸いです୧(˃◡˂)୨


 皆さまに「面白い!」と思っていただけるよう頑張ります!

 (๑•̀ㅂ•́)و✧

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