GWの予定は?③

 ――放課後。


 生徒会室まで辿り着くと、開口一番に九条くじょう先輩の姿があった。


「おや、来たか」


「九条先輩、早いですね」


 鞄を生徒会室の隅に置いて、空いた椅子に腰掛ける。


 九条先輩は会長席へ腰掛けて、こほんっと咳払いを一つ吐く。テーブルの上に両肘を付いて手を組みながら、彼女は此方を見据えて口を開いた。


北崎きたざき君」


「はい」


「……その……GWの予定を聞いても……良いかな?」


 何故に。少しばかり上擦った声音で問うた九条先輩に向けて言葉を返す。


「喫茶店でアルバイトしてます」


「……GW中ずっと?」


「いえ、それはないです」


「……そうか」


 小さく頭を振る俺に、九条先輩は身体をぴくっと震わせて頷く。


 二たび、彼女は口を開いた。


「では、君のバイトが無い日……一緒にどこかへ出掛けないか?」


「……あー、すみません。バイトが休みの日は、奈央にデートをしようと誘われまして」


 苦笑交じりに頬を掻く俺に対して、九条先輩は小さく頬を膨らませた。


「……ふうん。そうなんだ」


 眉間に皺を寄せ、不服そうにじと目を向ける九条先輩。


「……ふうん。そうなんだ」


 同じこと二回言ったなこの人。


「九条先輩、なんか怒ってます?」


「怒ってない!」


 言って、九条先輩はぷいっとそっぽを向いた。


「……さいですか」


 顔を合わせることなく、蚊の鳴くような小さな声で九条先輩は言う。


「……えて」


 はい?


「……北崎君のアルバイト先教えて」


「喫茶店百瀬です」


「……喫茶店百瀬……それって……と、兎に角、GW中に絶対行くから!」


「……はい、お待ちしております」


 と、苦笑気味に俺は言った。


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 ――二階堂にかいどう先輩の生徒会日誌代筆担当などうも俺です。


 本日も私立浅倉あさくら学園生徒会の雑用係として奉仕活動に勤しんだ俺は、昇降口にて、スマホからメッセージの通知音が鳴った。


 メッセージの相手は千尋ちひろだった。おにいちゃん思わず二度見しちゃった。


 ――帰りにコンビニドーナツ買ってきて。兄さんの奢り希望♡


 買うー!


 お兄ちゃんの財布は可愛い弟へ貢ぐためにあるんだぜ!


 俺は内心うきうきわくわくしながら、軽やかなステップと共に最寄のコンビニまで踵を返した。


 ――――――――――

 ――――――

 ――


 ただいま――と、意気揚々と玄関先でローファーを脱ぎ捨てリビングへと顔を出す。


「――帰ってきた。かすみ、おかえり〜」


 ソファの上でだらしなく寛ぐ奈央なおの姿があった。上着は俺のパーカーを着込んている。


 随分と気に入ってますね俺の部屋着それ


 ……また、人の部屋のクローゼットを漁ったのかこの幼馴染。


 呆れ交じりの視線を向けて彼女に「ただいま」と返した。


「おかえり兄さん」


 台所から千尋が柔和な笑みを浮かべて顔を出す。


「千尋、ただいま!」


「……何この温度差」


「まあまあ、ナオちゃん。兄さんだから仕方ないよ」


「そうね。ドがつくほどのブラコンだもんね。気持ち悪い」


 やめろ、最後の言葉は俺に効く。


 昨日、千尋に言われたばかりなんだ。


「兄さん、ドーナツ買ってきてくれた?」


 ぱたぱた俺の元へやって来た千尋は、首を傾げて問うた。


「もちろん」


「わあぁ、ありがとう兄さん」


 首を縦に降る俺を見て、千尋はぱぁっと喜びに満ちた笑みを浮かべた。守りたいこの笑顔。


「ナオちゃんも一緒に食べよう」


「食べる♪」


 コンビニのレジ袋に入ったチョコレートに塗られたオールドファッションを手に取る奈央。


「いただきまーす」


 袋に詰まったドーナツを開封しながら、ソファに腰掛けて奈央は言った。


 奈央の隣に腰掛けて、ドーナツを頬張る千尋の姿を満足気に眺めつつ、部屋着に着替えるため――――俺は自室へと踵を返した。

――――――――――――――――――――――

最近、身内にアニメマケインを推しススメたら既読無視されました。


作品フォロー、いいね♡レビュー★ありがとうございます!

挨拶運動最終日は番外編に回します(⁠^⁠^⁠)書き上げたら近況ノートの方に載せます。

GW回書きたい!(⁠ ⁠╹⁠▽⁠╹⁠ ⁠)


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よろしくお願いします!m(_ _)m

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