ホームレスから始まる現代ダンジョン攻略
@kandoukei
プロローグ:限界集落の実力
鬱蒼とした湿気と暗さが立ち込める雑木林。その陰湿な静寂に凶暴な鼻息と草木が倒れる音がこだまする。
茂みの奥底に竹槍を抱えたある人影と共に赤目赤毛白角の
人影は裾が使い古しのようにだらんと広がった白いTシャツと土埃まみれの黒いジャージズボンを着た青年で、ボサボサな灰髪と黒い瞳、左頬の黒子が特徴の男子であった。
そんな男子は自分よりも三周り大きい巨躯を持つ
遂には、男子の前にある杉にぶつかりそうになり、
余りの威力に宙に舞う杉の上半身を見て、確信を得た
ちなみに、どうして、
男子は傍らに持った竹槍を真下にある
どんなに強い獣でも、生命活動の維持を担う心臓と思考行動の維持を司る脳を破壊すれば倒れはしなくても、動きを失わせるのは容易く、後者なら、余りにも大きい身体を支える筋肉を操作する意識を失えば倒せるのは簡単らしい。
よほどの戦闘の達人でなければの話だが。
「ふぅーーー。やっぱ、こうガッと刺すのが一番いいな。」
そう呟いた少年は死骸となった獣が新鮮な内に
その日の夜、限界集落に多くの灯火が上がり、焚き火を中心に村人たちが群がり、地べたに敷いたシートや毛皮の上に
そんな彼の元にこの限界集落の長である白髪白髭の老人『源老』が祝いに来る。
「良くやったべ、光兵衛よ。これでおめぇの都入が決まったべ。お前の死んだ親御らやご先祖様に申し訳が立つべ。」
「源老爺さん、大袈裟だ。おらはただいつも通り狩りをやっただけだべぇよ。」
「何を言う、おめぇ。山の主の頭蓋を貫けるのはおめぇしかいねぇよ。竹槍の
源老は密造酒をちびちび呑みながら、光兵衛の凄さを肴にする。
その両兵衛は後ろから灰髪ツインテールと黒い瞳の少女、『中村桔梗』が抱きつく。
「光にぃ、いいなぁ。アタイも都入して、皇京ヘブンツリーに登りたいし、都で可愛いぬいぐるみを買いたいよ。」
「馬鹿言うでねぇ! ただでさえ戸籍が
「むぅ〜〜〜。いけず。」
「まぁ、十三の桔梗がおらと同じ十六の時で、山の主を倒せるようにならないといけねぇなと思う。もう少し、辛抱や。」
「その代わりに仕送りの時にはまた、遊んでや! 光にぃが来るまで湖におる主を捕まえるわ!」
「おぅ! 分かった! 楽しみにするべ!」
この村では戦で力を失った武家公家の末裔である落人や、格差社会に敗れ、文明開花に取り残されたサンカなどの貧民、さらには戸籍のない孤児などが寄り集まった集落であり、都会の利便性を得る資格よりも、厳しい自然を生き抜く
彼らが言う都、都会で生きていくには
それらは都会や自然を問わず、世界各地に存在し、
特にこの国、日本では
その為の成人の儀を終えた彼は何食わぬ顔の裏では都にある
「さぁて、どうなんだろうな? 都の冥巣は?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます