武士にしてくれとは言ったがお化けにしろとは一言も言ってないゾ
五平太
プロローグ 法螺吹きの噂話しと化した転生者!
新月の夜、芒が風に吹かれ揺れる静かな平原に佇むモノがいた。
東方の鎧に身を包み全身は返り血を浴びた様に赤黒く目は充血した獣の様な眼光を放っている…平原の中、足を畳み座り込んでいる…まるで獲物を待つかの様に…
◆
「はぁ?亡霊が出るだって?」
夜になっても騒がしいギルドの酒場でAランクパーティーの【牙狼】を率いる男レガンが呆れた様に言う
「ガチだって!此処から東にあるアシノハラだったか…?まぁそこに出るんだとさ…昔、ここらにあったって言う国の戦士の亡霊がよ!」
パーティーメンバーのアノンの熱弁に他のメンバーの4人は耳を貸さず馬耳南風と言わんばかりの態度で話を聞きレガンがハァ、とため息をついてから
「亡霊と言ってもどうせレイスの類だろ?」
「違うっての!!そこらのレイスとはちげぇんだよ!」
アノンの言葉に1人がポツリと言葉を漏らす
「……気になる…」
アノンはそれを見逃さずそのメンバー、アルにゴキブリの様に近づくと他のメンバーはうわっ、きしょ、まじかよと言った言葉を発するがアノンには聞こえない聞かない…だが効いている…(言葉は)
アノンはめげずに
「教えてやんよ…見た目は昔、この地域にあった国の騎士…武士って呼ばれてるらしい…その武士の見た目をしてて新月の夜にしか現れないらしいぜ…」
「………で?」
「え?」
まさかそんな反応をされるとは思っておらずアノンは"ほへ?"と言った阿呆面を晒す事になる
「え?普通…もっとあるでしょ噂…?」
「いや…その…あの……」
実はアノンは聞き齧った程度の知識で話していた為これ以上は知らないのだ。
彼の様子を観ていたメンバー達はあーあ…オレシーラねー、ホントに恥ずかしい…、アノンが恥かくか上手く誤魔化せるかどうか賭けないか?、イイねェ!、乗ったわ、と言った具合で彼を助ける気は無いようだ。彼は涙ぐみながら
「えー…とだな…この地域では新月の夜は神隠れの日って呼ばれててな?(嘘)お月さまが隠れてワッルイ奴等が活発になるんだ…(めっちゃ嘘)」
アノンがそう言うとメンバーから
がんばえー!ぷいきゅあー!、この賭け勝ったわね、この賭けでアイツに賭けるバカいんのか?、…バカで悪かったなぁ!?リーダーさんよぉ!!?ぶっ◯してやらぁ!!!と最早彼は眼中に無いようで
アノンは静かに涙を流す
だが彼にもプライドと言うモノがある(んなモン捨てちまえ)なんとしてでも彼女を騙し切る必要があるのだ(プライドの為に人を騙す人の屑)
彼の奮闘は一夜に続いた……
だが彼は知らない…その亡霊の正体を…(当たり前)
◆
「ブエクシュ!!……風邪?お化けって風邪引くのか?」
誰も居ないアシノハラと呼ばれる平原の中で一人の亡霊…元人間の転生者が呟いた。
武士にしてくれとは言ったがお化けにしろとは一言も言ってないゾ 五平太 @sukemaru225
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