第4話 絶

 俺は、先生に言われたとおりつぼみちゃんと資料をまとめてホッチキスで止める単純作業をしていた。


 つぼみちゃんも、もくもくと作業をしている。


 ここまで、俺に無関心だと昨日のことはバレていなかったのではないか?俺の気にすぎだったのではないか?俺は、一刻も早く安心したかったのだろう。そんな、思い込みを鵜呑みにしてしまった。



「ねえ、昨日見たでしょ?」

「な、何を?」

「お弁当....昨日取りに来てたんでしょ?」

「い、いや〜今日バスで渡されるまでわからかったな〜」


 ま、まじか。


 俺が、安心した時を狙って昨日駄菓子屋の目の前に居たの気づいていたよっと言って来た。ま、まずいのではないか?もし、ここで俺が見たと言ったら誰も居ない教室で仕留める気ではないのか?


 ここは、全力で否定をしなくて殺される。


「そう?」

「そうだよ....」

「実は、外に監視カメラがあるんだけど、この子は君じゃないのかな?」



 つぼみちゃんのスマホを見せられた。そこには、俺が慌てて逃げている姿がばっちり言い訳ができないほど鮮明に俺の映像が映っていた。


「確かに、お弁当を忘れて取りに行こうとしたけど何も俺は見てないんだよ。」

「私は、何も言ってないよ?佐藤くんは何を見たのかしら?」


 

 そう、言って俺の方に歩み寄って来た。俺は、ホッチキスでまとめる前の最後の資料を恐怖で手が震えて床にばら撒いてしまった。


「佐藤くんどうしたの?」


 首を傾げて俺が落とした資料を拾い上げ、俺に渡して来た。俺は、その資料を受け取りホッチキスを『パッチ』っと止め、先生に頼まれた仕事は終わった。



「お、お前は何者なんだよ!!人形の何かを拳銃で殺していただろ!!俺もそいつと同じように口封じをするのかよ!!」



 俺は、もう死を悟った。なら、俺は知りたいことを聞くまでだと聞きたいこと全部言ってやった。


「やっぱりね。しっかり、私のこと見てたんだ。あの時は、油断してたからね。まあ、仕方ないよね。佐藤くんとはお隣だし。私のこと、少し興味を持っていたから警戒はしてたんだけどね。」


 そういって、鞄の中から何かを取り出そうとゴソゴソと探し何かを取り出し俺の方にゆっくりと俺の方に近づいて来た。俺も、距離を保つように後ろに下がりこの教室から出ようと扉に手を掛け開けると、つぼみちゃんが一気に距離を縮め鞄から取り出した物を俺の腹部に当てられた瞬間、俺の腹部に強い電流が走りあまりの痛さで意識が無くしてしまった。


****


「あれ、佐藤は寝てるのか?」

「はい」

「はあ、まあいいか。つぼみちゃんが積極的に仕事をしてくれて本当に助かったよ。」

「私も今日は暇でしたので」

「全く、佐藤の奴はどれだけ寝るんだよ。起こしてやるか。」

「いえ、先生。佐藤君とはお隣で同じバスに乗るので私がおぶって一緒に帰りますよ。」

「そうか?じゃあ、気おつけろよ。」



 つぼみちゃんは、佐藤の鞄を持って背負いバスの中に乗り自宅に向かった。

 

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