第7話 王子は己の親衛隊員を取り戻す

「それにしても、サリカ一家はすさまじいですね。情報として知ってはいましたけど、実際の迫力はそれ以上だ。長生きはするものだなぁ」

 親衛隊長の暢気な感想に、ダヴィディアートは仏頂面のまま内心でうなずいた。

 ニーヴェナル自体、類い希な美貌の持ち主だ。職業選択に容姿は関係ないが、彼の特徴として美形であるという点を除くことは難しい。それが追加で七人も集まると、ただ呆然と見つめるだけで精一杯になる。高位魔力保持者を前にしたときとは別種の感動を覚えた。

「ニーヴェナルは六人兄弟の二番目だそうですよ。長女はすでに嫁いでいるそうで、親衛隊の給料の大半は仕送りに回していると言ってましたね。末っ子の双子が食べ盛りなんだとか」

 そんな話は聞いたことがなかった。そも、ニーヴェナルの出自や家族について話題に出たこともない。俺は彼を好きだと言いながら、その実、彼のことを何も知らなかった。知ろうとしていなかった。

 そのことに気付いて、己の身勝手さを自覚した。瞳を伏せると、親衛隊長の執務机に体重をあずけたヴァリアンテが吐息だけで笑う。

「……しっかり反省されたようで何よりです」

 何か含むような声色に、ダヴィディアートは舌打ちを返した。行儀が悪いとわかっていても、いらだちは抑えられない。言って聞かせるより、体当たりで物事を理解させようとするやり方は嫌いだ。やはりこの男は、見てくれや忠誠心がどうあれ、立派な体育会系の脳筋だと感じる。

「ニーヴェナルの処遇は、殿下にお任せしますよ」

 ダヴィディアートは面会を終えたその足で、親衛隊の詰め所へと連れてこられていた。カルマヴィア家の居住区画に近い場所だ。詰め所の位置からして、居住区画の門番の役割をしている。

 入り口の近くには待機を命令された親衛隊員たちが休むソファセットが置かれていた。作り付けの本棚のある壁際には事務作業をするための机がならび、開け放たれた奥の扉には仮眠をするためなのか二段ベッドがちらりと見えた。特筆すべきは大きな姿見があることだが、ダヴィディアートには用途がわからなかった。

 本来、王族そのひとが踏み入れることのない場所だ。来客を想定していない雑然さは、華美だ華麗だともてはやされる親衛隊と結びつかない。だが、居心地はよさそうだ。

「彼の暴力にたいしてどう処罰するのか、よくお考えください」

「ギュスタロッサを取り上げられて二日もどこかへ閉じ込めているんだろう。それで充分だ」

「減俸くらいあっていいと思いますけど」

「俺に任せると言ったのはお前だぞ、ヴァリアンテ」

「あの家族を見て同情しましたか」

「いいや。あいつに暴力を振るわせたのは俺だ。原因である俺がいいと言っているのだから、聞き分けろ。俺も充分痛い目を見たし、おそらくニーヴェナルは俺よりも後悔している。親衛隊員というものは、そういうものだろう? だから、これ以上苦しめる必要はない」

 今回の件で誰が悪いかと問われるなら、自分が一番問題だったのだと理解している。何があろうと暴力は許されないという理屈はわかるし、何をしようと許されるのが王族だという建て前もわかっている。

 だから、ヴァリアンテは絶対にダヴィディアートが悪いとは言わない。反省を促してはくれるけれど、責めることはなかった。

 優位に立っているように見えても、ヴァリアンテは絶対にカルマヴィア家の王族を贔屓する。王族に対する明確な線引きは心強くもあるが、時に寂しいとも感じていた。だから本気でぶつかってくれるニーヴェナルがなお好ましいのだ。

 だが、だからといって、暴力をふるわせていいことにはならない。今回の件は、ダヴィディアートの子供っぽい嫉妬心から、ニーヴェナルの親族を侮辱し、彼に暴力をふるわせたことが発端だ。主人の体たらくに、親衛隊員が巻き込まれてしまった。

 ダヴィディアートは真正面からヴァリアンテを見据えた。赤紫色の瞳は強い決意が宿っている。腹の内を探りたいなら好きに探るがいい。見つめ合うことしばし、親衛隊長は小さくうなずいた。

「まあ、着任して一年くらいは甘めに評価してもいいとは思っていたので、それで手を打ちましょう。ですが、二度はありませんからね」

 ヴァリアンテは応じ、古びた鍵を手渡してきた。

「ニーヴェナルはそこの反省室にいます。私はギュスタロッサの封印を解いてきますから、そのあいだに処遇を伝えてやってください」

 ひとり残されたダヴィディアートは、指し示された扉をみつめた。親衛隊長の執務机の後ろ、木枠がなければそこに扉があるとは気付けない。

 二日間も反省室に放り込まれて、ニーヴェナルは怒っているだろうか。それだけならいいが、落胆されて嫌われて見限られてしまったのなら、立ち直れそうにない。

 いや、俺のことなどいい。ニーヴェナルの意志を尊重しなければ。己の立場を理解しつつ、仕えてくれる者をうまく動かせなくて何が王族か。

「……甘えのツケはしっかり回ってくるものだな」

 ダヴィディアートはつぶやいて、覚悟を決めた。小さな鍵穴に鍵を差し込んで、反省室の封印を解く。

 意を決してドアノブを回し、扉を引いた。室内の暗さに目がついていかない。まるで洞窟のようだ。光球を作って浮かべると、そのあまりの狭さに驚いた。

「ニール?」

 簡素な寝台に水場らしきものがひとつだけ。明かり取りの隙間はあるが、四方が壁のような部屋だ。華やかな親衛隊の詰め所に、こんな部屋があるだなんて。思わず踏み入れるのを躊躇してしまう。牢屋を見たことはないが、ここよりはマシなのではないだろうか。

「殿下……?」

 寝台の上で膝を抱えたニーヴェナルが、瞳を限界まで見開いて呆然とダヴィディアートを見上げていた。シーツをかぶって、長い足を折りたたんで、わずか二日でもずいぶんやつれてしまったように見える。

「お前を迎えにきた」

「どうして」

 こぼれた言葉は、問いかけではなかった。独り言のような聞き取りにくい声音には悲壮感が滲んでいる。ニーヴェナルは震える指を寝台に這わせ、ダヴィディアートに向かって手を伸ばした。だが、途中で我に返ったのか、唇をきつく引き結んだ。

 かぶっていたシーツをはぎとって、ひとり歩くだけで精一杯という狭さの床に膝を突く。そうして、深く頭を垂れた。

「このたびは大変申し訳ございませんでした。許されるものだとは思っておりませんが、どうか謝罪させていただけませんでしょうか」

「ニール」

「何を言われようと、僕はあなた様に手をあげてはならなかったのです。心から悔いております。殿下のお顔に泥を塗る結果になってしまい、重ねて謝罪いたします」

「……ニール」

「どのような罰であっても異を唱えることはいたしません。殿下のお手を煩わせるなど、おこがましいことはもうしませんので、かまわずに捨ておいて――」

「ニーヴェナル」

 放っておけばどこまでも暴走しそうな気がして、王子は親衛隊員の決死の叫びを遮った。怒ってくれていたほうが、まだよかった気がする。

 ニーヴェナルは忠臣らしく黙った。

「お前の家族と会ったぞ」

「え?」

「俺はお前が怒って当然のことを言った。お前の家族に対して放ってしまった言葉を、全て撤回する。謝罪すべきは俺だ。すまない、ニーヴェナル」

「そんな、駄目です、謝罪などしては」

「許してはもらえないか」

「そうではなくて! 殿下はカルマヴィア家の正統な王子であらせられます。謝罪は不要なのです」

「公式の場では、そのようになっているらしい。個人的には馬鹿らしい規範だとは思うが」

 カーマは魔族である『紅蓮の魔神インフェルニア』の血を分けられた民だ。魔神自ら国の支配を認めているカルマヴィア家を尊い者とみる風潮は根深い。

「俺は、愛する相手の家族を侮辱して罪の意識を覚えない男ではない」

「殿下……」

「ついでに言うが、家族を侮辱されて手のひとつも出ないような男なら、俺はお前に惚れていない」

 紛れもない本心だった。王族として生きていると、他者の本音や生の感情ををぶつけられる機会は滅多にない。ぶつかってきてくれる相手もそうそういない。親衛隊員であっても。

「これでも、お前にしてしまったことを反省しているんだ。お前がまだ俺を見捨てないというのなら、どうか受け入れてはくれないか」

 誠心誠意でもって伝えると、ニーヴェナルは瞳を潤ませた。感極まっているのかどうかわからないが、嫌がられていないようで安心する。ただ、そういう瞳で見上げられると、どうも別の欲求が顔を出してしまう。

「お前は誰の親衛隊員だ」

 ゆっくりと頬をなでてやれば、ニーヴェナルは今にも泣き出しそうに眉根を寄せた。

「ダヴィディアート王子の親衛隊員です」

「許してくれるというのなら、いつものように呼んでくれ」

「許す許さないの問題では……、そもそも殿下が悪かったわけでは……」

「くどいぞ、ニール」

 ぴしゃりと言い放てば、ニーヴェナルは薄い唇を引き結んだ。くちづけてこじ開けてやりたくなる。

「ニール、ニール、俺のニーヴェナル」

 十も年上のこの男が可愛くてたまらない。歌うように囁くと、ニーヴェナルは涙を堪えるように瞼を閉じた。くちづけを待っているような錯覚を覚え、慌てて脳裏から振り払う。

 やがて、潤みを残したままの瞳がゆるりと開かれた。見上げる視線に愛情が込められていることは間違いではないだろう。

「……ダヴィット様」

「ああ」

 他の誰でもなく、ニーヴェナルにそう呼ばれることが好きだ。他の親衛隊員に対して愛着がないわけではないが、彼らには家族や恋人がいる。愛称を許していても、子供扱いされているように感じた。だが、ニーヴェナルだけは違うのだ。

 彼はまるで宝石を舌で転がすみたいに愛称を呼ぶ。そう呼べることが至上の喜びだとでもいうように。だからこそ、ダヴィディアートの胸は高鳴った。

「もう一度」

「ダヴィット様」

「それでいい」

 ダヴィディアートはうなずいて、瞳を細めた。視線が剣呑な色を帯びる。我慢の限界だった。腰を折って距離を詰める。

「ダヴィット様?」

 疑問形でわずかに高くなる抑揚を飲み込むように、ニーヴェナルの唇に食らいついた。

 息を飲む音が聞こえた気もするけれど無視する。大きく見開かれた瞳がこぼれ落ちそうだと笑いながら、驚きにわずか開いた隙間に舌をねじ込む。

「ん、ンぅ!」

 体重をかけられたことで仰け反ったニーヴェナルが苦しそうにうめいた。全力で押しのけようと思えばできるだろうが、跪いた体勢では身動ぐことも難しい。狭さのせいで暴れることもできないのだ。地の利を生かすことを卑怯な行為だとは思わない。ダヴィディアートは主導権を握ったまま、くちづけをさらに深くした。

 ディープキスの経験は浅いが、こういうものは場数をこなすしかないだろう。相手の反応を探って、試してみるしかない。幸いにもニーヴェナルはろくな抵抗をしなかった。したいのだろうが、できないと言ったほうが近いが。

「だめ、です……っ、でん、か!」

「名を呼べ」

「ダヴィ、ット、様!」

 喘ぐというより完全に咎めている響きだが、ダヴィディアートは無視した。すがるように上着をつかんでくるのだから、なお悪い。おあつらえ向きにベッドはすぐそばだ。

 護身術の訓練時間を増やしたおかげで、体術がしっかり身についていた。自分より長身だろうと、重心をずらし、相手の体重や関節の動きを利用してやればいい。混乱している相手なら易いものだ。

 くちづけをしたままニーヴェナルをベッドの上に引き上げて、そのまま押し倒してしまう。マウントを取れたことに満足したダヴィディアートは、ゆっくりと唇を離した。こちらの息も上がっていた。

 眼下にひろがるのは、涙目で呼吸を荒げた愛しい男の美貌だ。呆然と享受する態度は、獲物のそれだった。こちらとて経験などないが、十歳年上の彼のほうがよほど初心な反応に感じてしまう。

「お前は可愛いな」

 首筋が焼けるようにチリチリと痺れる。飢えか渇きで喉がひりつく。快感か武者震いかはわからないが、たまらないことだけは確かだ。

 いつものきっちりとした詰め襟とクラバットに隠された首元がさらされている。ドレスシャツと細身のパンツだけという心許ない姿にそそられないはずがない。

 ほとんど本能的にその首筋に顔を埋め、濡れた唇を這わせた。舐めて確かめ、歯を当ててみる。かすかな味と体臭を感じると、ずしりと下腹が重くなった。

「ダヴィット様!? 駄目です! 離れて!」

「……往生際が悪い」

 とてもいい雰囲気だろうに。どうして止めるのか。

 じっとりと睨みつけてもニーヴェナルは怯まなかった。むしろぐいぐいと腕を突っ張って押しのけようとしてくる。

「逃げるな」

「逃げ――、違います! 僕はここに丸二日いたんです!」

「知ってる。俺が連れ出しにきたから、もう自由だが」

「ありがとうございます。……じゃなくて、だから、顔を洗うくらいしかできていないので、離れてください!」

「なぜ?」

 奥歯に物が挟まったような物言いだ。俺に押し倒されることを咎めているというより、まるで原因はニーヴェナルの方にあるような態度だ。頬を張って謹慎になったのだから、押しのけることができないというのは理解できるが、そういう感じでもない。

 何を言いたいのか思い至らないダヴィディアートは、純粋な疑問でもってニーヴェナルを見下ろしていた。答えを教えろと無言の要求を視線に乗せるのは、ほとんど無意識だった。

 何とかして距離を取りたいのか、必死に粗末な寝台に体を貼りつける白皙の美貌が、じわりじわりと朱に染まっていく。耳介はすでに美味そうに熟れていた。

「……シャワーも浴びていないので……あの、……だから、離れて、ください」

 このとき感じた衝動を、ダヴィディアートは言葉で表現することができなかった。心臓を握られているようだ。ただぽかんと間抜けな顔で、羞恥に消え入りそうな相手を見つめることしかできない。

「これでも、親衛隊員としての、矜持が……」

「ああ」

 なるほど。

 親衛隊員は一般兵よりよほど腕は立つが、軍人ではない。身だしなみには一定の規定を設けられていて、血と汗と泥にまみれるなんてもってのほかで、常に清潔感があって小綺麗だ。横を通り過ぎるといい匂いがする、なんて言われているし、それは嘘ではない。

 本人が洒落者かどうかは関係なく、ブランドイメージというものがある。そのイメージを損なうことを、大抵の隊員達は嫌がった。ニーヴェナルもそのくちだろう。

「俺を相手に気にする必要はないだろうに」

「殿下が相手だからこそ、嫌なんです!」

「……俺のことが嫌い、か」

「ちがっ、違います! どうしてそうなるんですか。ダヴィット様のことを嫌いになるなんて、万が一にもあり得ませんよ。そうじゃなくて……、ああ、もう! 殿下に汗臭いって思われたくないんですよ!」

 だから離れてくれ、と。恥じらいはどこへ消えたと言わんばかりの逆切れだった。

 ダヴィディアートはたまらず吹き出した。鼻で笑うような形になったが蔑んでいるわけではない。その程度は、ニーヴェナルもわかってくれるだろう。

「お前にそこまで意識されているとはな」

「はい?」

 肩を震わせる俺を見上げ、彼は不思議そうに小首を傾げた。抵抗が止まっている。そういうところが隙だらけなんだが、指摘して身構えられてもかなわないので黙っておく。

 汗臭いと思われたくないだなんて、ずいぶん可愛いことを言うものだ。いくら膝を折る主相手でも、好きでもない相手であれば、汗臭さなどそれほど気にしないはずだ。

 これは、うぬぼれてもいいだろうか。これまでいくらアピールしても受け流されていたが、まったく意に介されていないわけではなさそうだ。

「お前の汗の味を知りたい」

「はい!?」

「何度も伝えているだろう? 俺はお前が好きだ。お前を抱きたいと望んでいる」

 冗談に聞こえないよう真摯に。気の迷いでも、一時の過ちなわけでもない。本気なんだと、伝わってほしい。

 ニーヴェナルは黄色の強い瞳を見開いて、唇を震わせた。か弱さなどどこにもないのに、護ってやりたくなる。上下に動いた喉仏が美味そうで、舐めてみたくなった。だからただ、本能のまま顔を近づけた。

「その辺にしてくださいね、ダヴィディアート様」

 ノックというには大きすぎる音を響かせながら、邪魔をしたのはヴァリアンテだ。どことなく怒りの気配を漂わせているが、気のせいではないだろう。

「ニーヴェナル・サリカ、君の剱を返そう。さっさと身支度をして、親衛隊の任に戻りなさい」

「隊長……!」

「十二分に反省しただろう? 殿下の温情をよく考えるように。私をがっかりさせないでくれよ」

「わかっています。二度はありません」

「よろしい」

 ニーヴェナルは隙を逃さなかった。するりと拘束を抜け出して、立ち上がってしまう。逃げようと思えば逃げられたのか。その力量差が悔しかった。もう少し訓練時間を増やそう。

 邪魔が入らなければ、もう少し堪能できたかもしれないのに。不機嫌を隠しもせず、ダヴィディアートは粗末な寝台に腰をかけた。ふんぞり返りながらヴァリアンテを睨みつけると、不老の親衛隊長は唇を吊り上げて嫌な笑みを浮かべていた。

「おのれ、ヴァリアンテ。話が違うぞ」

「うちの詰め所は連れ込み宿じゃございませんよ。私は処遇を伝えろとは言いましたが、乳繰り合えとは申しておりません。やるならご自身のお部屋へお戻りください」

「ふむ、それもそうか」

 自室であれば、ひと目もなければ邪魔も入らない。ダヴィディアートは上機嫌になった。だが、親衛隊長は甘くはない。

「殿下、あまりお痛がすぎると女王陛下に告げ口いたしますからね」

 ダヴィディアートの肩が跳ねた。父母より親衛隊長より他の誰より怖いものは、祖母だ。

「善処は、する」

 絞り出すように答えると、ヴァリアンテが声を上げて笑った。本当にこの男は気に食わない。今に見ていろ。吐き捨てるように溜め息をつけば、扉の前で待機しているニーヴェナルが心配そうな視線を向けてきた。それに比べてお前は本当に可愛いやつだ。

「あの、ダヴィット様……」

「わかっている。これ以上は何もせんから安心しろ」

「は、はい」

「だが、話をしよう。お前のことが知りたい。教えてくれ」

 家族のことだとか、好きな食べ物だとか、どんな些細なことでもお前のことならなんだって。

 ダヴィディアートが愛しい相手を見上げると、その親衛隊員は花が咲き誇るような満面の笑みでうなずいた。


 わがままな王子が引き起こした事件は、こうやって幕を下ろした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る