水玉模様のアイス

もち雪

第1話


 8月の昼下がりの公園は、いつもあまりの暑さで人がいない。

 でも、今にも雨が降り出しそうな天気の今日は、小学2年生あずさとののが遊びに来ていた。


 マシュルームのような髪型で、ふわぁーっとしているワーンピースを着ている女の子があずさ。

 ののは、長い髪を後ろでちょこんとまとめている、ボーイッシュな恰好な女の子。


 ふたりは、今日はノートの張ったシールをお互いに見せあいっこ。

「キラキラカードのリリンは絶対でない!」

「あ~あぁ~もうリリンとカスミのシール集めるのやめようかな~」

 そう言ったはのの。


「でも、おねえさんの友達の友達は、出たって言ってたよ」

 あずさがそう言うと、ののはまたぁーという顔をして頭の後ろで腕組みをした。


「だってあきたんだもん、もういいよ――シールは」

 あずさは、ののがそういい出すと、しばらく意見を変えない事を知っていたので、黙ってシールのノートを膝の上で閉じ鞄にしまった。


 その時、公園の入り口から、誰かの声が聞こえました。

「アイス、アイスはいらんかぁねぇ~♪ 美味しいアイス、夢にアイス、そんな水玉模様のアイスいらんかぁ~ねぇ~♪」


 二人が見に行くとそこに居たのは、小さなお店の引いた水色、水玉模様のくまでした。


「お客さんですか? 」

 水玉模様のくまの声は案外かわいい子供の声。


 「「キャー可愛い」」安心して声を揃え、くまに近づきました。


「待って!」 「待って!」「いいね……蹴るのはなし! 叩くのもなし! いいね?」

 くまは、少し後ろずさってあわてて言いました。


「「わかったー!」」


「本当にわかった?」「痛い事したら先生に言いつけるからね! いいね」


「うん、うんわかった」「約束する」


「じゃー信用するけどさ……」


「じゃ……行くよ――ぼくは水玉模様のアイス売り、今日はこの街に来たよ! 君たちから大事な宝物を貰ったら、だいたい8年後に君へあめのアイスをお届けするよ!詳しくは大人に聞いてね!」水玉模様のくまは、息継ぎなしで話ました。


「はやーい」「早くてわかんなーい」「もう1回! もう1回!」

 あずさとののは、水玉模様のくまの周りを跳びはねながら手を打ち鳴らしました。


「だめ、だめ君たち子供は、ちゃんと言ったらちゃんと言ったで……」

「飽きた……とか言ってもうどこか行こうとか、言ってどこかへ行っちゃうんだから――!」


「くまさん泣いてるの? くまさん泣かないでよしよし」あずさがそう言うと、ののも一緒に「よしよしいい子だね」と言いふたりでくまの背中をトントンしました。


「あずさ? 何やってるの?」

 そこへ現れたのは、あずさのお父さんでした。

 あずさのお父さんはくまを見て目をまるくしました。


「いやー水玉模様のくまは、本当に居たんだ」


 「僕の前には一度しかあられなかったから夢か、怪談話をみんな話しているのかと思ったよ!」


「君は、僕の事2回、痛く叩いて、1回蹴って説明途中で、消えたからね……」

 水玉模様くまは、小さな声でいいました。


 でも、二人には聞こえたようで、非難の荒らしが巻き起こります。

「えぇ――お父さん最低――!くまさんにあやまって!」あずさがそう言うと、ののも「うんうん」と言いました。


ふたりに言われあずさのお父さんは頭をかきながら「ごめんねくまくん」そう言と、ふたりはくまにだけ聞こえる声で「いいよ、だよくまさん」


 そう言うのでくまはしぶしぶ……。

「いいよ」と言いました。


「君の今日の言葉も大切な思い出になるだらう、お代としてあげるよ」


 「はいどうぞ」

 くまさんは引いていた、お店の冷凍ケースからとっても素敵な、素敵な水色のくまさんと同じ水玉模様のアイスを、あずさのお父さんにさしだしました。



「えっいいの?」


「特別ね」

 くまさんにっこり笑ってる。


「でも、一人で食べてね」

 

「君たちの分はまた今度」

 そう言うとくまさんは、どこかへ行ってしまいました。


「お父さん!」「おじさん!」


「溶けちゃう!溶けちゃう!」


お父さんさんがアイスを食べると、雨が降り出して雨の粒がキラキラ光って、子供の頃の懐かしい仲間、おもちゃ、いろいろな懐かしい思い出が水玉模様の一つに一つ映り込んで消えました。


 話しているクマくんを、置いてどこかにいってしまうお父さんの子供の頃の姿ももちろんちゃんとありました。


 あずさちゃんとののちゃんは、それを見てクスクスと笑ったのでした。


   おわり


 



 

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