2022/3/28 20:12:59
no nameさんへ
コメントをいただいてから、時間が経ってしまいました。もうここは見てないかもしれませんが、お返事を書かせてください。
ブログの更新をやめたのは、たしかに半分は、あなたのコメントが原因でした。あのときのわたしは、「アンチ」だと受け取ってしまいました。SNSで友だちのつぶやきを、自分への攻撃と受け取っていたように。でも、もう半分は、正直、ブログどころではなくなってしまったからです。出張から帰ってきた夫に過食嘔吐がばれ、そのあと本当に大変でした。いや、いちばん大変だったのは夫だと思います。死ぬかと思うほど喧嘩しましたが、いまも夫婦でいてくれています。彼はそれだけ鈍感なのかもしれないけど、その鈍感さに傷つく日もあれば、救われる日もある。
日々が少し落ち着いたあと、わたしは「四時ばばあ」をググりました。トイレに現れるという説も無くはなかったけど、多いのは、コメントに書いてくださったとおり、校庭に現れる妖怪でした。もっと早く検索すればよかった。でも、あのときのわたしは、毎朝四時にひとりぼっちで吐きながら、黙って見守ってくれるまぼろしの四時ばばあの存在に、救われていたこともたしかでした。そして、同時にあのまま行けば、わたしはわたしが生み出した偽物の四時ばばあに呪われて、どうしようもないところまで行っていたことでしょう。あの日が分水嶺だったのです。だから感謝しています。そして、いちばん嬉しかったのは、何年も経ってもわたしのことをおぼえていて、こうやって書き込みしてくださったことです。
いまでも吐くことがあります。でも、あのころよりは減りました。いまでも、夜明けに目が覚めてお手洗いに行くとき、ドアの前で一度立ち止まって、中から声が聞こえないか、耳を澄ましてみることがあります。でも、そっと扉を開けると、狭くてあかるいトイレの中、四時ばばあは、本当に、もういません。
ブックマーク 1件
〈了〉
四時ばばあのいないトイレ 伴美砂都 @misatovan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます