呪われたビキニアーマー

kuu

第1話 呪い

 洞窟内に黒髪女性の足音が響く。

 

(もうすぐよね。きっと)


 洞窟内を黒髪女性は歩き続けた。


(あれよ!)


 宝箱が瞳に映った瞬間、黒髪女性の口元が緩み気持ちが弾んだ。

 黒髪女性は宝箱の前でしゃがみ手を伸ばし宝箱に触れた。

 

(良かった。鍵、壊れているみたい)


 黒髪女性は宝箱を開けた。

 光りが目に入り黒髪女性の口からかわいい悲鳴がもれた。


「きゃっ」


 黒髪女性の服装が銀色のビキニアーマーに変わってゆく。


(え? 何が起こったの?)


 違和感を覚え黒髪女性は頭を下に向けた。


「何なの、これーーー」


 黒髪女性の叫び声が洞窟内に響いた。


          ***


 宿室。

 

 目を覚まし上半身を起こした黒髪女性。

 黒髪女性は視線を下に向けた。


(良かった。寝間着を着てる)


「主よ」


 丸いテーブルの方から声が聞こえ視線を向けた。

 黒髪女性の瞳に丸いテーブルの上にある銀色のビキニアーマーが映った。

 

(はあ、夢じゃなかった)


 黒髪女性は心の中でため息を吐いた。

 

「主よ。起きたのなら俺を着ろ」

「嫌よ。恥ずかしい。それに私の事は主ではなくエルシアと呼んで」


 銀色のビキニアーマーの命令をエルシアは否定した。

 

「分かった。エルシアと呼ぶ」


 銀色のビキニアーマー笑みを浮かべた。


「それはそうと残念だったな。俺は呪われている。俺から離れすぎるとエルシアは死ぬ。着ないという選択肢はない」


 エルシアは銀色のビキニアーマーを睨みつけた。


(くっ。あいつ本当の事、言っているからたちが悪い。着ない方法あるけどそれは無理、あいつ無理やり着せるから。

自発的にか、無理やりなら。自発的の方がまだまし。銀色に輝いていて呪いって何なのー)


「睨みつけるな、エルシア。俺を着る気になったか?」


(こいつーー)


 エルシアは心の中で怒りながら答えた。


「良いわ。着てあげる」


(見てなさい。呪いを解いて貴方を廃棄処分してあげる)


 銀色のビキニアーマーの輝きが点滅する。


「そうか。俺の願いもようやく叶う。俺の名はガートン。よろしくエルシア」


 エルシアは驚き心の中で呟いた。


(えっ。こいつに名前あったの)


 エルシアはガートンに向けて言った。


「ガートン。私の事、守りなさいよ」

「当然だ」


 エルシアは銀色のビキニアーマーを身に着け旅支度をした。



 

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