俺が あの日出会ったのは、偶然もしくは必然

鬼塚 夢

第1話 金曜日の接待の帰り

 あかねは 「花火きれいね」と言った。俺は 花火を見てる あかねが 綺麗だった。


 浴衣姿のあかねが 脳裏に焼きついた。きっと この光景は 2度と忘れない 俺を幾度も 幾度も 呼び戻す記憶に なるだろう。


 あかねと 出会ったのは 去年の暑い 暑い 夏の日だった。

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 東関東自動車道のパーキングで缶コーヒーを買おうと自販機の前にたってた時の事だった。


 いい香りが鼻をくすぐった。横を見ると 白いワンピースに白い翼の広い帽子をかぶった 彼女が 立っていた。


 彼女も自販機で缶ジュースを 買っていた。ジュース二缶 三つ目の缶が 転がり 俺は その缶を拾って彼女の腕の中の缶ジュースの上に 乗せた。

 

 彼女は「あ!すいません」と頭を下げ 駐車場に 止めてあった 白いワゴン車の助手席に 乗った。 


 それが 最初の出会いだった。それから そろそろ 上着が必要な季節が やって来た頃だった。再び彼女に こんな所で 会うとは 思いもよらなかった。


 雨がパラパラ降る 六本木 週末の金曜日 俺は銀行の接待が 終わり「やっと 今週が 終わったなー」と店を出 路地を歩いていた。


 後から 誰かが走ってくる音がした。振り向くと 花柄のワンピースを着た。セミロングの髪の女性が 傘もささずに小走りで走ってくる。


 少し大きめのバックを抱えながら 近づくに連れ顔がハッキリし あ!あの時の白いワンピースの! と 思った。


 いきなり 腕を掴まれ 「スーツの上着を脱いで」と言われ 俺が「えっ?えっ?」戸惑ってる間に 半端剥ぎ取られる様に 脱がされ 彼女は それを羽織り 髪をクルクルと ゴムでくくり束ね上げた。


 そして 俺と腕を組み いわいる相合い傘だ!彼女は バックをスーツの脇に隠す様に抱えた。


「暫くこうして 歩いて」と彼女が 言うと 後ろから 又走ってくる音がした。


 今度は 数人の足音がした。

「いたか?どっちに行った?」男の声だ! すると彼女が 


 「楽しかったわね。次 どこ行く?」と俺と組んでる腕に力が入り俺を引き寄せてきた。


 俺は「えっ?」思わず声だけが出た すると小声で彼女は 


 「何か 言って早く」俺は 


「あ!あー。そっそうだなー 取り敢えず、ビールだな」と辻褄の合ってない言葉を 返した。


 男達は 俺達を走り抜けて行った。俺は 必死に『どうか振り向きませんように どうか神様〜』と心の中で拝んだ。


連れ込まれる様に俺の体が右に引っ張られ 右の路地に 入った。


 彼女は「取り敢えず、ビールって オヤジじゃーないんだから 他に 気の利いた返しあるとおもうんだけど、あ、こっちね!」


といいながら 歩き大きな通りに出だ 俺は反論する暇もなく直ぐ横に あった 高そうなホテルに 俺の意志なく 引っ張りこまれた。

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