第11話 告白
「湊龍!」
亮介が飛び込んできた
「あ、悪い取り込み中?」
「いや。かまぁねぇよ」
「そか。俺さぁ紫音に言おうと思ってんだけどさ」
「!」
一瞬焚迦釈の顔が引きつったのを圭希は見逃さなかった
「言うって?」
あえてたずねてみる
「俺あいつ狙いなんだよ。だからさ、湊龍協力してくれ」
亮介は手を合わせていった
「・・・協力って?」
「30分後に公園に呼び出してくれ」
圭希と亮介は焚迦釈の答えをじっと待っていた
「・・・わかった」
「そ・・・?」
「30分後だろ?」
「あぁ。マジたのむな」
亮介は嬉しそうにそう言って飛び出していった
「湊龍お前・・・」
「その方がいいですよ。俺なんかより亮介のがあいつを大事に出来る」
焚迦釈はそう言って部屋を出ると電話で紫音を宿の外に呼び出した
「焚迦釈君」
「・・・」
「どうしたの?突然・・・」
紫音は困惑気味な表情を見せた
「・・・9時に公園行ってやって」
「え・・・?」
紫音の目がかすかに揺らぐ
「亮介が話しあるって」
「・・・」
沈黙する紫音に焚迦釈は自分のこぶしを握り締めていた
『焚迦釈君・・・』
今にも震えだしそうなこぶしに気付いた紫音は頷くしかなかった
「・・・わかった」
かすれる声で紫音は言った
「・・・でも焚迦釈君の口からだけは聞きたくなかったなぁ・・・」
そう言って寂しそうに笑うと紫音は足を引きずりながら走り去った
「ちっ・・・」
焚迦釈はやり切れない思いに壁を殴りつけていた
「紫音ちゃん?」
公園に向かう道で美咲と明憲に声をかけられる
「美咲・・・ちょっと散歩してくるね」
「あ、うん・・・」
「・・・何かあった?」
明憲が顔を覗き込んでくる
「何でもないよ。それよりごめんね二人の邪魔しちゃったみたいで」
「それは全然問題じゃないんだけど・・・」
美咲が顔を真っ赤にして言う
「ふふ・・・じゃぁお邪魔虫は消えるわ」
紫音は笑って言うと再び歩き出した
公園に着くと亮介はすでに来ていた
「悪いな」
「ううん・・・」
紫音は首を横に振る
「俺・・・さぁ、紫音が好きなんだ」
「・・・」
「紫音さえよかったら付き合わないか?」
亮介の声は自信に満ち溢れていた
「・・・ごめん亮介君・・・」
「・・・誰かいるのか?」
その言葉に頷く
「そうなんだよなぁ。お前には悪いけど紫音には俺がいる」
「・・・!」
背後からかけられた声に紫音の体が凍りつく
「今日はあいつはいないみたいだな」
ニヤリと笑って近づいてくる
「何だよお前?」
「・・・『何』ねぇ・・・一言で言えば『飼い主』か?」
あざ笑うように言う男に紫音は震えだした
「てめぇふざけんな!紫音はペットじゃねぇ」
「それはどうかな?」
「何?」
「特別に見せてやるよ。紫音こっちにくるんだ」
「・・・」
男の目を見れば何をたくらんでいるかはすぐに分かった
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