第2話 自己紹介

駅で7人はバスから降りて誰からともなく立ち止まる

「どうします?」

一番年上だろう女性が口を開いた


「せっかくなんでみんなで行きますか」

デイバックで来た男性が言った


「じゃぁ・・・大勢入れそうなそこの店でいいんじゃないですか?」

茶髪のちょっとぽっちゃりした女の子が言うとみんな動き出した


「いらっしゃいませ~何名様ですか?」

店員の質問に最初の女性が答え、みんな席に着く

運ばれてきたお茶を飲むものの何となく落ち着かない


その時デイバックの男性が口を開いた

「・・・せっかくなんで自己紹介でもしませんか?」

「アハハ・・・そうですね。このままじゃ会話にもならないし」

その言葉に少し場が和む


「じゃぁ俺から・・・京都の城陽から来た高宮 圭希たかみや けいき。前の仕事辞めたんで次の仕事捜す前に免許取りに来ました。よろしく~」

デイバックできた男性、圭希はそう言ってにこやかな笑顔を見せてくれた


「じゃぁ次私。淀屋橋からきた柿沼 愛里かきぬま あいりです。多分この中じゃ一番年上だと思うんだけど敬語とかはやめてね?合宿の間よろしくお願いします」

東条 亮介とうじょう りょうすけ21歳。難波から来てます。よろしく」

同じ電車で来ていたにこやかな大柄な男性はそう言った


剣淵 明憲けんぶち あきのり19歳。右京区から来てます」

そういったのは金髪のまだあどけなさの残る少年だった


狩谷 美咲かりや みさき同じく19歳。美咲って読んでください!堺市からきてま~す」

茶髪のぽっちゃりした女の子はそう言ってにこぉっと笑った


梓 紫音あずさ しおん20歳。高宮さんと同じで城陽からです。よろしくお願いします」

「あ~やっぱそうやんなぁ?ずっとおんなじ電車乗ってたからひょっとして・・・って思っててんけど・・・」

「私もです。でも荷物めっちゃ小さいですよね?」

「あったりまえやろ~。何でも買えるしわざわざ持って来んの面倒やしな」

圭希はそう言って大笑いしていた


一通りそのにぎやかさが収まったとき最後の男性が口を開いた

湊龍 焚迦釈そうりゅう たかと21.西宮から」

彼はそれだけ言ってタバコをすいだした


みんなが顔を見合わせた

【とっつきにくそうな子】

そう言いたげな目だった


でも紫音は一人違うことを思っていた

『不器用な人』

それが紫音の彼に対する第1印象だった

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