M-1グランプリ〜2回目の挑戦〜
…そして夏休み。もうすぐ2回目のM-1グランプリ挑戦が始まる。もう1回戦と2回戦のネタは完璧に覚えて何回も栢山とネタ合わせをした。これ初めて3回戦いけるんじゃね!?って感じた。一番はベストアマチュア賞になることなんだけどね!…あ、ベストアマチュア賞っていうのはその年のM-1グランプリで一番成績が良かったアマチュアに贈られる賞。それで大体は準々決勝いくともらえるんだよね。
M-1グランプリが開幕した。僕と栢山は1回戦の会場に来ていた。
「うわーめっちゃ楽しみだわ!」
栢山がワクワクしてそうな感じで言っていた。なんでいっつも緊張しないんだ?自分はめっちゃ緊張してるのに…でも今回のネタは1個ウケればその後は全部ウケてくれるような繰り返しの漫才にした。でも!正直1発目そこまでウケなくても2発目でも勢いに乗せられるネタだからこのネタは自分の中でかなりの自信を持っていた。
出番を待っている間僕はめっちゃウケている想像をしていた。ウケるとしたらここでこれくらいウケるかな…とかを考えていた。イメージトレーニングは大切だからね!僕達はAグループの最後らへん。結構序盤だけどめっちゃウケて受かってやるー!
ついに僕達の番になった。二人で一緒出る。
「「どうもー!」」
僕達の盤石の「走り方」のネタで勝負。
「その走り方変けんけ…」
…1発目は無風。でもまだ大丈夫。次は少しヒートアップして声を張るからその勢いで客をウケさせる事が出来るはずだ。
「走り方変やろー!」
(なんでだ…全くウケない…)
僕は心のなかで焦りを感じていた。このネタは自分の最高傑作だぞ…?なんでこんなにウケないんだ…?客いるよな…色々な考えがかけ巡り頭が真っ白になりながらもなんとかネタを終えた。
「「ありがとうございましたー」」
僕はかなりの絶望を味わった。最悪だ…1個ウケればその後は全部ウケるはずなんだけど最初のツッコミをしたときに感じた。このネタはもうウケる雰囲気ではないってことに。1個ウケなかったらそれをズルズル引きずってずっとウケないネタであった。…それで今回はウケない方にいってしまった。客とネタが合っていなかった。声を張り上げてもほとんどウケは変わらずほとんどゼロウケでネタが終わってしまったより。
今回は現地での解散となった。というか僕が栢山に帰らせてほしいと頼んだ。そしたら栢山は色々察したのかすぐに許可をしてくれた。
家に帰ってもなにもする気が起きなかった。傍からみればただ1回戦で滑っただけ。と思うかもしれない。でもこれは自分にとって努力を真っ向から否定されているような感じがした。…いや実際にされたんだ。それがウケ量が示している。まだ結果はわからないけれど多分落ちている。
M-1グランプリ公式Xの結果のポストが来た。一応見てみたけどやっぱりなかった。僕達は1回戦で落ちたんだ。
栢山から電話が来たけど取る気にならなかった。だから申し訳ないけど無視をした。何回もかかってきたけどずっと無視していたらかかってこなくなった。もう寝る…僕は眠りについた。
…次の日の朝自分はネタ作りに奔走していた。もう1回戦落ちの絶望はほとんど無い。逆にネタ作りの時間が増えたとポジティブに捉える。
…それで来年は今回のネタを少し変えるだけで大まかな部分は変えないで挑戦してみようと考えている。どうしてもこのネタで1回戦のリベンジをしたかったんだ。
この日、栢山とネタ合わせをした。家来た瞬間開口一番に言ってきたのが
「新ネタできた!?」
だった。色々おかしいと思うけど色々探られないのはただ単純に嬉しかった。…まあそれで僕が同じネタでリベンジしたいと言うと
「まあそうだよなー。あのネタもっとウケると思ってたし!良いと思う!」
と言ってくれた。…良かった。あのネタに関しても共通認識ができてた。
…待ってろよM-1グランプリ!来年こそ初の3回戦いってやるぞおおおおおおお!
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