シャッターは止めない 前世が大悪人の現在無職の俺が天使の力でスキャンダルを撮りまくる
@nluicdnt
第1話 悪いことするとその来世がヤバくなる
無敵の人、その名称は今では誰でも知っているものとなった。
金無し、恋人無し、仕事無し、まあ主にそんな奴がなるとされている人だ。まあ強いて言えば俺のように、もう肉親がいない男っていうのもその対象の予備軍になっている。
俺も同じだ。だからなのか、最近はおきながら夢を見るんだ。それも悪夢だ。
道行けば、誰もが俺を嘲笑している気がする。
男の前を通れば役立たずのゴミ、子どもおじさん
女の前を通れば卑らしい目で見てくる汚いオッサン、チー牛
そんな声が聞こえてくる気がする。
そう、気がするだけなんだ。本当は気づいている。世の中の全ては俺に興味が無い。だから俺は、そういう嘲笑をするに値すらしないのだとわかっている。
「いらっしゃいませー……」
懐かしいな、こういうコンビニも。
最後の食いぶちとしてコンビニにアルバイトしていた時もあった。だけど、続けることができなかった。
何回やってもカード決済とか、タバコの位置や銘柄とかが分からなかったし、棚卸しも時々間違えて入れてしまった。ポイントカードだかのキャンペーンやクーポンなんて来たらもうパニック。贈り物用の梱包だってまともに出来ない。
だから解雇された。しょうがないと思って就いた職業さえ、俺にはできない仕事だった。
だから今は何も仕事をしていない。
ただ虚無な日々を過ごすだけだ。
今の俺が唯一、誇れるのはギャンブルや風俗に通わないことだ。元から興味が無いのもあるが、俺は倹約家めいたところがある。
エアコンとかストーブとかを、金がかかるからという理由で買わないし、つけない。
そして何日間かご飯を食べないで過ごすことだってできる。そういう気質の男が風俗やギャンブルなんてすることはない。
ギャンブルは金を失って寿命が縮むし、風俗なんて、間違いを起こしたら責任取らなきゃならない。そして恋人的なものに期待は無い。だからガールズバーにさえいかない。
今はただ、日中で誰もいない公園のベンチに座るだけだ。俺の人生は何も面白く無い。
「……生きている意味……あるか? 俺」
あ〜ダメだな。どうしてもネガティブな感情がたまってきまう。いいだろ、生きている意味なんて無くて。この世の大体が生きてる意味ないだろ。
生きている意味があるのは、特別なひとつまみの人間だけ。そのほかは何も意味がない。
わかっているはずだけど、やはり辛い。
「なんか良いことないかな」
そんなくだらない思考が頭の中に浮かんでくる。
「せめて死ぬなら、世の中に何か残して死にたい」
そう思うのさえ傲慢なのだろうか。
某ビルの上に、黒髪ロングの人物がいる。
見た目は男が女か分からない中世的な顔をしている。胸は女性的なラインを描いているかどうかの形である。
その人物は舌に小さく数字が刻まれてある。
『72』
その人物は、白いワンピースを着ている。
「こんなにいるのね……」
そう言い残し、その人物は消えた。
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