餌探し

 テールに席を外してもらい、父にスキルが覚醒をした際に女神様の声を聞いた事を報告すると父は国王陛下への報告が必要なのではと僕に告げる。


「ニック、操作魔法さえ打ち消す事のできるお前のスキルが諸国に知れ渡ればそれを利用しようと考える者も現れるかもしれん、その前に手を打つ必要がある」

「それで国王陛下への報告ですね」

「うむ、王城にはテールや従士のオリビアとコールも護衛として同行してもらうが、陛下とのスキルの話し合いは陛下、私、そしてお前とのみで行う」

「はい、承知しました」


 僕が父の方針に承知すると父は僕に言い放つ。


「それではもうお前も下がってよいぞ、しかしそのアルミラージだが……」

「餌をミアやキャシーからもらえないか聞いてみます、基本的に私にしか懐かないようなので、当面は私が世話をします」

「うむ、だが徐々に他の者の世話も受けられるようしつけを頼むぞ」

「はい」


 僕さえとくに何か言わなければ他者への危害はなさそうだけど、元々野生の魔物だし、他の人への関りは慎重にしないとね。


 そう思い、僕は父の執務室をあとにし、ミアやキャシーを探す事にしたけどその際にテールに話しかけられる。


「お疲れ様です、ニック様、ガリアス様とのお話はもうよろしいのですね」

「ああ、初陣の報告を国王陛下にする事になったから、テールやオリビア達にも護衛として同行して欲しいってさ」

「そうですか、承知しました」

「あ、これからホップンの餌が必要だからミアやキャシーを探してくるよ」


 僕はテールに王城までの同行して欲しい事と、ホップンの餌の為にミアやキャシーを探す事を告げるとテールから返答がある。


「それでは私も一緒に探します、参りましょう」

「ありがとう、でもテールは自分の家に帰らなくていいの?兵士もテールも疲れたでしょう」

「お気遣いありがとうございます、兵にはすでに領地に帰還命令を出しましたし、私はニック様の教育係ですから、まだ帰るわけには参りません」

「そう、でも無理しすぎないでね、戦闘後だし」

「ええ、ですがさすがに今日はお勉強や稽古はお休みします、さあ、それよりミア達から餌をもらいましょう」

「うん」


 とりあえず僕達は2人で一緒にミア達を探し始めるが、ミアが洗濯物を運んでいる姿が見えたので声をかけた。


「あ、おーーーい、ミア!」

「あ、ニック様、お帰りなさいませ、お疲れ様です!ん?二、ニック様そこにいるのは魔物では⁉」


 やっぱり驚くよな、さてとまずはホップンについての説明だな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る