従士

 テール・オリビンという我が家に代々仕えている騎士の家系の娘さんが成人を迎えた僕の教育係として今後テールから領内の政務や軍務、更には剣術や魔法も学ぶ事となったのだ。


「更にニックよ、成人を迎えたからにはお前にも従士をつける事とする」

「従士と言いますと、騎士や貴族の護衛を担当する者達にございますか?」

「そうだ、それに単なる護衛というわけではなくお前の成長に伴い良き臣下となるように共に学び、互いの信頼感を高めていく事も目的ではあるからな」

「ニック様、私の父もかつてはガリアス様の従士でそこから信を得てオリビン家の当主となった後もガリアス様が頼りにされているのです」


 幼い頃、この場合少し違うが一緒に何かを学んで経験していく事で主従の関係も強くなっていくんだな、どういう人達が来るんだろうか?


「入れ、2人共」


 え?2人、いきなり僕に2人の従士ができるの?そう思ってみた先には男の子と女の子がいた。


「紹介しよう、彼らは私の臣下であるガニアン卿の子であり双子の姉弟だ姉のオリビア、弟のコールだ」

「お初お目にかかります、ニック様、私はオリビア・ガニアンと申します、魔法を学んでおります」

「初めまして、コール・ガニアンです、剣が得意んで頼りにしてください」

「ニック・テリナンだ2人共これからよろしく頼むよ」


 お姉さんのオリビアのほうは、礼儀正しく落ち着いている感じで、弟のコールは元気が良さそうな感じだな、姉弟2人と仲良くなって、主従の信頼関係を築かないとな。


「オリビアとコールはお前より1歳上だが、様々な事情により今年に成人の儀を行ったのだ、それによりお前の従士とする事になったのだ」

「そうだったんですか」

「さて、これからの事だが明日より、剣技、魔法、軍務、政務をテールより師事を受けながら私が担っていた領内政務も少しづつ分担してもらうから覚悟しておけ」

「早速、お仕事ですか?」

「当然だ、もっとも分からぬことはテールに聞けば良いし、必要とあらばオリビアやコールとも協力するのだ」

「は、はい……」


 成人した瞬間に勉強と仕事の量が増えたな、これは大変だ。


「早速ですがニック様、まずは書類等の読み方をお勉強していただきます」

「はい、あ、分かった!」


 教育係だけど、部下っていうのがなんか慣れないなあ、まあ頑張って馴染むしかないか。


「大変ですね、ニック様は」

「何を言っているのコール、あなたとオリビアもニック様とご一緒にお勉強するのよ」

「え?俺達もっすか!」

「私はガニアン卿にあなた達の事もお願いされているからね、あなた達のいずれかがいずれはガニアン家を継ぐことになるからね」

「父上めえーーー」

「まあ、従士である以上苦難も共に乗り越えよということなのでしょう、私達も受けますよコール」

「姉上まで……」


 苦難も共に乗り越えよか、彼らと僕にこの土地に住む人の生活がかかっているんだよな。

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