第22話 F9:罠 trappola
「イベント?」
冒険者ギルドのお姉さんから、予想外の言葉が返って来る。
「ええ、詳細は未だ不明ですが、何かがあることは間違いありません。そのため冒険者の方々には、
「ふむ、どうする?」
「イベント自体は面白そうだ。俺は参加したい」
「急ぐ旅でもないしね」
「しばらく
ボクたちは、旅立ちの村付近で腕を磨くことにする。
三日もすれば付近のモンスターにも慣れてきて、危ないことはなかった。
キラー・モンスターも、昆虫系と聞いたが見掛けない。
そして……
建国2年
旅立ちの村に居る冒険者たちに集合がかかる。
「冒険者たちは協力して欲しい」
何だか白っぽいキラキラした服を来た。神官みたいなおじさんが、冒険者たちの前で話し始める。
「先程、神託が下った。南部一帯で
おじさんは熱弁になって来る。
「もちろん、防衛成功になれば三万リラの報酬を支払う。この間の食事や使用するアイテムなどの代金は全て支給する。
運営主導のイベントが始まる。
町全滅で参加冒険者全員退場とか目も当てられない。
「いよいよだね」
「そうだな。
ゲッツはやる気十分だ。
「参加しなくても、この村に居たら巻き込まれる。ならば、みんな参加するだろう」
集合場所は、村の南側にある広場
何だかみんな参加みたいだな。まぁそうだよね!
ボクたち三人は別々のグループに割当てられた。
職能別に部隊編成するらしい。
ゲッツは槍なので前衛に組み込まれた。最前線は大変そう!
サヤは弓職や魔法職と一緒に後衛、弓は特に飛行する敵に強いので便利に使われるらしい。
ボクはシーフということで
「三人とも別々だな」
「そうだな。お互い頑張ろう!」
サヤもゲッツも笑いながら、担当の集合場所に向かう。
「さて、ボクは……」
罠は初心者指導所で作成するらしい。
罠の造り方とか知らないんだけど……そう考えながら指導所に向かう。
そうしたら、リネカー教官に捕まった。
「大丈夫よ。慣れれば直ぐに造れるようになるから」
何でそんなに嬉しそうなんです?
罠を造れるのが、教官含めて三人らしい。
とりあえず罠の部品を、手本を見ながら同じものを造って行く。
火魔法と地魔法を応用しながらだけど、部品は割合単純なものなのでそれほど難しくはない。
材料があればそれなりに造れる。筋がいいと誉められた。
みんなが防衛戦の準備で忙しい中、部屋の中で延々と罠を造る。
材料はたくさんあるからいいけどねぇ……
ほぼ徹夜になった。
第三昼刻頃から、作成した罠の設置を行う。
やり方はなかなか面白い。
「教官! 罠って、何でこんなやり方で設置するんですか?」
「あのね。剣とか魔法とか適当に攻撃してても、味方に当たらないでしょ!」
「そういえば、あまり意識せずに、気楽に攻撃してましたね」
ゲームだからそういうものだと思っていたけど……
「味方側の攻撃って、ゲーム上のバフみたいなのが掛かっていて、味方には当たらないようになってるの!」
えっ! 今まで気づかんかった。先入観って怖い!
「範囲攻撃とかしたら、ほぼ間違いなく味方巻き込むでしょ」
「確かにそうですね」
「実戦だったら、味方の死者は続出よ。だから敵味方識別を厳密にやるわけ! それでも味方撃ちって結構出るみたい」
「ゲームに感謝ですね」
「罠はそういうバフが掛かってないので、味方にも当たってしまうの。だから、敵の攻撃が始まる前は味方が通る道筋を作ってあげないと、戦う前から味方に被害続出ってなる」
「知りませんでした」
「そうでないゲームもあると思うけど、ここのゲームは変な風に凝ってるから気を付けないといけないわ」
通路は、目標として白いマークが違う位置に二つ示されていて、それが重なるように進めば罠に嵌らない。通路の方向が変わる時は、別の二つの白マークが重なったらそっちの方向へ移動すれば良い。単純な方法だけどなかなか分かりやすい。
「でも敵にやり方が漏れるときもあるんじゃないですか?」
「簡単よ! 戦闘開始直前にマークを消せばいいのよ」
あぅ……頭いい。
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