第11話 7月7日
【雅視点】
「その様子だと知らないみたいだな…あの事件のことを…」
僕はそう言ってみる。もし知っていたら徹底的に潰すつもりだが…
「あの事件ってなんですか?そもそも、僕の知る限りではさっきの田中幸三のニュースしか記憶に無いんですけど…」
知らなそうだな。よし…話すか…
「貴方は7月7日の事件を知っているか?というか、7日の記憶はあるか?そもそも。」
「7日は…飛鳥とイ○ンとか、スポ○チャとか…あれ?何してたっけ僕?おばあちゃんとご飯を食べに行ったのが6日で…ごめんなさい。そこの記憶がすっぽり抜けています…」
やはりな…僕が見た限りではあの二重人格は発動していなかったし、そもそもこんなに人のことを考えられる優しい子が人を殺すなんて考えられない。
「7月7日。僕らの世界に君たちが侵攻してきた。そう。ちょうど30人。君たち30人に僕達の首都【東京】を荒らされ、数として3000人が君たちによって殺された。だけど、君たちの話を聞いている限りでは、記憶が無いようだね。ここからは僕の憶測だが、君たちはここのGMに散々操られた挙げ句に人まで殺した。そして、7日の分の記憶を全て消されて、今に至っていると思う。だこら鬼だって復讐のために襲っているんだ。君があの田中って奴を殺して復讐したように。」
「そん…な…じゃあ僕達は無自覚の罪を犯していたって…こと?あと、田中なんて、殺した記憶ない…」
「…あぁ。そういうことだ。」
今二重人格と言ってしまうと彼が座り込む。
「僕は…無自覚でも、人を殺してたってこと…だよね…この中の鬼の誰かの親とか、恩人とか…そんな失っちゃいけない人を殺したの?自分が一番わかっているっていうのに…」
「…っ」
僕はなんて返せば良いのかが分からなかった。彼がやったのは当然許されないことだ。だが、この人はこのまま放っておくと…自害しかねない。こんなときも僕は何もできないのか…
「あは、あはは。そんな事していたんだ。もう、僕無理かも知れない。苦しくなってきた。自分が生きるのが。あはは…」
彼に話すべきではなかったのかもしれない。彼は鬱気味になっている…なにか…なにか声を…
「君のことは許されないかもしれない。だけど、死んでいった人たちのために、君も死んでも生き残るべきなんじゃないのか!?」
僕は伝えられることを伝えた。気が変わってくれればいいが…
「まあ、たしかにね。頑張ってみるよ。」
「こっちとしても裏切り者がいなくなられると困るんだよね。ははっ。」
「なんだよ〜もう!」
僕達は反転した世界で歩き続ける。だがその時にはまだ知らなかった。彼のことを。
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